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口を開けるたびに顎の関節がなるのが気になります。何が原因なのでしょうか?

2018年12月15日

江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「顎の関節の病気」です。顔の箇所ごとで病気を考えた時、最も深刻に考えないのは顎ではないでしょうか。

頭の病気は言うまでもなく深刻ですし、目の病気においても同様のことが言えます。鼻は鼻炎や花粉症など日常生活に支障をきたす症状が多々ありますし、耳の病気もやはり深刻です。実際、以下の診療科目で耳鼻科があるくらいですからね。

次に口、これもまた深刻で虫歯や歯周病は歯を失う原因にあります。最後に顎ですが、顎は一見こうした病気が一切起こらないイメージがあるかもしれません。しかしそれは間違いで、顎の関節…すなわち顎関節の問題で起こる病気があります。

顎関節症とは

顎関節症とは噛み合わせの異常などによって起こる病気のことで、「顎の関節の痛み」や「口を開けられない」や「顎を動かすと音がする」などの症状があります。また、顎関節症が引き起こす症状は顎の周囲だけとは限りません。

関節からのものもありますが、それ以外に筋肉からのもの、さらにその両方からくるものがあり、そのため治療においても正しい判断はもちろん、医師の知識や経験も大変重要です。顎関節症になるとかたい食べ物や大きな食べ物が食べづらくなり、日常生活にも支障をもきたします。

ちなみに、顎関節症の症状としては主に次のようなものが挙げられます。

顎が痛む

顎関節に限らず、その周囲の頬やこめかみまで痛むこともあります。特徴としては常に痛むわけではなく、食べ物を噛んだ時や顎を動かした時だけに痛みを感じることで、仮に何もしなくても顎が痛むのであれば、それは顎関節症ではなく全く別の病気の可能性があります。

大きく口が開かなくなる

開口障害と呼ばれるもので、本来健康な人は40ミリ~50ミリほどまで口が開きます。しかし顎関節症になると30ミリほど、もしくはそれ以下しか開かなくなります。この場合、突然このように口が開かなくなることもあれば、徐々に開かなくなっていくこともあります。

顎を動かした時に音がする

顎を動かした時に「カクカク」や「ミシミシ」などの音がします。症状としては軽く、こうした音だけの症状の場合は特に治療は必要ない場合もあります。とは言え、顎を動かすたびに音が聞こえるのは耳障りなのでストレスに感じる人もいます。

噛み合わせが悪くなる

噛み合わせが悪いと顎関節症になりやすくなりますが、その逆もあり得ます。つまり、顎関節症になることで噛み合わせが悪くなってしまうパターンです。このため、突然噛み合わせが合わなくなった時は顎関節症の可能性があります。

口を閉じられなくなる

口が完全に閉じられないのは怖いですが、この症状が起こるのはごく稀です。これは顎関節内の構造が異常のため、上下の歯列に隙間ができるのが原因です。こうした歯列の乱れにより、口が完全に閉じられなくなるのです。

その他の症状

顎関節症によって起こる症状は多く、代表的な上記の症状以外にも次のような症状があります。頭痛、背中の痛み、肩こり、腰痛、耳鳴り、耳の痛み、目まい、目の充血、舌や歯の痛みなど、一見したところ顎関節症とは思えないような症状も起こるのが特徴です。

顎関節症の治療方法

顎関節症の治療方法にはいくつかの方法があります。治療の類としては原因の解消と痛みの解消の2つに分けられており、症状に応じてこれらを組み合わせた治療計画を立てることがほとんどです。

認知行動療法

日常生活における癖など、顎関節症の原因となることを調べて患者さんに自覚してもらいます。もちろん、自覚だけでなくそれを解消しなければなりません。

物理療法

顎関節症による痛みを軽減するための治療で、基本や冷やしたり温めたりすることです。患部を冷やしたり温めたりすることで痛みが緩和されていきます。

運動療法

口を開く、顎を動かすなどの訓練を行うもので、こうした運動によって口が元どおり開くようにしていきます。

スプリント療法

スプリントとは歯列を覆う装置のことで、これを装着するのがスプリント療法です。顎関節への負担の軽減、歯ぎしりや食いしばりなどによるダメージを緩和するのが目的です。

薬物療法

痛みが強い場合は炎症を抑えるために薬を使用します。また、固まった筋肉に対して筋弛緩剤を使用することもあります。

外科療法

他の治療を行っても症状が改善されない場合、必要に応じて外科治療を行います。例えば、関節内で関節円板と骨の癒着がある場合などは、それをはがすために関節鏡手術を行います。

顎関節症のセルフケア

そもそも顎関節症は生活習慣病に近い部分があるため、生活習慣を見直して改善する目的を兼ねたセルフケアが治療において大切です。これがいわゆる自宅療法であり、顎関節症の治療における中心となります。

かたいものを食べない

本来なら、かたいものを食べないと顎の力が弱くなってしまいます。しかし顎関節症の場合は痛みや口の開けづらさがあるため、一定期間かたいものを食べないようにします。

大きく口を開かない

口が大きく開かないのはどうしても気になるでしょうが、顎関節症の場合は会話や食事の時は大きく口を開かないように注意します。

冷やす、温める

冷やしたり温めたりするのは湿布を貼るのが効果的です。痛みの急性期には冷湿布、慢性的な痛みには温湿布で対処すると良いでしょう。

マッサージ

顎関節症によって顎の筋肉が痛む時に効果的で、マッサージによって血行が良くなると痛みをある程度減らすことができます。

姿勢を正す

立つ時、座る時それぞれにおいて正しい姿勢を意識します。特に顎を突き出すような姿勢や猫背には注意が必要で、同じ姿勢を長時間維持するのも問題です。

うつ伏せで寝ない

うつ伏せで寝ると顎や首の筋肉に負担をかけるため、顎関節症の悪化につながります。このため寝る時の姿勢は仰向けが望ましく、高さのある枕も使用しないようにしましょう。

リラックス

緊張時は身体がかたくなり、それが顎関節への負担になってしまいます。適度に緊張を解き、筋肉を休ませてあげるためにリラックスすることを心掛けましょう。

運動

運動には様々な種類がありますが、顎関節症に効果的なのは全身運動です。例えばウォーキングや水泳などがこれに該当し、体力維持や気分転換につながります。

顎への負担を避ける

例えば、管楽器の演奏や大きく口を開ける必要のある行為は避けましょう。また、顎関節に負担をかける点で頬杖をつくなどの癖も止めましょう。

顎関節症になりやすい人

顎関節症になるリスクは人によって異なります。それは個人差によるものではなく、顎関節症になりやすい人にはある特徴があるのです。次の項目に該当する人は顎関節症になるリスクが高くなります。

日常生活の癖

人には何かしら癖がありますが、中には顎関節症になるリスクを高める癖があります。例えば、片方の歯で噛む癖がある人は頬杖をつく癖がある人です。こうした癖は顎関節に負担をかけるため、顎関節症になる原因となります。

姿勢が悪い

姿勢が悪くて猫背になると、頭がい骨と下顎の骨が前に突き出た状態になります。この姿勢が続くと顎関節が正常に動かせなくなることがあり、そのため顎関節がずれる、もしくは顎関節症になりやすくなります。

ストレスを解消できない人

ストレスがゼロの生活を過ごすことはまず不可能ですから、適度に解消しなければなりません。しかしストレスが解消できない人はストレスが蓄積させ、その影響で歯ぎしりなどが起こります。歯ぎしりは顎関節症の原因になりますし、ストレスによる緊張状態も顎周りの筋肉に影響を与えます。

歯並びが悪い人

歯並びが悪いと凸凹した歯並びのため、噛み合わせが悪くなります。そして、噛み合わせが悪くなることで顎関節症になりやすくなります。また、噛み合わせが悪いと顎関節症になりやすいだけでなく、発症した時に重症化しやすくなります。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、顎の関節の病気についてまとめます。

1. 顎関節症とは :噛み合わせの異常になどが原因で起こる病気で、以下の症状が起こる
・顎が痛む :常に痛むわけではなく、食べ物を噛んだ時や顎を動かした時に痛みを感じる
・大きく口が開かなくなる :正常な状態なら40ミリ~50ミリ口が開くが、これが30ミリ以下になる
・顎を動かした時に音がする :「カクカク」や「ミシミシ」などの音がするが、この症状だけなら軽い
・噛み合わせが悪くなる :噛み合わせの悪さは顎関節症の原因になるが、その逆のケースもある
・口が閉じられなくなる :ごく稀にしか起こらない症状。歯列の乱れによって口が完全に閉じられなくなる
・その他の症状 :頭痛、背中の痛み、肩こり、耳鳴り、耳の痛み、目まい、目の充血、舌や歯の痛みなど

2. 顎関節症の治療方法 :発症の原因の解消と痛みの解消、治療方法はこの2つのタイプに分けられる
・認知行動療法 :日常生活の癖など、顎関節症の原因となることを患者さんに自覚・解消してもらう
・物理療法 :痛みを軽減するための治療で、患部を冷やしたり温めたりして痛みを緩和する
・運動療法 :口を開く、顎を動かすなどの訓練を行い、口が元どおり開くようにしていく
・スプリント療法 :歯列を覆う装置を装着して顎関節への負担を軽減する
・薬物療法 :痛みが強い場合、炎症を抑えるために薬を使用する。他の目的で使用することもある
・外科療法 :例えば、関節内で関節円板と骨の癒着がある場合は関節鏡手術を行う

3. 顎関節症のセルフケア :顎関節症は生活習慣病に近く、以下のセルフケアが治療の中心になる
・かたいものを食べない :痛みや口の開けづらさへの対処
・大きく口を開かない :会話や食事の時に大きく口を開かないようにする
・冷やす、温める :痛みの急性期は冷やし、慢性的な痛みに対しては温める。湿布を使用すると効果的
・マッサージ :血行が良くなることで痛みが緩和される
・姿勢を正す :猫背は要注意。同じ姿勢を長時間維持することも避ける
・うつ伏せで寝ない :うつ伏せで寝ると顎や首の筋肉に負担がかかるため
・リラックス :緊張状態は身体がかたくなり顎関節に負担がかかるため
・運動 :全身運動が効果的。体力維持や気分転換にもなる
・顎への負担を避ける :管楽器の演奏、大きく口を開ける行為は控える

4. 顎関節症になりやすい人 :以下の特徴がある人は顎関節症になりやすい
・日常生活の癖 :例えば片方の歯で噛む、頬杖をつく癖などは顎関節に負担をかける
・姿勢が悪い :猫背の状態が続くと顎関節が正常に動かせなくなる
・ストレスを解消できない人 :ストレスによって歯ぎしりが起こると顎関節症の原因になる
・歯並びが悪い人 :噛み合わせが悪いため顎関節症になりやすく、さらに重症化しやすい傾向がある

これらのことから、顎の関節の病気について分かります。顎関節症には様々な症状が起こり、酷くなると口を開くことも辛くなります。このため、聞き慣れない病気だからと言って決して軽視できるものではありません。口の中の問題に限定すれば、歯並びや噛み合わせが悪いと顎関節症になりやすいため、これらのことに該当する人は治療を検討した方が良いでしょう。

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