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インプラントに保険が適用されることがあると聞きました。詳しく教えてください
2016年10月03日
失った歯を取り戻せる、そんなキャッチコピーで注目されているのがインプラント治療です。
人工の歯の根を埋め込み、第2の永久歯と言っても過言ではない丈夫さと美しさを誇りますが、
インプラント治療は保険が適用できないという大きなデメリットがあります。
ところがここ最近、厚生労働省の取り決めにより条件次第で保険が適用されるようになったのです。
目次
1. 常に保険が適用されるわけではない
まず言っておくと、どんな場合でも保険が適用できるというわけではありません。
保険適用の有無のポイントになるのは、インプラント治療をする理由と実際に治療を受ける施設です。
これら2つにおいて特定の条件を満たした場合、保険を適用することができるのです。
以下の項目で具体的な条件についても触れていきますが、その条件は非常に厳しくなっています。
正直言ってしまえば、「まず保険は適用されない」と思っておいた方がいいかもしれません。
少なくとも、審美目的でインプラント治療をする場合は100%保険は適用されません。
2. 症状の条件
保険が適用されるケースは、事故や病気などが原因でインプラント治療でなければ回復できないケースです。
つまり、インプラント治療をしたいからするのではなく、せざるを得ないと判断された場合になります。
具体的には、以下のような症状であることが条件になります。
- 先天性の疾患により顎骨の1/3以上が連続して欠損、形成不全の状態である
- 病気や外傷などで広範囲にわたって顎骨を欠損している
ちなみに、先天性の疾患とは生まれながらの病気という意味です。
また、広範囲にわたって顎骨を欠損とありますが、具体的な範囲や欠損状態は以下のとおりです。
- 上顎の骨で1/3以上が欠損。また、欠損が上顎洞や鼻腔へつながった状態
- 下顎の骨で1/3以上が欠損。また、腫瘍などの病気によって下顎を切除した状態
いくら病気や事故とは言え、これらの症状に該当しなければ例外なく保険は適用されません。
3. 施設の条件
例え上記で説明した条件を満たしていても、それだけでは保険は適用されません。
厚生労働省によって定められた条件を満たす医療機関で治療を受ける、それもまた必須条件になるのです。
つまり、どの歯科医院でもいいというわけではなく、下記の条件を満たした施設でなければなりません。
- 歯科、もしくは歯科口腔外科を診療科目に設けている保険医療機関
- 入院用のベッド数が20以上完備されている病院
- 当直体制が整備されている
- 国が定める医療機器や医薬品の管理が整備されている
- 歯科、あるいは歯科口腔外科の治療経験が5年以上、インプラント治療経験が3年以上の医師がいる
- 上記の治療経験を満たした医師が常勤で2人以上配置されている
これらの条件を全て満たした医療機関でなければ、症状関係なく保険は適用されないのです。
この点から見ると、一般の歯科医院では条件を満たすことはまず不可能でしょう。
4. 条件が厳しい理由
ここまで条件が厳しいのは、適用される保険の類が健康保険だからです。
健康保険はその名のとおり、健康のために必要な最低限の治療の時のみ適用されるのが基本です。
つまり、審美目的や好みという理由では健康保険は適用されないのです。
最も、これは他の治療においても同じことが言えます。
例えば被せ物に使うセラミックですが、セラミック治療は見栄えが美しいという審美目的を含んでいるため、
この場合もやはり保険は適用されないですし、同じ審美治療で言うとホワイトニングも同様です。
5. インプラント治療以外の選択肢
事故や病気が原因のやむを得ない場合のインプラント治療でも、
ここで説明した条件を満たしていなければ保険は適用されません。
でも高額な治療費は払えない、そういう時には別の選択肢があります。
インプラントに代わるものとしては入れ歯やブリッジになり、
保険が適用されないことが理由で治療を断念した場合は、これらで対処することができます。
また、入れ歯やブリッジにおいてはインプラント治療ほど厳しい条件はありません。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、インプラントに保険が適用されるケースについてまとめます。
- 常に保険が適用されるわけではない :国が定めた条件を満たす症状、施設でなければならない
- 症状の条件 :審美目的では保険は適用されない。病気や事故だとしても条件は厳しい
- 施設の条件 :症状同様に条件は厳しく、一般の歯科医院ではまず条件を満たせない
- 条件が厳しい理由 :健康保険は審美目的が少しでも含まれていると適用されない
- インプラント治療以外の選択肢 :入れ歯、ブリッジという選択肢もある
これら5つのことから、インプラントに保険が適用されるケースが分かります。
ちなみに、以前はインプラント治療では例外なく保険は適用されませんでした。
ところが、平成24年の4月から今回紹介したケースのみ保険が適用されるようになったのです。
現状、保険が適用されるケースには非常に厳しい条件が求められていますが、
今後またいずれルール改訂され、条件が緩和される可能性もゼロとは言えません。
このため、このルールもあくまで現時点のものと思って参考にしてください。