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下の親知らずが痛くて困っています。どうすれば良いでしょうか?
2015年12月13日
目次
考えられること
虫歯の可能性
まず、親知らずが痛い原因の一つは虫歯です。
親知らずは第三大臼歯とも呼ばれ、すべての人に生えてくるわけではありません。
現代人には必要のない歯とされており、生えていると抜くことを勧められることもあります。
また、歯列の一番奥にある歯なので歯ブラシが届かない、もしくは歯磨きがしにくい場所になるので虫歯になるリスクは高いとされています。
また、磨きにくい歯と歯の間や歯茎と歯の境目だけでなく、一番奥の部分はまず歯ブラシが届かなく、よって歯の神経にまで虫歯が進行し、根尖病巣という根っこの虫歯になることも多いので、もし虫歯になったなら抜歯することを勧めます。
智歯周囲炎の可能性
智歯周囲炎とは歯周病の一種で親知らず付近に発症した歯周病のことを指します。
智歯周囲炎は、特に親知らずが綺麗に生えきらず、歯冠の半分だけが見えているような場合に頻繁に起こります。
智歯周囲炎は痛みを伴うだけでなく、膿を排出したり出血が見られたりします。
この場合も、歯周病治療を行うのではなく、親知らずを抜歯することをお勧めします。
不正排列による影響
親知らずが虫歯になっておらず、尚且つ智歯周囲炎にもなっていないのならば、親知らずの生えてきた場所や向きに問題があるのかもしれません。
通常、ほかの奥歯のように真っ直ぐ生えてくるのですが、生えてくるスペースが不足していたり顎の骨の形態の関係で曲がって生えてくることが多くあります。
その場合、ほかの歯を後ろから押すような形になり、その結果奥歯付近に痛みを感じることがあります。
このように、親知らずが曲がった状態で生えてきたならば、隣の歯、もしくは対合する歯に悪影響を及ぼすことが考えられるので抜歯をお勧めします。
埋伏歯の可能性
一見親知らずが生えていないように見えますが、レントゲン写真を撮ってみると歯茎の中に真横に埋まった(水平埋伏智歯)まま親知らずが生えておりそれが手前の歯を押すことによって痛みが出ることがあります。
親知らずが埋伏していることは自分ではわからないことが多く、痛みが出てから歯科医院で診てもらうことが多いです。
基本的にはこの場合も親知らずを抜歯することが望ましいですが、外科的手術を行う必要も出てくるので埋伏歯を抜歯することのできない歯科医院もあります。
その場合は、大学病院や口腔外科のある歯科医院を紹介されますので、かかりつけの歯科医師の指示に従うことが望ましいでしょう。
神経の圧迫
歯を支えている歯槽骨には多くの神経があります。
親知らずの生え方によってその神経が圧迫され、痛みや痺れなどの違和感を覚えることがあります。
その場合も抜歯が必要になりますが、こちらも大がかりな外科的手術が必要になるので、設備の整った口腔外科を勧められます。
再生医療との関係
近年、歯科で再生医療が注目されています。
虫歯や歯周病、もしくは外傷などで歯を失ってしまった場合、そこに抜いた親知らずを移植する方法がとられています。
なぜ親知らずかといいますと、現代人に親知らずは必要のない歯とされているため、移植しても問題がないからです。
従来、歯が抜けてしまったら①入れ歯②ブリッジ③インプラント治療が選択されてきました。
入れ歯は見た目や機能面に問題があり、ブリッジは失った歯の両隣の健全な歯を削って橋渡しをしなければなりませんでした。
また、インプラント治療は大がかりな外科的手術が必要になり、高額な治療費がかかり、治療期間も長くなる傾向にあります。
しかし、この親知らずを使用した再生医療によって、より体に優しく確実な治療を受けることが可能になりました。
しかし、親知らずを移植するためには、その親知らずが虫歯も何もない健全な歯でなければならないという条件があります。
もし、虫歯になっていたならば、移植しても感染の恐れがありますし、強度的な問題もあります。
よって、すべての人に適応できるわけではないので、基本的には抜歯されることが多いと感じます。
顎との関係
親知らずは、現代人には必要のない歯と書きましたが、日本では弥生時代あたりでも先天性欠如や埋伏智歯が確認されているようです。
また、現代人は原始人よりも顎の骨が小さくなっているというデータもあり、親知らずが生えてくるスペースが無いことが多いようです。
結果、埋伏智歯や生えてくる向きがおかしい親知らずが増え、抜歯になることが多くなってきているようです。
実際、綺麗に親知らずが生えてきて上下の顎とも噛み合っているのならば抜歯の必要はありません。
また、完全に顎の骨の中に埋まっていて、周囲組織に何も影響を与えないならばこれも抜歯の必要はないでしょう。
しかし、虫歯や智歯歯周炎、不正排列が見られるならば抜歯することをお勧めします。
また、歯磨きにしにくい部分でもありますので、メインテナンスに自信がない方も抜歯しておいた方が虫歯や歯周病のリスク軽減に繋がるのではないでしょうか。