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歯周病と虫歯の違いって何ですか
2016年06月20日
目次
歯周病も虫歯も同じ感染病ですがそれぞれ原因菌が異なります。
虫歯と歯周病には異なった原因菌が存在します。
それぞれの原因菌はなんらかの経路を介在して人の口腔内に入り込み、虫歯や歯周病の症状を発症する感染症です。
虫歯を引き起こす原因菌はミュースタンス菌といい、唾液や歯垢や歯石の中に存在します。
歯周病を引き起こす原因菌は主にアクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス(A.A菌)、プロフィロモナス・ジンジバリス(P.G菌)、プレボテーラ・インテルメディア(P.I菌)、スピロヘータなどで、こちらも同様、歯垢や歯石、唾液中に存在します。
皆さんには虫歯や歯周病は実は、風邪等と同様感染症の一種なのです。
人は産まれたときは口の中に菌は存在しません。
しかし、生活していく中で家族から感染し、口腔内で繁殖します。
虫歯も歯周病も歯を失う原因になります。
虫歯は、虫歯の原因菌が歯の表面から侵食していき、歯の中央にある神経まで達すると痛みを発症さます。
もっと浸食が進むと、歯の根っこまで感染して歯自体をダメにしてしまいます。
発症初期段階の虫歯ならば、その虫歯になった部分を削り取るだけで済むのですが、もし虫歯菌が歯の中央にある神経まで達すると抜髄といって神経を抜く治療をしなければならず、最悪の場合、歯を抜かなければならなくなります。
実は歯周病も歯を失う大きな要因になります。
歯周病と聞くと歯茎の病気だと分かって頂けると思います。
しかし、なぜ歯茎の病気である歯周病が、歯を失う原因になるのでしょうか?
歯周病になると、歯茎が赤く腫れあがったり、常に歯茎から出血が見られたりします。
そして、歯周病が進行すると少しずつ歯茎が退縮(痩せる)していきます。
そうすると同時に、歯を支えている歯槽骨という骨も痩せていき、歯がグラグラとぐらつきはじめます。
もっと病状が進行すると歯が抜けてしまいます。
実は、虫歯で歯を失うのと同じくらいの頻度で歯周病によって歯を失ってしまうことがあります。
治療方法が違います。
虫歯ですと、軽度の場合は虫歯菌によって浸食された部分、黒くなった部分を削り取るだけで済むこともあります。
また、削り取る量が少し多くなってもCRといってプラスチック製の材料を歯に詰めるだけで治療を終えることができます。
虫歯の侵攻が重度の場合は、抜髄といって神経を取って金属やプラスチックで土台を作り、その上に被せ物をして虫歯に侵されて削り取った部分を歯科補綴物で修復させます。
歯は残念ながら自然治癒能力がなく、一度削ったり失った部分は決して元に戻ることはありません。
つまり、削ったら、抜いたら最後、元には戻らないのです。
一方、歯周病の治療はどうでしょうか?
歯周病は、基本的に口腔内を清潔に保つことができれば病状は改善されます。
日々のメインテナンスである歯磨きをしっかり行い、また定期的に歯科医院でクリーニングや歯石取りを行っただけで改善される場合もあります。
重度の歯周病の場合、歯内療法といって薬を投与することで歯周病菌を抑えて歯周病を治療する方法もあります。
歯茎は歯と違い自然治癒能力があるので、一度歯周病になってしまっても、しっかりした治療を受けられれば元の状態に戻ることができます。
実は怖い歯周病
虫歯と歯周病、どちらが深刻かと問われたら、もしかしたら虫歯と答える方が多いと思います。
虫歯は痛みを伴いますし、まずみなさんは歯科医院に歯が痛くなってから来院されると思います。
つまり、歯周病に悩まされて歯科医院に来られる方はもしかしたら少ないのかも知れません。
しかし、歯周病は日本人成人の約80%の人がかかっているとされています。
何より、歯周病菌が原因で体に悪影響を与える可能性もあります。ここで、何個か触れてみたいと思います。
1)糖尿病との関係
糖尿病は歯周病を重症化させやすいと同時に,歯周病が糖尿病を重症化させる因子にもなっていると言われています。重度の歯周病患者では炎症細胞から作られるサイトカインがインスリン抵抗性を惹き起こし,血糖値のコントロールが出来なくなります。
2)誤嚥性肺炎との関係
嚥下機能低下により歯周病原因菌などが肺に誤嚥されると肺炎の原因になります。通常では誤嚥された細菌は速やかに肺胞のマクロファージなどによって排除されますが,免疫力の低下により肺炎になります。
3)早産・低体重児出産との関係
歯周病から発せられる物質が,血流を介して胎盤に流入しそれが原因で早産を引き起こします。また、歯周病に罹患している妊婦は,早産に対し4倍,低体重出産に対し5倍のリスクがあると報告されています。
4)心臓疾患・動脈硬化との関係
歯周病原因菌による炎症から血の固まりができやすくなり,動脈硬化や心筋梗塞や狭心症などを引き起こす原因となります。また,心臓の内側にある心内膜の炎症を引き起こし,細菌性心内膜炎も起こしやすくします。
虫歯予防も歯周病予防も日々のセルフケアが重要です。
まずは虫歯や歯周病にならないようにするためには、毎日のセルフケアをしっかり行うことが望ましいです。
皆さんが毎日できるセルフケアは歯磨きです。
そして、虫歯や歯周病は体質的なことも関係しますが、口腔内のバランスが崩れた時に発症しやすいものでもあります。
人の口腔内は何百種類という細菌が共存しており、絶対に虫歯菌も歯周病菌も持っています。
しかし、すべての人が虫歯や歯周病になるわけではありません。
ですので、やはり歯科医院で定期検診を受け、虫歯・歯周病予防を行うことで、清潔で健康な口腔内を保つことができます。
もし、虫歯や歯周病になってしまっても、きちんとした治療を行えば治すことができるので、まずは歯科医院で自分の口腔内を診てもらいましょう。