根管治療
目次
根管治療(こんかんちりょう)について
皆さんの歯の中には神経と血管が通る管があります。これを根管と呼び、根管の中に発生した疾病を取り除く治療を根管治療と呼びます。
一般的に虫歯が進行して根管治療が必要になるケースが多く、抵抗力の弱い神経や血管が雑菌に侵されていく病気です。他には歯に強い力がかかったり、強い温度差に晒されたショックなどで根管の中に炎症ができ、そこから根管治療が必要な症状に発展することがあります。
通常皆様の生まれ持った歯には歯の表面にも内部にもある程度の抵抗力が存在しています。この抵抗力のおかげで多少の最近や衝撃では最近によって歯が弱るようなことにはなりません。しかし、加齢による免疫絵力の低下や若い方でも体力的に弱っている場合には、雑菌の影響を受けやすくなります。
専門家としては根管治療が必要な状態になる前にリスクを発見したいところですが、もし根管治療が必要になった場合でも、当院では可能な限り神経は残すように治療を計画しています。
どうして神経が大切なのか
歯の神経は皆さんの歯を内側から支える重要な役割を果たしています。併せて通っている血管も内側から歯に栄養を与え、免疫力を支えています。また飲食の際に温度を感じられるというのもとても大きな役割です。食事の際に温度の感覚を失うというのは、実際に失ってからいかに大きな影響があるのかを思い知らされることになります。
当院では開院以来長い時間を通して、様々なケースの患者さんを診てきました。症状が進行して手遅れになり、実際に歯を抜かなければいけなくなった方もたくさんいらっしゃいます。実際に見てきたからこそ、神経を可能な限り神経を残すことがどれほど大切なのかを真剣にお伝えしています。
失ってから分かる本当に大切なものをお伝えするのも、私たち専門家の責任であると考えます。
治療時におけるポイント
残念ながら虫歯が進行し、歯の神経が侵されてしまったような場合には、それでもなるべく抜歯を避けるために神経を取り除く処置を行います。
細菌によって汚染された神経と血管をファイルと呼ばれる器具を用いて削り取っていきます。とはいえ、歯の中の管は極めて狭い空間です。加えて管は人によって中で大きく曲がっていることもあり、時間をかけて治療を進めなければいけないこともあります。
症状が再発する要因
根管治療は治療が終わった後に症状が再発する可能性が非常に高い治療の一つです。どのような要因で再治療が必要になるのでしょうか。
細菌が侵入する
治療中に歯の根の中に細菌を含んだだ液が侵入したり、治療後の詰め物や被せ物が合っていない場合には、歯の根の中に再び細菌が繁殖する可能性が高まります。
その為治療中にはラバーダムと呼ばれる保護用の膜を使うこともあり、だ液が飛び散らないように常に吸引を行いながら治療を進めていきます。治療後の詰め物や被せ物についてはとにかく精度が肝心になります。ヒアリングを行った上で患者さんの歯の状態や噛み癖に併せて作成します。
神経や血管の取り残しがある
治療の際に歯の中の神経や血管を取り残してしまうとそこには細菌が残ることになり、症状が再発する可能性が高まります。根管治療においては何よりも患部をきれいに取り除くことが大切となり、治療時間が比較的長くなるのは少しずつ確実に患部を削り取る必要があります。
お時間の負担など患者さんにはご協力いただく点もございますが、健康に噛める歯を少しでも長く残すためにご理解いただければと思います。
薬剤が緊密に充填されていない
細菌に侵された神経や血管を無事すべて取り除くことができても、その後に充填する薬剤がきちんと隙間なく入れられていないと、隙間から細菌が繁殖する可能性が高まります。
とても小さな隙間の中に充填していくので、ドクターも最大限に集中して作業を行っています。
根管治療に関する注意点
根管治療はケースにもよりますが、数回に分けて治療を進めていくことになります。その為、治療中の生活にはいくつかの注意点があります。
治療中の歯で噛まない
治療を進めている間は仮の詰め物をしながら生活していただくことになります。治療中の歯を保護するために仮の蓋をすることになりますが、この蓋は銀歯やセラミックの歯に比べて強度は劣るものです。
食事の際にはなるべく治療中の歯で噛まないように心がけていただき、歯ブラシなども優しくしてあげてください。
なるべく短期間で終わらせる
数回の通院に分けて行う根管治療は、なるべく短い期間で治療を終わらせるもの大切なポイントです。日々お忙しい中でご予定を調整していただくことになりますので、どうしても期間が空いてしまうこともあるかもしれません。
しかしながらなるべく短い期間でご予定を調整していただき、短期間で治療を終えられるように一緒に協力できればと思います。
早期発見と早期治療を
根管治療が必要となった歯は大変強い痛みが出る場合が多く、治療自体も痛みを伴う可能性が高い治療です。私たちもなるべく歯を残したい、神経を残したいと考えていますが、時によっては他の歯、全身の健康を考えて神経や歯そのものを取り除くご提案をすることもあります。
歯や神経を取り除く治療は、私たちにとっても大変心苦しいものがあります。
できればそうならないためにも、定期的な検診の受診と日々の歯ブラシを見直していただければと思います。