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痛くもないのに、歯医者さんで「虫歯がある」と言われました。治療の必要はあるのですか?
2016年08月29日
歯石の除去や定期検診で歯医者に行く場合、患者さんは歯を治療するとは全く想像していません。
それにも関わらず「虫歯がある」と診断され、治療を勧められた経験がある人もいると思います。
とは言え、痛くもないのに虫歯があると言われても、到底納得できないでしょう。
では、実際にそんな時に治療が必要であるかを考えてみます。
目次
1. 治療の必要はある
まず結論から言っておくと、虫歯があると言われたなら治療する必要があります。
虫歯には痛いという自覚症状があり、多くの人はその自覚症状で痛みに気付きます。
しかし、初期の虫歯には自覚症状がなく、その場合は虫歯にも関わらず痛みを感じないのです。
つまり、これは“虫歯があるけどそれに気付いていない”というケースです。
歯科医はこうして初期状態の虫歯を発見できるからこそ、一定おきの定期検診を勧めているのです。
痛いと感じるのは虫歯がある程度進行している証であり、
痛くないこの段階で治療すれば、患者さんにとっても短期間で苦痛のない治療が可能です。
2. 虫歯の段階
虫歯の状態は進行や状況に応じて5段階に分けられます。
正確にはC0、C1、C2、C3、C4の5段階で、C0やC1の状態なら痛みは感じません。
最も、C1のレベルになると痛みはないものの、冷たい物がしみるといった自覚症状はあるかもしれません。
痛くもないのに虫歯だと診断された場合、段階としてC0かC1の状態であることが考えられます。
どちらも深刻な症状ではないですし、特にC0は虫歯というより虫歯になりかけの状態です。
もしC0の状態なら、削らずにフッ素で治療できることもあるのです。
3. 自覚症状がない理由
虫歯が痛むのは、何も虫歯菌が痛みを発しているからではありません。
虫歯菌によって歯がダメージを受け、それが痛みとなって感じるからです。
しかし、歯の表面はエナメル質というバリアに覆われているため、多少の刺激では痛みを感じません。
初期の虫歯はこのエナメル質までしか到達していないため、痛みという自覚症状がないわけです。
一方、エナメル質の奥には象牙質が存在しており、ここは神経が非常に敏感です。
このため、虫歯が象牙質まで進行することで、初めて痛みという自覚症状が起こるのです。
4. 目で見て異常がない場合
ここまでの説明で、痛くなくても虫歯の可能性があること、そしてその理由が分かると思います。
では、目で見て異常がなかった場合はどうなのでしょうか?
例えば、歯医者に行く前日に鏡で歯を見た時、一見何の異常もなかったとします。
そんな状態にも関わらず翌日歯医者で虫歯と診断されたら、当然患者さんは納得できないでしょう。
しかし、初期の段階の虫歯は目で見つけることも難しいのです。
特に、C0の段階では溝が変色しているだけで穴も空いていないですし、
穴が小さいC1の段階でも、見えにくい奥歯や上の歯であれば目で見て気付くことは困難です。
つまり、一見異常がないと思っていても、歯科医が検診すれば虫歯が発覚することもあるのです。
5. 自覚症状のない歯の病気は多い
今回のテーマのように、自覚症状がなくても歯に異常があるというケースは意外に多いです。
虫歯の初期段階についてはここまで説明したとおりですし、
成人のほとんどが患っていると言われる歯周病も自覚症状はありません。
そもそも歯を失う要因として歯周病が多いのも、
自覚症状がなく気付いた時には相当進行してしまっているからなのです。
つまり虫歯に限らず、痛みや違和感がないのに歯医者が治療を勧めるケースは珍しくないですし、
むしろそれは初期段階で歯の異常を発見して治療ができることを幸運に思うべきです。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、痛くもないのに歯医者さんに「虫歯がある」と診断されるケースについてまとめます。
- 治療の必要はある :初期段階の虫歯なら痛みはない。例え初期でも虫歯である以上は治療するべき
- 虫歯の段階 :C0~C4までの5段階。初期のC0やC1の段階だと痛みは感じない
- 自覚症状がない理由 :虫歯菌が象牙質に達していなければ、痛みという自覚症状はない
- 目で見て異常がない場合 :C0やC1の段階では、自身の目で見て虫歯に気付くことも困難
- 自覚症状のない歯の病気は多い :初期の虫歯だけでなく、歯周病も自覚症状がない
これら5つのことから、痛くもないのに歯医者さんに「虫歯がある」と診断されるケースが分かります。
多くの人が間違った知識になっているのが、「歯が痛くない=歯に異常はない」という認識です。
痛いと感じるのは自覚症状であり、自覚症状はある程度症状が進行しているから起こるものです。
つまり、痛くないからといって必ずしも健康とは限らないのです。
最も、そうすると患者さんは「だったらどうすれば歯の異常を早期発見できるのか?」と思うでしょう。
それを実現できるのが、歯医者で行っている定期検診なのです。
言い方を変えれば、定期検診はこうして自覚症状のない虫歯などを発見できるからこそ意味があり、
それが定期検診に行くことの患者さんのメリットでもあるのです。