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セラミックにも種類があると聞いたのですが、どのような種類を知っておけばいいですか?
2015年11月21日
目次
セラミック製とオールセラミックの違い
歯科で使用されるセラミック材料といっても数多く存在します。
また、『セラミック製』なのか『オールセラミック』なのかで大きな違いがあります。
では、その違いはなんでしょうか。
一言でいうと、金属を使用しているかしていないかという違いです。
オールセラミックは読んで字のごとくすべてセラミックで作られています。
一方セラミック製のものは、表面は白いセラミック質の材料覆われていますが、中には強度を持たせるなどの理由から金属が入っています。
しかし、どちらも見た目は白い材料で歯科補綴物が出来上がってくるのでセラミックという名前がついています。
昔はセラミックというとセラミック製のものを指していました。
それは、セラミック材料単体で使用すると強度が足りず、割れたり壊れたりする可能性が高かったからです。
しかし、近年材料の開発により、セラミック材料単体でも十分強度の持てるものが出てきました。
その結果オールセラミックという歯科補綴物が提供されるようになりました。
オールセラミックは金属を全く使用しないので自然な透明感を得ることができ、金属アレルギーの人も使用できるという高い生体親和性を有しています。
セラミックの種類
ジルコニア
酸化ジルコニウム(ZrO2)というジルコニウムの酸化物で、歯科材料の中でもトップクラスの耐熱性や生体親和性などを持っており、その優れた生体親和性から人工関節などにも使用されています。
光透過性も優れているので、天然歯に近い色を出すことができます。
ジルコニアは高強度かつ高靭性を有しており、きめ細かい結晶構造なため滑らかに磨くと光沢を放ちます。
ジルコニアの一番の特徴は曲げ強度が約1200Mpaと歯科材料の中で最も硬い材料です。
なので、インレーなどの詰め物から多数歯欠損等の大きな治療まで幅広く使用されます。
アルミナ
酸化アルミニウム(Al2O3)というアルミニウムの酸化物で、こちらも耐熱性に優れているため、歯科材料として使用されています。
アルミナもジルコニア同様光透過性に優れており、天然歯に近い色を出すことができます。
ジルコニアと異なる点は曲げ強度がジルコニアの約1200Mpaに対して、アルミナは700Mpaと少し劣るので、用途によっては強度不足が心配されます。
よって、多数歯欠損ではなく、少数歯で尚且つ噛む力が比較的弱い前歯部が主に使用されます。
ニケイ酸リチウムガラス
ジルコニアやアルミナは粉状の材料を高温度で長時間焼成して製作するのに対して、ニケイ酸リチウムガラスは、高温に熱した材料を型に流し込むという製法を取ります。
ニケイ酸リチウムガラスはガラス材料で、一般的には『プレスセラミック』とも呼ばれています。
ジルコニアやアルミナと比べて、光の透過性が優れているため、より自然の歯に近い色を出すことができますがあまりにも透明感が強いため、歯を作る土台が金属や濃い色の歯であった場合、中の色を透過してしまうので暗くなる傾向があります。
また、曲げ強度が約400Mpaの為、強度的に多数歯欠損には使用されません。
詰め物や単体の被せ物、噛み合わせが弱い部分を中心に使用されます。
ポーセレン
現在使用されている歯科用材料の中で最も天然歯の色に近い材料です。
しかし、最大の欠点は曲げ強度が80~120Mpaしかないので、ポーセレン単体では詰め物や前歯の表面のみを補綴するラミネートベニアくらいしか使用することができません。
ですが、金属やジルコニアの上に築盛・焼成させることができるため、強度の問題は解決されます。
また、アルミナやニケイ酸リチウムガラスの上にも使用することができるので、より天然歯に近い色をした歯科補綴物を製作することは可能になります。
歯科用レジン
簡単に言いますと歯科用プラスチックです。歯科用レジンは一般歯科でも使用されており、安価で扱いやすい材料です。
保険で前歯を治す時は硬質レジンという強化プラスチックを使用します。
プラスチックなので透明感を出すことが難しく、強度もあまり強くありません。
よって金属の上に覆う形をとります。
この硬質レジンをさらによくしたものがハイブリットレジンと言います。
レジンにセラミックの粉末を混ぜた素材で、セラミック特有の強度とレジン特有の粘り強さを併せ持ち合わせています。
強度を取るならセラミック製、審美性と生体親和性を取るならオールセラミックが良いでしょう。
オールセラミックの最大の利点は金属を使用しないのでその優れた生体親和性と高い透過性による審美性の獲得になります。
しかし、セラミックの最大の難点は割れるということです。
つまり、過剰な負荷がかかると壊れてしまう可能性があるということです。
もちろん、金属を使用していても金属不良や厚み不足で割れてしまうこともありますが、オールセラミックと比べてもその頻度はとても低いものになります。
材料の知識を備えながらも、自分の口の中にはどれが一番適してるかは歯科医師と相談しながら診療を進めていくことが望ましいでしょう。