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ドライマウスと口臭は関係ある?
2018年02月27日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「ドライマウスと口臭の関係性」です。
ドライマウスとは、口の中が乾いた状態になることで、口腔乾燥症とも呼ばれます。
本来口の中は唾液が分泌されることで乾いた状態になることはないのですが、
何らかの原因で唾液の分泌量が低下すると口の中が乾き、ドライマウスになってしまいます。
現状ドライマウスで悩む人は800万人以上とされており、予備軍も含めると3000万人もの数になります。
さて、このドライマウスですが実は口臭と深い関係があり、
何よりドライマウスが原因で口臭が起こることもあるのです。
今回お話しするのは、そんなドライマウスと口臭の関係についてです。
目次
ドライマウスの原因
そもそもドライマウスは何が原因で起こるのか?…それにはいくつか考えられます。
ドライマウスの原因は大きく分けて「病気」、「身体面と精神面」、「生活習慣」の3つであり、
それについて以下で説明していきます。
1-1. 病気が原因のケース
病気になるとそれを治療するために薬を使用します。
そして、中には副作用として口の中が乾いてしまう薬があります。
例えば血圧降下剤や抗うつ剤、さらには一部の風邪薬や花粉症の薬なども該当します。
また糖尿病や腎臓病になると、起こる症状の1つとしてドライマウスが挙げられます。
1-2. 身体面と精神面が原因のケース
身体面の原因としては加齢や筋力の低下などが挙げられます。
加齢によって唾液の分泌機能が低下しますし、噛む筋肉が衰えることで唾液が分泌されにくくなります。
次に精神面の原因としてはストレスで、精神的なストレスを感じると交感神経が高まって口の中が乾きます。
ちなみに緊張すると口の中が乾きますが、これもストレス同様に交感神経が高まることが原因です。
1-3. 生活習慣が原因のケース
まず口呼吸をする人は口の中に乾燥した空気を直接取り込むため、口の中が乾いた状態になります。
他には飲酒や喫煙が挙げられ、これらはいずれも唾液の分泌量を低下させる要因になります。
飲酒してしばらく経つと、やたらと喉が渇くと感じる人は少なくないでしょう。
また、喫煙した後も喉が渇きやすく、これらの原因は飲酒や喫煙の影響で唾液の分泌量が低下したからです。
ドライマウスになると口臭が起こる理由
ドライマウスになると口の中が乾いた状態になります。
そして、口の中が乾いた状態というのはイコール口の中の唾液が少ない状態となります。
唾液は酸素を含んでいますから、唾液が少ない状態というのは酸欠状態に等しくなります。
さて、口の中には様々な種類の細菌が存在していますが、
その中に嫌気性菌と呼ばれるものがあり、この嫌気性菌は酸素を嫌って酸欠状態を好みます。
つまり、ドライマウスの人の口の中は嫌気性菌にとって最高の環境となるわけです。
最高の環境となることで嫌気性菌の働きは本来よりも活発になり、これが口臭を引き起こします。
嫌気性菌の働きとはプラークを分解すること、
そしてプラークが分解されることによって嫌な臭いが発生します。
嫌気性菌の働きが活発になればそれだけ多くのプラークが分解されますし、
多くのプラークが分解されることで嫌な臭いも多く発生する…こうして口臭が起こるのです。
また唾液の分泌量が低下すると細菌を洗浄できないため、虫歯になるリスクも高まります。
ドライマウスを予防するには
ドライマウスを予防する上で必要なのが、生活習慣を見直して改善することです。
とは言え、24時間の生活のどこをどう改善すれば良いのか分かりづらいと思います。
そこで改善のポイントを2つ挙げると、「食生活」と「ストレス」です。
•食生活について
栄養バランスを考えた食事をするのはもちろん、食事の時によく噛むことも大切です。
唾液は噛むことで分泌されるため、本来食事の時が最も唾液の分泌量が高まるタイミングになります。
一方、よく噛まずに食べてしまうと唾液の分泌が不充分になってしまいます。
•ストレスについて
ストレスを感じる生活をしていると、交感神経が優位になって口の中が乾きます。
とは言え、ストレスをゼロにするのは不可能でしょうから、
「ストレスを感じない方法」よりも「ストレスを解消する方法」を考えるのがベストでしょう。
<その他の予防方法>
ドライマウス予防のためには生活習慣の改善が最も重要ですが、
それ以外にもドライマウスを予防できる方法がいくつかあります。
例えばガムを噛む…これは噛む動作を行うことで唾液の分泌量が高まるからです。
ただし、ガムを噛む頻度があまりに高くなおかつそのガムに糖が含まれていると、
今度はドライマウスではなく虫歯になってしまうので要注意です。
また、口の中の潤いを保つ意識を持つこともドライマウスの予防につながります。
簡単な方法としては、こまめに水分補給をすることで、
そもそも水分の摂取量が少ないと唾液の分泌量が低下してしまいます。
さらに空気の乾燥への対処として室内の湿度の調整やマスクの着用も効果的です。
ドライマウスの治療方法
ドライマウスの治療方法は一定ではなく、その原因によって異なります。
つまり、ドライマウスになった原因に合わせた治療を行うことになります。
4-1. 口呼吸が原因の場合
歯並びが悪いと噛み合わせが悪くなり、その結果口が開いて口呼吸になってしまいます。
この場合、歯並び自体を改善する必要があるので矯正治療が必要です。
また、唇の筋力の問題で口が開いて口呼吸になるケースもありますが、
対処方法として口の筋力を鍛えるために専用のトレーニング器具などが存在します。
4-2. ストレスが原因の場合
ストレスを解消することが治療になります。
趣味や気分転換で構わないので、自分なりのストレスの解消方法を見つけましょう。
また、副交感神経を優位にするためにリラックスすることも必要ですから、
入浴時などゆったりできる時間を確保することも大切です。
4-3. 食生活が原因の場合
問題の1つとなるのが、やわらかい物ばかり食べている人です。
この場合、噛む回数が少なくなって唾液の分泌が低下しているため、
噛みごたえのある物も食べるようにしつつ、よく噛むことを意識してください。
食事以外の時も、適度にガムやスルメなどを噛めば唾液の分泌量を高めることができます。
<ガムを噛む時の注意点>
上記の項目でもお伝えしましたが、ガムは唾液の分泌量が高まる一方で虫歯になるリスクも高めます。
このため、虫歯予防のためにキシリトール配合のガム、もしくはシュガーレスガムを選択すると良いでしょう。
4-4. 生活する環境が原因の場合
室内に限って言えば、ハウスダストはアレルギーの原因になって鼻炎などの症状を招きます。
鼻炎になると鼻が苦しくなるので口呼吸になってしまいます。
また、湿度の高い状態であれば空気が乾燥して口の中が乾いてドライマウスになってしまいます。
これらの問題を改善するには室内を清潔にし、窓を開けて換気する回数を増やしましょう。
4-5. 薬の副作用が原因の場合
何らかの病気で薬を使用している人は、その薬の副作用によってドライマウスになることがあります。
とは言え、独断で薬の量を減らすことは絶対にしてはいけません。
また、内科などの薬であれば歯科医に相談しても的確な回答を得られない可能性があります。
このため担当の医師に直接相談し、薬の種類を変えることができないかなどを確認してください。
…最近では、口腔外科の歯科医で構成されたドライマウスの専門外来も存在します。
重度のドライマウスになると、口臭だけでなく舌のひび割れや味覚を感じないなどの症状も起こるため、
本格的な治療を考えるのであれば一度ドライマウスの専門外来に相談するのも1つの方法です。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、ドライマウスと口臭の関係性についてまとめます。
1. ドライマウスの原因 :大きく分けて「病気」、「身体面と精神面」、「生活習慣」の3つの原因が考えられる
•病気が原因のケース :薬の副作用で口が乾くことがあり、糖尿病や腎臓病の症状にもなっている
•身体面と精神面が原因のケース :身体面は加齢や筋力の低下、精神面はストレスが原因になる
•生活習慣が原因のケース :口呼吸、飲酒、喫煙などは唾液の分泌量を低下させる
2. ドライマウスになると口臭が起こる理由 :口の中が酸欠状態になることで嫌気性菌が活発に働くため
3. ドライマウスを予防するには :改善のポイントは「食生活」と「ストレス」
•食生活について :唾液は噛めば噛むほど分泌量が高まるため、よく噛んで食べることを意識する
•ストレスについて :ストレスを感じると交感神経が優位になって口の中が乾く(緊張時と同じ状態になる)
•その他の予防方法 :ガムを噛む、水分補給をするなども唾液の分泌量を高める効果がある
4. ドライマウスの治療方法 :ドライマウスの原因によって治療方法は異なる
•口呼吸が原因の場合 :歯並びの悪さが原因なら矯正治療、唇の筋力が原因ならトレーニング
•ストレスが原因の場合 :自分なりのストレスの解消方法を見つけ、リラックスできる時間を確保する
•食生活が原因の場合 :噛む回数が増えるよう、噛みごたえのある物を食べるなどの工夫が効果的
•生活する環境が原因の場合 :室内を清潔に保ち、換気する回数を増やしてアレルギーや乾燥に対処する
•薬の副作用が原因の場合 :担当の医師に相談する。独断で薬の量を減らすなどの行為は厳禁
これらのことから、ドライマウスと口臭の関係について分かります。
ドライマウスによって起こる口臭であれば、いくら歯磨きしても口臭を改善することはできません。
その原因…つまりドライマウス自体を治療しなければ口臭は続いてしまうのです。
そして、ドライマウスの治療のためには今度はドライマウスになった原因を見つけなければなりません。
つまりドライマウスになった原因を知ることが、最終的に口臭を改善することにつながるのです。