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お茶で口臭は予防できる?
2018年07月15日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「お茶と口臭予防」です。
日頃、お口の悩みとして多くの患者さんから相談を受けるのが口臭の問題です。
口臭に注意することはエチケットとして半ば常識になっていますし、
自分の口臭で周囲に不快感を与えるなど、考えるだけで嫌ですからね。
そこで、今回は口臭予防をテーマにしたお話をしていきます。
さて、口臭予防の方法は誰もが興味あると思いますが、
お茶で口臭予防ができるという旨の情報を目にしたことはないでしょうか。
これについてお答えすると、お茶による口臭予防は正直おすすめできません。
目次
お茶による口臭予防の問題点
そもそも、お茶で口臭予防できる根拠はどこにあるのか?…おそらくそれはお茶に含まれる成分でしょう。
お茶にはカテキンとタンニンが含まれており、カテキンは口臭原因物質の除去効果、
タンニンはプラークに存在する細菌の殺菌、さらに抗菌作用があると言われているからです。
つまりカテキンによる脱臭効果、タンニンによる殺菌・抗菌効果によって口臭予防ができるというものです。
これらの点だけに注目すると、一見お茶による口臭予防は大変効果的に思えます。
しかし、この方法…つまりお茶による口臭予防には2つの問題があります。
問題1. 口臭の原因を無視している
口臭の原因は様々で、例えば最も多い原因は歯周病です。
歯周病の口臭は相当きついため、お茶で予防できるとは思えないですし、
それ以前に歯周病を治療しないことには口臭が続きます。また、この場合歯周病を放置することが問題です。
問題2. 逆効果になる可能性がある
お茶にはカフェインが含まれており、カフェインの過剰な摂取は交感神経を優位にさせます。
要は緊張状態に等しくなるため、唾液の分泌量が低下してしまいます。
唾液の分泌量の低下はそれ自体が口臭の原因になりますし、虫歯や歯周病になるリスクも高めます。
<お茶は有害なの?>
あくまで口臭予防にはおすすめできないというだけで、お茶自体は有害ではありません。
このため、これまでの説明でお茶を無理に控えようと思うならそれは間違いです。
例えばカテキンは血中コレステロールを低下させる効果がありますし、
もっと分かりやすい例としては水分補給においてもお茶は重宝します。
口臭予防は原因の究明と解消が必須
単にエチケット目的や食べた食材による口臭を予防する場合はともかく、
現在口臭があってそれを予防したいのであれば、何より大切なのは原因の究明とその解消が必須です。
また、口臭の原因が様々であると同時に口臭の類も様々で、口臭の類から原因をある程度予測できます。
腐った卵や魚の臓物臭がする口臭
嫌気性菌が増殖していることが考えられ、
そこまで細菌が増殖しているとなると可能性が高いのは歯周病です。
歯周病になると歯周ポケットに細菌が溜まるため、そこに嫌気性菌が溜まっているのかもしれません。
<解消方法>
歯周病によって起こっている口臭なら、歯周病を治療すれば口臭は解消されます。
最も、口臭の有無関係なく歯周病は治療しなければならず、
放置すればやがて歯周病が進行して歯が抜け落ちてしまいます。
壊死臭がする口臭
この場合、最も可能性が高いのは虫歯です。虫歯菌の出す酸で歯が溶かされて穴があき、
そこに食べカスが詰まっていることが考えられます。
詰まった食べカスは時間の経過で腐るため、そのせいで壊死臭がするのです。
<解消方法>
虫歯によって起こっている口臭なら、虫歯を治療すれば口臭は解消されます。
ほとんどの人は痛みを感じることで虫歯を自覚しますが、必ずしも虫歯で痛むとは限りません。
このため、例え歯が痛くなくても壊死臭がする場合は、虫歯の可能性を疑ってみるべきでしょう。
酸っぱい臭いがする口臭
ツンと鼻をつく酸っぱい臭いがする場合、胃が正常でない可能性が高いです。
例えば、逆流性食道炎になると胃液が食道に逆流してしまいます。
つまり胃液が喉の付近まで上がってくるため、酸っぱい臭いの口臭がするのです。
<解消方法>
原因を解消しなければ口臭も解消されないため、この場合は胃の検査をすることが第一です。
実際に胃の病気であれば歯科医院で行える治療ではないため、
専門の医療機関で治療を受けなければなりません。
便臭がする口臭
便臭の口臭がする場合、その原因として最も可能性が高いのは便秘です。
本来排泄されるはずの有害物質が、便秘になると排泄されずにやがて血液の中に溶け出します。
そして血管を通じて肺にまわることで、呼吸時に有害物質の臭い…すなわち便臭がするのです。
<解消方法>
便秘の解消によって口臭も解消されますが、便秘を解消するには腸内環境を整えなければなりません。
そのための基本は腸内の善玉菌を増やすことで、乳酸菌の摂取など毎日の食生活を改善してください。
また、食物繊維の摂取は腸内環境を整え、便秘を解消させる効果があります。
…このように口臭の原因は様々ですし、解消方法も原因によって異なります。
そして、いずれの原因においてもお茶では予防できないですし、
予防できたとしてもそれは一時的な効果な上、原因となる病気を無視することになってしまいます。
さて、口臭の原因と解消方法をお伝えしましたが、その説明に不安を感じた人もいるかもしれません。
と言うのも、お伝えした内容はいずれも「可能性が高い」や「かもしれない」など、
断定ではなく予測の範囲の説明ばかりだからです。
そこが問題です。口臭予防は簡単ではなく、原因を特定しなければ何の対処もできないのです。
そして原因の特定は診察しないことには断言できず、この場でお伝えできるのはあくまで可能性や予測です。
ではどうすれば確実な原因の特定ができるのか?…それは歯科医院や口臭外来に行くことです。
口臭の問題は歯科医院や口臭外来へ行くべき
口臭予防を含めた口臭の問題は、歯科医院や口臭外来へ行くのが最も効果的です。
なぜなら、診察を受けることで口臭の原因を究明できるからです。
口臭の原因を特定できれば口臭の解消はもちろん、その原因自体の解消が可能です。
口臭があるとして、お茶でそれを予防しようとした場合と歯科医院や口臭外来に行った場合とでは、
得られる効果や身体の健康状態に大きな差が出ます。これは実際に比較してみるとよく分かります。
・お茶で口臭予防するAさんの場合 :一時的に口臭は解消されるが再発し、原因となる病気もそのまま
・歯科医院や口臭外来で口臭予防するBさんの場合 :口臭が解消でき、その原因となる病気も治る
…Aさんのようにお茶で口臭予防する場合、効果が得られたとしてもそれは一時的なものです。
原因が解消されない以上、口臭は時間の経過で再び起こってしまいます。
そして何より、原因となっている病気を治療していないところが最大の問題です。
一方Bさんは歯科医院や口臭外来を利用することで、診察によって口臭の原因が特定できます。
このため、口臭を原因ごと…つまり根本から解消できます。原因となる病気も治療できるため、
単に口臭が解消されるだけでなく身体も健康な状態に戻せます。
口臭外来について
口臭外来は口臭の検査と治療を行う専門外来で、言わば口臭対策に特化した診療体制をとっています。
歯科医院だけでなく総合病院に設置されている場合もあり、
基本的には自由診療で健康保険が適用されません。
ただし、例えば虫歯が原因による口臭の場合、虫歯治療の費用は従来と同じで健康保険が適用されます。
つまり口臭の原因となる病気を治療する場合、その病気によっては健康保険が適用されるということです。
ちなみに、単に割合だけで回答するなら口臭のほとんどは口腔内に原因があります。
このため、まずは歯科医院に行って歯科医に相談すると良いでしょう。
もちろん、最初から口臭外来に行って徹底的に検査しても構わないですが、
基本的に健康保険が適用されない以上、費用はある程度高くなってしまうと想定すべきです。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、お茶と口臭予防についてまとめます。
1. お茶による口臭予防の問題点 :以下の2つの問題がある
・口臭の原因を無視している :口臭の原因が何らかの病気の場合、お茶では病気は治らない
・逆効果になる可能性がある :お茶に含まれるカフェインによって唾液の分泌量が低下する
・お茶は有害なのか :口臭予防に効果がないだけで、お茶そのものは問題ない
2. 口臭予防は原因の究明と解消が必須 :口臭の類によってある程度原因を予測可能(あくまで予測)
・腐った卵や魚の臓物臭がする口臭 :可能性が高いのは歯周病。歯周病を治療すれば口臭も解消される
・壊死臭がする口臭 :可能性が高いのは虫歯。虫歯を治療すれば口臭も解消される
・酸っぱい臭いがする口臭 :可能性が高いのは胃の不調や病気。専門の医療機関で検査を受けるべき
・便臭がする口臭 :最も可能性が高いのは腸内環境悪化による便秘。腸内環境を整えれば解消される
3. 口臭の問題は歯科医院や口臭外来に行くべき :原因を究明して治療できるため、根本から解決できる
4. 口臭外来について :口臭の検査と治療を行う専門外来。総合病院にも設置されている場合もある
これらのことから、お茶と口臭予防について分かります。
お茶による口臭予防は、一時的なエチケット目的や食べた食材が原因による口臭予防には効果的です。
しかし虫歯や歯周病など、何らかの病気が原因による口臭には効果がありません。
確かにお茶を飲むことで一時的に虫歯の口臭を予防できるかもしれませんが、
この場合、虫歯がそのまま放置されることになってしまいます。
口臭予防において重要なのは、その原因を究明して原因ごと解決することです。
そのためにはどうすれば良いか?…それは歯科医院に行くこと、もしくは口臭外来に行くことです。
原因を究明して根本から解決しなければ口臭はいつまでも続きますし、
何より原因となる病気が放置の状態になってしまうのです。