BLOG
入れ歯を希望しています。保険と自費の入れ歯はどう違うのでしょうか?
2015年11月28日
目次
使用できる材料が違います。
一言に入れ歯と言っても多くの種類があります。
そして、使用する材料も数多くあります。
もし入れ歯を健康保険適応範囲内で作る場合はプラスチックしか使用できません。
総義歯の場合は歯茎の色をした床となる部分も人工の歯もすべてプラスチックになります。
自費の入れ歯は、歯茎の色をしているプラスチックの部分を薄くするために金属プレートを使用したり、人工の歯の部分を強化プラスチックや陶材を使用したものを使用できます。
また、部分床義歯といういわゆる部分入れ歯は金属のバネを付けなければなりませんが、その金属の種類も限られてしまいます。
健康保険内の治療では入れ歯を製作するにあたって必要最低限度の材料しか使用できない決まりになっています。
もし材料的により優れていて生体にも優しいものを使用したいならば、保険のものではなく自費の入れ歯をお勧めします。
設計も違います。
総義歯の場合は、すべて失ってしまった歯を元通りにするだけなので大きな設計の違いはありませんが、部分床義歯の場合は大きく設計が変わってきます。
健康保険内の入れ歯ですと、架けられるバネの本数や部位が限られてしまっているだけでなく、材料的にも限られてしまうので、理想とされるところにバネを付けることが出来なかったり強度が取れないために入れ歯が厚くなってしまうことがあります。
もし、理想の部位にバネを付けられなければ、バネを架けている歯はもちろん、残っている歯にも悪影響を与えてしまい、動揺が起きたり最悪抜かなければならない場合も出てきます。
一方自費治療は構造力学的に考えられた設計の元製作されるので、残存している歯や周囲組織に悪影響を及ぼす可能性が少ないだけでなく、長期的な安定が得られます。
また、近年材料の進歩により、金属バネを使用しない部分床義歯も出てきました。
これは、金属が見えることを嫌い、見た目をもっとよくしたい人や金属アレルギーで金属バネを使用できない人に勧めることができます。
このように、審美的にも優れており、アレルギー体質の人にも安心して使用できる材料を使えるのも自費治療だけになってしまいます。
入れ歯を製作するまでの手間や期間が違います。
今まで、材料や設計の違いをお話ししましたが、大きな違いはここにあると思います。
健康保険内の入れ歯は、製作費用が国で決められているので長い時間をかけてじっくり製作することが難しくなっています。
入れ歯を製作するまでの大まかな流れは、1.顎の型取り2.噛み合わせの確認③歯が仮に並んだ入れ歯での最終確認④装着、になります。
これが最低限度の入れ歯を製作する流れです。
ですが、残念ながらこの方法で上手に入れ歯を作ることはとても難しいです。
入れ歯は大半が柔らかい歯茎によって支えられます。
その歯茎を一回で型取りすることは本当に難しいことです。
そして、噛み合わせももっと時間をかけてじっくり確認する必要があります。
入れ歯を作り始めてから完成するまで短い期間で済むというメリットはありますが、装着してから細かい調整を何回も行わなければ上手に噛めなかったり歯茎が炎症を起こしたりしてしまうこともあります。
一方自費で入れ歯を作るときは、材料がいいものになるだけでなく、顎関節や歯茎の治療を行いながら、精密な顎の型取りや噛み合わせの確認を行うことができます。
よって、入れ歯を作り始めてから装着するまでの時間はかかりますが、その後の微調整は少ない回数で終わることが多く、より噛みやすく口の中でフィットするものが提供されます。
歯科に関しては、安い、早いは気を付けなければなりません。
保険と自費の入れ歯の目的の大きな違い
健康保険適応範囲内での入れ歯を含む歯科補綴物の目的は、『最低限度の原状回復』になります。
もし虫歯で詰め物をしなければならなくなったならば、保険の場合は銀歯になります。
しかし、自費の場合は白い材料を使用できます。入れ歯もそうです。
もし歯が無くて食べ物が食べられない状態が続き、困っているならば健康保険適応範囲内でも十分機能する入れ歯は提供されます。
しかし、最低限度のものしか提供されないので、厚さだったり装着感だったりがあまり好ましくないことがあります。
その違和感が気になる方は自費治療を受けられれば良いと思います。
今は、見た目をとても気になさる患者さんが多くなってきているので、本物の歯や歯茎に似た材料が開発されてきています。
そして、アレルギー体質の人にも使用できる材料や金属もあります。
しかし、残念ながら材料自体が高額なので保険治療では使用することができないのです。
もし、見た目や装着感など最低限度以上の歯科治療を受けたいのならば、自費治療で入れ歯を製作するのが良いでしょう。
そして、最低限度のものでよいという方はまず保険で入れ歯を作り、もっといいものを望むならば自費治療に移行するということが良いと思います。