BLOG
セラミックとはどんな治療法で、銀歯とは何が違うのですか?
2016年06月13日
目次
銀歯は健康保険適応の治療です
歯科治療には、自費診療と一般歯科(健康保険適応内)の2種類があります。
自費診療とは、各歯科医院で治療費を定めており、全く健康保険を使用することができない治療です。
一方、一般歯科は国が定めた治療費で診療をするため、すべての歯科医院で統一価格で治療を受けることができます。
自費診療は治療費はかかりますが使用できる材料や機材に制限が無く、より品質の良い治療を受けることができます。
しかし、一般歯科では国で定められた材料や機材を使用することしかできないため、治療内容に制限があります。
一般歯科で詰め物や被せ物に使用できる材料は、ほとんどが金属です。
12%金銀パラジウム合金と言う銀色の金属を使用します。
ですので、一般的に銀歯と呼ばれます。
前歯や奥歯の限られた部分に歯科用レジンと言うプラスチック製の材料を使用することができますが、天然の歯にはほど遠い質感や色になっています。
つまり、高度のセラミックの治療は一般歯科では受けることができず、自費診療に陰られることが多いです。
セラミックとは?
一般的には、金属を使用していない材料のことを指します。
歯科では多くの歯科用金属が使用されており、その頻度もまだまだ多いです。
しかし、近年材料の研究・改良によりとても高品質のセラミック材料が開発されてきました。
現在歯科で使用されているセラミック材料は、1)ポーセレン(陶材) 2)ジルコニア 3)二ケイ酸リチウムガラス 4)ハイブリッドレジンです。
1)ポーセレン
昔から現在まで長期間使用されているセラミック材料です。
陶器等に使用されている材料を歯科用に改良したものです。
歯科で使用されているすべての材料の中で一番天然の歯に近い色調や質感を出すことが可能です。
しかい、ポーセレン単体で使用すると割れやすく、材質的にも強度が足らないので金属やジルコニアでできたフレームの上に焼き付ける歯科補綴物がほとんどです。
2)ジルコニア
酸化ジルコニウムと言う材料を歯科用に改良しています。
白色をしており磨くと適度な光沢感があり、天然の歯に似せて歯科補綴物を作ることができます。
また、歯科用材料の中では最高レベルの硬さを有しており、強度は申し分ありません。
しかし、硬すぎることと、逆に硬すぎることで割れやすくなってしまう材料でもあります。
また、透明感が足らないので単体で使用すると少し審美性が劣ります。
なので、表面にステイニングと言う色を塗る作業を施したり、フレームとして使用して上にポーセレンを焼き付ける方法が取られています。
3)二ケイ酸リチウムガラス
ガラス製のセラミック材料です。
ガラスと言っても窓等に使用されている透明な物ではなく、何種類もの歯の色に合わせた材料があり、それを溶かして歯の形にします。
色調と透明感に優れているので審美性がとてもいいです。
しかし、ガラス製なためやや強度が弱く、割れてしまう可能性もあります。
また、部位によっては強度不足で使用できないこともあります。
4)ハイブリッドレジン
歯科用プラスチックにセラミックの粉末を混ぜ込み、どちらの長所も取り入れた材料です。
歯科用プラスチックは研磨性と操作性にすぐれ、セラミックの粉末は強度をあげることができます。
しかし、長所を掛け合わせたことにより、短所も掛け合わされてしまっています。
結果、操作性は優れますが、色調も質感もそこそこで、なにより他のセラミック材料に比べてプラーク(歯垢)が付着しやすいことが知られています。
セラミックと銀歯の違い
とにかく、セラミック材料はすべて歯の色に似せているので、銀歯と比べて審美性は比較にならないくらい優れています。
また、セラミックは金属を使用しない物も多いので、金属アレルギー等を引き起こす心配がありません。
結果、生体親和性も優れています。
そしてなにより、一般歯科で使用されている12%金銀パラジウム合金はお世辞にも良い金属とは言えません。
世界的に見ると国によってはアレルギーの観点から歯科の使用を禁止している所もあります。
また、この12%金銀パラジウム合金は歯よりも硬いので、残存歯にも悪影響を及ぼす可能性もあります。
セラミックの材料の中も歯よりも硬い物はありますが、用途によって使用する材料を変更しますし、歯と同じくらいの硬さや質感の物もあるので、より噛み心地がよくなり、また残存歯にも優しいと言えるでしょう。
現在は部位によっては一般歯科でも白い歯を入れられます
現在、法改正により、一般歯科でも白い歯を入れることができるようになりました。
それはCAD/CAM冠といい、機械で歯を設計して削りだす歯科補綴物です。
現在、上と下の顎の第一小臼歯、第二小臼歯と金属アレルギーの患者さんに限り第一大臼歯も適応になりました。
材料的には、歯科用レジンのブロックを削り出すので単色にはなりますが、白い歯に似せた材料になります。
今後適応範囲が広がり、すべての歯を一般歯科でもある程度白くすることができる日が来るかもしれません。