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総入れ歯になった場合、噛み方にコツなどはあるのでしょうか?
2017年01月30日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「総入れ歯になった場合の噛み方のコツ」です。
総入れ歯を使っている人の声を聞くと、「噛みにくい」という意見を多く聞きます。
さらに言えば、噛みにくいと答えた人のほとんどが総入れ歯を使って間もないという傾向があります。
この傾向から分かるのは、総入れ歯の噛みにくさは慣れで改善されるということです。
と言うことは、総入れ歯になった場合には噛み方にコツがあることになります。
目次
1. 前歯で噛まない
これは人間のクセとも言えるべきことで、総入れ歯になると前歯が噛もうとする人が多いです。
そもそも総入れ歯になるということは歯を失ったということですが、
歯を失う場合大抵は奥歯から失うことがほとんどです。
奥歯を失うと前歯で噛もうとしますが、この時についたクセが総入れ歯になっても残っているのです。
ちなみに、前歯は噛み切る力はあるものの噛んで小さくする力はあまりありません。
さらに前歯で噛むと総入れ歯が外れてしまうこともあるため、前歯で噛まずに奥歯で噛むようにしましょう。
2. 左右両側で噛む
総入れ歯はインプラントのようにしっかりとした支えがあるわけではないので、
力の掛かり方によっては簡単に外れてしまいます。
自身で取り外しできる設計になっているため、簡単に外れるようになっているのです。
片側だけで噛んだ場合、当然噛んだ側だけに力が掛かります。
一方噛んでいない側には力が掛かっていないため、この状態になると噛んでいない側が浮いてしまいます。
これはシーソーと全く同じ原理です。シーソーを均等に保つには両側に同じ力を掛けなければなりません。
シーソーの一方だけに力を掛ければ、もう一方が浮き上がってしまうからです。
これと同じで、左右両側で噛まないと総入れ歯の一方が浮いて不安定になってしまうのです。
3. 調理方法にもこだわる
いくら正しい噛み方をしても、天然の歯と総入れ歯とでは頑丈さが全く異なります。
このため、天然の歯と全く同じスタイルの食生活をしていては、総入れ歯に負担を掛けてしまうのです。
例えば、食材の大きさを考えるだけで総入れ歯でもスムーズに噛めるようになります。
できるだけ小さめに切る、さらに噛み切りやすさを考えて薄く切りすぎないようにする、
調理時のこうしたささいな工夫が総入れ歯で噛むのを楽にさせてくれるのです。
また、硬すぎると総入れ歯では噛み切れないため、煮るなどの調理方法を主にするといいでしょう。
4. 食べ物の温度も考える
噛むという論点からは外れますが、食事の際の注意点として忘れてはならないのが食べ物の温度です。
総入れ歯の場合、上顎で温度を感じにくくなるため、天然の歯と違って熱さを感じにくくなります。
そのせいで本来なら熱すぎる物も違和感なく食べてしまえるため、それで火傷を招く恐れがあるのです。
このため熱い物を食べる時には注意が必要ですし、飲み物においても同じことが言えます。
最も、近年ではこの問題に対処した入れ歯も存在しており、素材次第では天然の歯同様の感覚が得られます。
ただしこの場合、入れ歯とは言え保険が適用できないケースがあるため、費用が高くなるのがネックです。
5. 柔らかい物から食べて慣れていく
噛み方のコツが分かったとしても、いきなりそれを実践したところで不自由さを感じるのは避けられません。
奥歯で噛むべきと意識しても、前歯で噛むというクセはすぐには改善されないでしょう。
そこで一つアドバイスを送ると、まずやわらかい物を食べて徐々に慣れていくことです。
それで問題なければ少し硬い物を食べてみる、そうやって噛む物をステップアップさせていくのです。
そうすれば総入れ歯で噛むのにも慣れてきますし、慣れが噛み方を上手にもさせてくれるのです。
ちなみに、いくらやわらかいといってもタコやイカなどを噛むのは難しいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、総入れ歯になった場合の噛み方のコツについてまとめます。
- 前歯で噛まない :前歯は噛み切ることはできても小さくできない。前歯で噛むクセがある人は要注意
- 左右両側で噛む :シーソーと同じ原理。総入れ歯の場合は一方だけで噛むともう一方が浮いてしまう
- 調理方法にもこだわる :食材を小さく切るなど、食べやすい大きさで調理することもコツの一つ
- 食べ物の温度も考える :総入れ歯は熱さを感じにくい。火傷防止のために熱すぎる物は要注意
- やわらかい物から食べて慣れていく :まずやわらかい物を食べて徐々に硬い物に挑戦するといい
これら5つのことから、総入れ歯になった場合の噛み方のコツが分かります。
噛み方の意識としては「左右両方の奥歯を使って噛むこと」です。
これは難しいことではないものの、人によっては噛む時のクセを改善する必要があります。
また、噛むに限らず食生活全体をテーマにして注意点を挙げるなら、
総入れ歯は熱さを感じにくいため、うっかり熱すぎる物を食べてしまわないように注意してください。
後は慣れで解決する問題も多いため、最初はやわらかい物を食べてそこから総入れ歯に慣れていきましょう。