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噛み合わせが悪いかどうかは自分でも見て分かりますか?
2017年11月01日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「噛み合わせの良し悪しは自分でも確認できるのか」です。
歯の色、歯並び、虫歯や歯周病の有無…これらは誰もが自分の歯に対して気にすることです。
しかし歯の健康にとってもう1つ大切なことがあり、それは噛み合わせです。
噛み合わせの悪さを気にする人はあまりいないかもしれませんが、
実は噛み合わせが悪いと虫歯や歯周病にかかりやすく、さらに体調不良も招きます。
さて、そもそも噛み合わせの良し悪しというのは目で見て分かるものなのでしょうか。
あまりにも極端に悪い場合はともかく、そうでない場合は自分で見て判断するのは難しいと思います。
そこで、ここでは噛み合わせをチェックする方法を中心とした説明をしていきます。
目次
噛み合わせをチェックする上での確認ポイント
噛み合わせの状態をチェックする際、ポイントとなる箇所は6つです。
ポイント1. 左右の歯の噛み合わせ
注目すべき箇所は上下の前歯の中心です。ここが一致していない場合は上下の歯の噛み合わせ、
もしくは上下の顎の骨が左右にズレてしまっています。
子供の頃は顎の骨のズレがなかった人でも、左右の歯の噛み合わせのズレをそのままにしておくと、
顎の骨が成長していく中で徐々に上下の顎の骨がズレてしまい、噛むことに影響します。
さらに見た目にも問題を及ぼしてしまい、正面から見た時に顎が曲がって成長していってしまいます。
ポイント2. 前後のバランス
明らかにバランスが悪いのは、出っ歯や受け口になっている状態です。
正確には前歯と奥歯のそれぞれの噛み合わせにおいて、
上の歯が下の歯より2ミリ程度外側に並んでいるのが正常な状態です。
問題の要因としては、上下どちらかの顎の骨が生まれつき小さい、もしくは大きく成長し過ぎている、
噛み合わせが悪いことで前後にズレてしまっているなどが考えられます。
前後のバランスが悪いと発音しづらい、噛んだ時に食べ物を潰しにくいなどの支障があります。
また健康面においては口内炎ができやすくなり、これは奥歯で舌や頬を噛みやすくなってしまうからです。
ポイント3. 上下の前歯の噛み合わせの深さ
前歯の噛み合わせの深さは2ミリ程度が正常で、これより浅い場合は食べ物を噛み切れなくなります。
また、逆に4ミリ以上深くなっている場合も正しい噛み合わせとは言えません。
さらに上下の歯が噛み合っていない、もしくはスペースがあいている状態も同様です。
噛み合わせが深い場合、どうしても上の前歯に下の前歯が噛みこむ状態になります。
そうなると下顎が前に成長しようとした時に自然に前に出ることができず、
その結果出っ歯の状態になってしまう可能性が高いのです。
噛み合わせが深いことで顎関節に負担が掛かって顎関節症になりやすくなりますし、
下の前歯で上に歯肉を噛むことが多くなって歯肉を傷つけるといった問題もあります。
ポイント4. 横から顔を見た時の口元の状態
まず、自然な状態にした時に口が閉じていなければならないですし、
その時鼻呼吸ができていなければなりません。
口呼吸と鼻呼吸は身体の健康においてたびたびテーマとなることがありますが、
鼻呼吸が良いとされるのは呼吸時に鼻の粘膜が身体の害となるものをろ過するからです。
一方口呼吸の場合、悪い菌が入り込んで喉から全身の病気を招きやすくなる、
さらには虫歯や歯周病にかかりやすくなるなどの問題があります。
口元が出ている状態や口が閉じられないのは噛み合わせが悪い可能性が高く、
正確には歯並びの悪さによって前歯が前に出てしまっていることが考えられます。
ポイント5. 正面から顔を見た時の唇の状態
注目すべき点は2つで、1つは左右の目から唇の両端までの距離、もう1つは笑った時の唇の両端の高さです。
前者で距離がズレている場合は左右の噛み合わせに問題がある可能性が高く、後者の場合も同様です。
唇については歯に比べて確認しやすいポイントなので、ぜひチェックしてみましょう。
ポイント6. 歯並びの状態
歯並びの悪さは噛み合わせの悪さを招く最も一般的な要因です。
明らかに歯並びが悪いと分かるのは、まず歯と歯の間に隙間があいている場合です。
ただし乳歯は隙間があいている方がむしろ正常なので、問題は永久歯でこうした隙間があいている場合です。
また、歯が重なって生えているのも歯並びが悪い状態で、
これは歯が並んでいる顎の骨の大きさと歯の大きさのバランスに問題がある場合に起こり得ます。
こうした場合、永久歯が生えるスペースが足りなくなるため重なって生えてきてしまうのです。
正常なのは、歯が重なることなく綺麗に一列に並んだ状態の歯並びです。
噛み合わせが悪いことで起こる問題
そもそも噛み合わせが悪いことがなぜそこまで深刻なのか?
…それは噛み合わせの悪さによって様々な問題が起こるからです。
虫歯や歯周病にかかりやすい
噛み合わせが悪い場合は歯並びも悪い可能性が高く、歯並びが悪いことで歯磨きがしづらくなります。
凸凹した歯並びでは歯ブラシが届かない箇所も多く、効率よくプラークを除去できないですからね。
そしてプラークを効率よく除去できなければ、それだけ虫歯や歯周病にかかりやすくなってしまうのです。
頭痛や肩こりが起こる
噛み合わせが悪いと噛む筋肉である側頭筋に悪影響をもたらします。
側頭筋は顎の関節から頭の横にかけてつながっており、
噛み合わせが悪いことで側頭筋が緊張して頭痛を引き起こします。
さらに広頸筋にも悪影響をもたらし、これは首から肩にかけてつながっている筋肉です。
噛み合わせが悪いことで広頸筋のバランスが悪くなって肩こりを引き起こします。
歯ぎしりが起こりやすくなる
歯ぎしりが起こると強い力で歯を摩擦してしまうため、歯にダメージを与えてしまいます。
これによって表面のエナメル質が傷つくこともあり、知覚過敏の要因にもなるのです。
また食いしばりも同様に起こりやすくなり、この場合もまた歯にダメージを与えます。
顔全体の見た目が悪くなる
噛み合わせが悪いことで見た目も悪くなる…それは歯の見た目だけに言えることではありません。
と言うのも、噛み合わせが悪いことで顎の形も変形してしまい、顎が歪んで見えてしまうからです。
顎の見た目は顔の輪郭に関係してきますし、顔の輪郭が悪いことで顔全体の見た目が悪くなってしまうのです。
顎関節症になりやすくなる
噛み合わせが良い人でも顎関節症になる可能性はありますが、
噛み合わせが悪い人はそのリスクがさらに高まり、さらに悪化しやすい傾向があります。
これは噛み合わせが悪いことで顎の関節に大きな負担を掛けてしまっているからです。
体調を崩しやすくなる
「口呼吸すると風邪を引いて喉が痛くなる」…そう聞いた経験のある人もいると思います。
これは口呼吸が鼻呼吸よりも身体に細菌を取りこみやすいからです。
そして、噛み合わせが悪い人は口呼吸になっていることが多いのです。
…他にも腰痛や消化不良や舌癌などが起こるリスクが高まり、
噛み合わせの悪さは無視できる問題ではないのです。
噛み合わせの悪さを治すには
子供の場合は、悪い噛み方のクセを直してあげることで改善できることもあります。
例えば子供はどうしても前歯で噛むクセがつきやすいのですが、
受け口防止のために奥歯で噛むことを教えて意識させてあげるのです。
奥歯で噛んだ状態を鏡で見せてあげ、上下の前歯の中心が同じになるように練習させてあげましょう。
また、爪を噛むや指をしゃぶるといった子供ならではのクセも噛み合わせが悪くなる要因になります。
こうしたクセによる問題は、小児歯科でもアドバイスや指導を受けることができます。
次に大人の場合ですが、これは歯科医院に行って相談するのがベストです。
既に顎の骨も成長を終えていますし、噛み合わせの悪さを改善するには治療が必要です。
また、何より噛み合わせが悪くなっている要因を知らなければ対処のしようがありません。
歯並びの悪さが要因なら矯正治療を行って改善が見込めますし、
詰め物や被せ物の高さに問題があるならそれらの調整によって改善できます。
もちろんその他の治療方法もあるため、まずは歯科医院で相談してみましょう。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、噛み合わせの良し悪しは自分でも確認できるのかについてまとめます。
噛み合わせをチェックする上での確認ポイント :以下の6つです
左右の歯の噛み合わせ :上下の前歯の中心が一致していれば正常
前後のバランス :上の歯が下の歯より2ミリ程度外側に並んでいるなら正常
上下の前歯の噛み合わせの深さ :前歯の噛み合わせの深さが2ミリ程度だと正常
横から顔を見た時の口元の状態 :自然に口が閉じていて、なおかつ鼻呼吸できていれば正常
正面から顔を見た時の唇の状態 :左右の目から唇の両端までの距離が均等なら正常
歯並びの状態 :歯が重なることなく綺麗に一列に並んでいれば正常(乳歯は隙間があいていても良い)
噛み合わせが悪いことで起こる問題 :噛み合わせの悪さは身体の至るところに害を及ぼす
虫歯や歯周病にかかりやすい :歯並びの悪さが原因の場合、歯磨きしづらくなるため
頭痛や肩こりが起こる :側頭筋や広頸筋といった噛む筋肉に悪影響を与えるため
歯ぎしりが起こりやすくなる :摩擦によって歯にダメージを与えてしまい、知覚過敏の要因にもなる
顔全体の見た目が悪くなる :顎の形が変形することで顔の輪郭が崩れてしまうため
顎関節症になりやすくなる :顎の関節に負担を掛けているため
体調を崩しやすくなる :口呼吸によって細菌を多く取りこんでしまうため
噛み合わせの悪さを治すには :子供の場合は悪いクセを直す。大人の場合は歯科医院に相談する
これらのことから、噛み合わせの良し悪しは自分でも確認できるのかが分かります。
健康面においても審美面においても噛み合わせの悪さを軽視する人が多いですが、
実はこうした問題を招く要因になるのです。
また、歯並びが悪い場合などは噛み合わせの悪さを簡単に確認できますが、
上下や左右の歯のバランスについては正直確認しづらいと思います。
このため、噛み合わせの良し悪しを知るためには歯科医院で検査してもらうのが一番確実です。