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かぶせものは、歯ぐきが黒く変色するとお聞きしたのですが……
2015年12月06日
目次
歯茎が黒くなる原因とは?
歯茎が黒くなる原因は一つではありません。
まず考えられることは歯周病になっているということです。
歯周病菌やプラークに溜まっている虫歯菌の影響で歯が炎症を起こし、赤黒くうっ血するので歯茎が黒くなったように見えます。
そのほかには血流が悪いために黒くなったり、過度の刺激により歯茎の表面にメラニン色素の沈着が起き黒く見える、もしくは喫煙によって黒くなる、ということも考えられます。
そして、原因として多いのが被せ物をしたがために歯茎が黒くなるということです。
なぜ被せ物をすると歯茎が黒くなるのでしょうか。
被せ物をして歯茎が黒くなる原因
主に考えられることは、被せ物を作るときに使用している金属が原因ということです。
歯科では多くの種類の金属が使用されています。差し歯や被せ物も例外ではありません。
まず、被せ物ですが、一般歯科ですと12%金銀パラジウム合金と銀合金が使用されます。
1本だけ被せ物を作るときは金属を使用しないジャケットクラウンというものを装着しますが、強度面の問題であまり使用されていません。
また、欠損がありブリッジを装着しなければならない場合は絶対に金属は使用されます。
そして、もし歯の根っこまで虫歯が侵食していたならば、上に被せ物を被せるための土台(コア)を作らなければなりません。
そのコアも基本的には金属を使用して作られます。
よって、一般歯科で被せ物をするならば、金属を使用することは免れないことなのです。
では、金属が歯茎にどのような影響を与えているのでしょうか。
それは、金属が溶けだして歯茎を黒く染めてしまうからです。
口腔内は常に唾液で濡れているので、金属が歯茎に触れていると、そこから金属イオンが溶け出してきます。
特に銀のイオンが歯茎を黒くしてしまう作用が強く、歯茎はこの銀イオンを嫌います。
なので、歯茎が黒くなるだけでなく、歯茎が痩せてしまい被せ物と被せ物をしている歯の境界線が露出して歯の根っこ自体が見えてしまう場合もあります。
また、歯茎と金属が接触していなくても、銀イオンが歯の根っこの象牙質の中の象牙細管という細い毛細血管のようなところに入り込んで、歯の根っこ自体を黒く変色させ、歯茎が黒く見える原因の一つになります。
黒くなった歯茎を元の色に戻すには?
1) 土台(コア)を金属以外の物にする
一般歯科では土台(コア)は銀合金もしくは12%金銀パラジウム合金が使用されます。
どちらも銀が含有されているので、歯茎にはあまりよくないとされています。
そこで、土台を金属以外の材料を使用して作ることで歯の黒ずみが改善されることがあります。
主に歯科用プラスチックであるレジンというものが使用され、ファイバーコアと呼ばれます。
レジンは金属ではないので金属イオンが歯茎に染み出ることもありませんし、適度の光透過性も持ち合わせているので審美的にも優れたものになります。
間もなく一部の歯に保険適用されるので一般歯科で受診することができるようになりますが、現段階ですと自費治療になりますので、一般歯科よりも少し治療費がかかってしまいます。
2) 被せ物を金属以外にする
一般歯科では、被せ物に12%金銀パラジウム合金が使用されます。
1本だけ被せ物をするならば金属を使用せずすべて歯科用プラスチックである硬質レジンを使用してジャケットクラウンというものを装着することができますが、プラスチック単体のみの使用だと強度が不十分であまり使用されません。
そこで、金属を使用しない被せ物としてオールセラミッククラウンというものが選択されます。
従来、金属を使用しなければ強度が足らずほとんどの被せ物は少なからず金属が使用されていました。
代表的なものはメタルボンドクラウンです。
それは金属で芯を作り、その上に歯の色をした材料を盛り付けた被せ物のことです。
ですが、近年の材料の開発により金属を使用しなくても強度的に問題ないものが出てきました。
それはジルコニアやニケイ酸リチウムといったものです。
ジルコニアは歯科用酸化ジルコニウムで歯科材料の中で最も強度がある材料であり、色も歯に似た白色です。
ニケイ酸リチウムはガラス材料でジルコニアには劣りますが優れた強度を有しています。
また、色も様々あり細かい色調表現も可能になります。
オールセラミッククラウンは自費診療になりますので、一般歯科よりも治療費は高額になりますが、体にも優しい材料を使用しますので歯茎への影響もとても少ないと考えられています。
それでもだめなら
歯の土台となる場所や被せ物を金属からそれ以外に変更しても、歯茎の黒ずみが治らないことがあります。
その場合は、歯科用レーザー治療をお勧めします。
歯科用レーザーでは長年をかけて着色した歯茎を綺麗にすることができます。
また、治ったからと言って油断してもいけません。歯茎が黒くなる原因は歯周病や喫煙も関係します。
なので、日々のセルフケアを欠かさず、できるだけ禁煙を心掛けたならば健康な歯茎を維持することが可能になります。