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予防歯科とは?
2016年03月28日
目次
日本でも注目される予防歯科
近年、日本でも予防歯科に注目が集まっています。
予防歯科の考えは、今までの「治す」歯科から「予防」する歯科へと、日本の歯科医院のあり方を大きく変えていくものであり、スウェーデンなどのヨーロッパ諸国ではすでにその考えが浸透しています。
日本ではまだまだ予防歯科に取り組んでいる歯科医院は多くはありませんが、徐々に広まり、注目されてきています。
では、「予防歯科」とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
予防歯科の基本
予防歯科の考えの基本とはどんなものなのでしょうか?
今までの歯科医院は虫歯、歯周病を「治す」ところでした。
しかし、予防歯科の概念は今までの歯科医院の「治す」診療スタイルとは全く異なります。
予防歯科での基本は
- 削らない
- 神経を取らない
- 抜かない
この3つが基本となっています。
この3つについて詳しくご説明していきます。
削らない
今まで、歯科と言えば虫歯を削って治すところと言っても過言ではないほど、歯科に行けばいつもタービン(歯を削る「キーン」と音のする機材です)の音が聞こえているものでした。
しかし、予防歯科ではできるだけ削らないというのが治療の基本です。
小さな虫歯であれば、削らずにこれ以上進行しないような治療をする、経過観察をする。
また、虫歯ができる前に、虫歯にならないような予防的な治療を行うのが予防歯科の考えです。
神経を取らない
虫歯が大きくなり神経の近くにまで達してしまうと、歯の神経を取らなくてはならないことがあります。
ですが、歯は神経を失うと非常に弱く、もろくなり、その後の抜歯の可能性が大きく増加します。
予防歯科では、神経が刺激を受け、痛みのあるような虫歯であっても、できる限り神経を保護し、残せるような治療方法を提案してきます。
もちろん、可能な場合と、不可能な場合がありますが、予防歯科では出来る限り神経を取らなくても済むような治療方法を検討します。
抜かない
歯を失う原因は40代未満では虫歯が半数以上を占めますが、それ以降は圧倒的に歯周病で歯を失う人の数が増えてきます。
また、歯周病で歯を失う人は1歯ではなく複数歯、歯を失うことが多いという現状があります。
予防歯科では、どのような状況であっても、できるだけ、歯を抜かない治療方法を検討します。
正確には、歯を抜くようなことにならないような虫歯予防、歯周病予防のプログラムを検討します。
もし、歯を失うことになってしまっても、今後他の歯を出来る限り失わないようにするための治療、対策を検討します。
予防歯科で行う治療
具体的に予防歯科では次のようなことを実践しています。
歯のクリーニング
これは予防歯科の基本です。虫歯や歯周病の原因となるプラークを歯科の専門的なクリーニングにより除去します。
セルフケアの指導
いくら歯科できれいに歯をクリーニングしても、自宅でのセルフケアがおろそかでは意味がありません。予防歯科では、ご自宅でご自身でのセルフケアの方法なども指導、アドバイスさせていただきます。セルフケアを充実させることによって、より高い予防効果を得ることができます。
定期検診
歯科医院での定期的な検診は、虫歯や歯周病の早期発見にもつながり、虫歯が大きくなること、歯周病が重症化することを未然に防ぐことができます。
予防歯科先進国スウェーデン
スウェーデンは予防歯科の先進国とも呼ばれており、予防歯科に対して古くから取り組んでいます。
スウェーデンでは90%以上の人が年に1回以上歯科を受診しており、検診やメンテナンスを受けています。
ちなみに日本では年に1回以上歯科を受診するという人は10%以下。
しかも虫歯治療や、歯周病治療のために通っているという人がほとんどです。
この差は、80歳での残存歯数にも表れており、日本の80歳の方の歯の平均残存数が14本、スウェーデンでは21本と、差が出ています。
しかし、日本でも近年予防歯科に注目が集まり、2005年~2014年の間で、この残存歯数は約2倍近く増加しているという報告もあります。
まとめ
予防歯科についてお分かりいただけましたか?
予防歯科では
- 削らない
- 神経を取らない
- 抜かない
を基本に
- 歯のクリーニング
- セルフケアの指導
- 定期検診
などを行っています。
予防歯科は、生涯自分の歯で、食事をし生活をすることに大きく影響を与え、予防歯科の実践により人々のQOL(生活の質)は大きく向上すると考えられます。
日本でも予防歯科が浸透し、歯科はキュア(治療)からケア(予防)の時代へと変化してきています。
予防歯科が普及し、多くの方が虫歯、歯周病のない快適な口腔内環境を手に入れることができることを願っています