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治療した歯(かぶせもの等)はまたむし歯になるのか
2016年05月02日
結論から申し上げると、一度治療をした歯はする前の歯と比べて高い確率で虫歯が再発しやすくなります。
これはどんなに精密な治療を行っても、高価な薬品を使っても同じことです。
虫歯の再発を私たちは「二次カリエス」と呼びますが、どうして治療をした歯は虫歯が再発しやすくなるのでしょうか。
目次
なぜ二次カリエスになるのか
治療箇所と自然の歯には隙間がある!
虫歯の治療をすると、通常は患部(悪いところ)を削り、そこを埋める形で人口の詰め物で埋めていきます。
この人口の詰め物と自然の歯との間には、どんなに精巧な治療を施しても、顕微鏡でしかわからないレベルで隙間ができます。
きちんとケアできていなければ、隙間から汚れが入り込んでしまいます。
さらに虫歯菌はこの隙間よりもかなり小さく、間をすり抜けて隙間に入ってしまうのです。
すると汚れに虫歯菌が棲みつき、やがて虫歯の再発となります。
治療材料は劣化する
治療素材とは、一般的なもので銀歯や金歯を指します。
最近ではセラミックやジルコニアと呼ばれる新しい素材も出てきています。
しかし、どんなに優れた素材でも、自然の歯にはかないません。
人工物は自分で再生する力がなく、栄養がめぐることもありません。
すると、自ら変形して修復する力を持つ自然の歯と、削れたり酸化したりする人工物の治療素材との間には、時間をかけて少しずつ違いが出てきてしまいます。
私たちは治療素材の劣化や自然の歯との相性をなるべく高く合わせるように日々研究していますが、それでもいずれは劣化してしまうのが現状です。
もし二次カリエスになってしまったら
二次カリエスになってしまったら、一度治療した金属を外し、内側に隠れたむし歯に侵された歯質をもう一度削り取ります。
そして、治療素材を選びかぶせものや詰め物をつくり直します。
二次カリエスは被せものや詰め物の下で進行することが多く、初めての虫歯に比べて見た目でわかりづらいという怖さがあります。
「なんとなく痛む」「詰め物がずれている気がする」など心配な箇所がある場合は、早めに受診するようにしましょう。
痛みがない事もしばしば
治療の方針によっては、歯の神経を取り除く治療を受けられている方もいらっしゃいます。
このような場合、神経を抜いた歯には感覚がありませんので、虫歯が神経に到達したときのズキズキする痛みを感じないことがあります。
これによって症状が目で見て明らかなほどに進行してから歯医者さんへ行くようになるケースが稀にあります。
過去に治療している歯だけが虫歯になっているのならば不幸中の幸いと言えますが、場合によっては問題がなかった周囲の歯にまで虫歯が広がってしまうことがあります。
このようなケースを防ぐには、意識的なご自宅でのケアやチェック、そしてプロフェッショナルによる定期的な検診を受けていただくことをお勧めします。
二次カリエスを予防できるか
歯と治療した部分の間を丁寧に磨く
治療を終えた部分にはどうしても隙間ができるので、汚れや菌がたまりやす場所となっています。
また治療した個所の周囲が汚れていても、ここから繁殖した菌が隙間に入り込んでいく事もあります。
もし歯の治療をした後で詰め物や被せものをされている場合は、治療した個所はもちろん、その周囲まで念入りにケアすることが大切です。
これまでデンタルフロスや糸ようじを使ったことがなかった方も、治療を機に積極的に歯の隙間までケアするようにしてください。
また適切な歯磨きにはコツがありますので、治療を受けた歯科医院で一度ブラッシング指導を受けられてみてもよいでしょう。
ごく初期のむし歯は再石灰化で治せることも
皆さんは「再石灰化」という言葉を聞かれたことがありますか。最近はテレビCMなどでも良く耳にしますが、これは歯が自然に回復する力の事です。
ごく初期の虫歯であれば、この再石灰化を促進することで治せるケースがあります。
自然の歯は一度削ってしまうと元には戻らないので、虫歯の早期発見と再石灰化の促進で削らずにリスクを回避していく事が理想です。
再石灰化の促進には一般的にはフッ素塗布や食事指導などを行います。
定期的な歯科検診とメンテナンス
歯が痛む状態の虫歯は、すでにかなり進行してしまっている状態です。
最悪の場合歯の神経を抜かなければいけないかもしれません。
先でも述べた通り、自然の歯は削ってしまうと元には戻らないので、そもそも削らなければいけなくなる前に問題を未然に防ぐことが最も大切です。
痛くなる前に小さなリスクを発見し正しいケアを行うためには、定期的にプロの目を通した検診を受けていただき、日ごろのメンテナンス方法を相談することが望ましいでしょう。
先進素材(セラミックなど)は劣化しにくい
保険診療では歯科治療用の銀やプラスチックなどが用いられますが、これらは4年ほどで劣化が進むと言われています。
二次カリエスの予防には、この治療素材の劣化を最小限に抑えることも大切です。
現在の保険制度では自由診療となりますが最先端のセラミックやジルコニアで治療部分の被せもの詰め物をすることで、劣化は格段に抑えることができます。
お口の健康は全身に大きな影響を及ぼしますので、これも大切なポイントと言えるでしょう。