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歯周病は母子感染する?
2016年11月14日
歯周病は細菌の感染によって引き起こされる病気であり、その点では風邪と似た部分があります。
と言うことは、歯周病も風邪と同じように人にうつるのではないかという疑問が浮かびます。
もし感染するのであれば、本来歯周病になる可能性の少ない子供にもうつってしまうことになり、
ここでは歯周病が母子感染する可能性について考えていきます。
目次
1. 母子感染の可能性
結論から言うと、歯周病が母子感染する可能性はあります。
とは言え、歯周病そのものがうつるわけではなく、歯周病菌がうつると表現するのが的確です。
ちなみに、感染経路は唾液です。プラーク内の歯周病菌が、唾液を介してお子さんにうつってしまうのです。
逆に言えば、唾液を交えることがなければうつらないわけですが、母子で唾液を交える機会は多々あります。
食事の際に口移しで食べ物を与えることもありますし、同じ食器を使うこともあるでしょう。
また、スキンシップのためにキスすることもあると思います。これら全てが、うつる要因になるのです。
2. 歯周病がうつる確率
口内の病気で同じように母子感染するものを挙げると、虫歯がそれに該当します。
つまり、虫歯も歯周病も母子感染する可能性があるわけですが、
虫歯に比べると歯周病がうつる確率は低くなります。
これは、乳歯の場合は永久歯に比べて歯周ポケットが浅く、深い溝のある箇所が少ないからです。
簡単に言えば、小さなお子さんの口内は歯周病菌にとって棲みにくい環境であり、
その分虫歯に比べるとうつる可能性は低いのです。しかし、うつる可能性があることには変わりありません。
3. 母子感染を防ぐには
歯周病の母子感染を予防する方法は二つあり、一つはお子さんの口腔内のケアを万全にしてあげることです。
スキンシップのキスも含め、食事などの後には綺麗に歯磨きしてあげてください。
もう一つの方法は、お母さんも日頃から自身の口腔内のケアを徹底することです。
毎日の丁寧な歯磨きはもちろん、歯科医院で定期検診を受けるのもおすすめです。
特に、歯周病は自覚症状がないという厄介な特徴を持っています。
このため、予防はもちろんのこと、初期段階で発見するためには定期検診は欠かせないのです。
4. 女性は歯周病になりやすい
世の中のお母さんがもっと歯周病に危機感を抱く事実を挙げると、
実は女性は男性に比べて歯周病になりやすいという特徴を持っています。
これは、プラーク内の細菌と女性ホルモンが綿密な関係を持っているためです。
女性が歯周病になりやすい時期は人生に三回あると言われています。
ちなみに、一回目は初潮時、二回目は妊娠時、三回目は更年期です。
これらの時期では歯肉が刺激に敏感になるため、ケアを怠ると歯周病を引き起こしてしまうのです。
5. 妊娠中はさらに注意が必要
歯周病の母子感染にも注意する必要がありますが、それ以上に注意が必要なのが妊娠中の歯周病です。
これは実際にデータでも証明されていることですが、妊娠している女性が歯周病になると、
早産や低体重児を出産するリスクが約7倍も高まってしまうのです。
つまり、妊娠中も歯周病に注意する必要がありますし、
今回のテーマのように母子感染を防ぐために出産後にも注意する必要があります。
その意味では、母になる資格を持った時点で女性は今まで以上に歯周病に注意しなければならないのです。
6. 虫歯にも注意
虫歯も歯周病同様に細菌の感染によって引き起こされる病気です。
つまり、歯周病と同じように虫歯も母子感染するということです。
感染経路はやはり唾液であり、上記で説明したようにキスや食器の共用などでうつります。
特に、2歳や3歳で虫歯になってしまうとそれ以降虫歯菌が棲み続けてしまうため、
うつったお子さんは「虫歯になりやすい体質」になってしまうのです。
このため、赤ちゃんの乳歯が生えてくる時期は特に注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、歯周病は母子感染するのかについてまとめます。
- 母子感染の可能性 :歯周病は細菌によって引き起こされる感染症のため、うつる可能性はある
- 歯周病がうつる確率 :虫歯に比べると高くないものの、確率はゼロではない
- 母子感染を防ぐには :母と子供がそれぞれ口腔内のケアを万全にする
- 女性は歯周病になりやすい :女性ホルモンの関係で、女性は男性に比べて歯周病になりやすい
- 妊娠中はさらに注意が必要 :妊娠中に歯周病になると早産や低体重児を出産するリスクが高まる
- 虫歯にも注意 :歯周病同様に虫歯も母子感染する。感染経路も全く同じで「唾液」
これら6つのことから、歯周病は母子感染するのかについて分かります。
「歯周病がうつる」と言うとイメージしにくいでしょうが、「細菌がうつる」と言うと分かりやすいと思います。
歯周病を引き起こす歯周病菌、それは唾液を介して母から子にうつるのです。
うつることでお子さんの口内に歯周病菌が棲みつくことになり、
それはお子さんが歯周病を引き起こす可能性を持ってしまったことを意味するのです。