BLOG
インプラントは保険適応しますか?
2017年02月06日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「インプラントと保険の適応について」です。
失った歯を取り戻せるという点で、インプラントは歯科の中で今最も注目されている治療です。
人口の歯の根を埋め込むことで入れ歯にはない安定性を実現させ、
なおかつ天然の歯と遜色ない美しさや実用性があるのです。
唯一の欠点は費用の高さであり、ここではインプラントと保険適応の有無について説明していきます。
目次
1. 基本的に保険は適応されない
先に結論を言っておくと、インプラントは基本的に保険適応されない治療です。
これはインプラント治療に審美目的があるからです。例え歯を失っていたとしても、
審美性のあるインプラントは最低限の治療とは言えず、健康保険の対象外になるのです。
そもそも健康保険適応となるのは健康を維持するための最低限の治療のみです。
確かに、インプラントは歯のないことへの対処としては必要な治療であるものの、
入れ歯と違って歯の美しさや実用性など、最低限を超えた治療内容になるのです。
このため、インプラントでは基本的に保険適応とならないのです。
さて、ここで「基本的」と挙げているのは例外もあるからで、その点に関して以下で説明していきます。
2. 条件次第で保険適応に改正
以前までインプラントは例外なく保険適応されない治療でした。
しかし、平成24年の4月にこれが改正され、条件次第で保険適応されるようになったのです。
ただしその条件を満たすのは相当厳しく、少なくとも美しさを求める目的では絶対に保険は適応されません。
保険適応となる条件は事故や生まれつきの病気により、やむを得なくインプラント治療が必要なケースです。
また、例え事故や病気が理由だとしても、一定以上の顎骨の欠損などが認められないといけないですし、
治療を受ける歯科医院においても保険適応の条件に含まれているのです。
3. 条件の詳細
では、具体的にどんな条件を満たした時に保険適応となるのかを説明します。
インプラント治療で保険適応されるには、以下の症状であることがを前提になります。
- 顎骨の1/3以上が連続して折損や形成不全の状態にあり、それが医科の保険医療の主治医によって先天性の疾患(生まれつき)によるものと診断された場合
- 病気や外傷などで広範囲で顎骨を欠損している、さらにそれを骨移植術などの方法で再建している場合
つまり、腫瘍などの病気や外傷による症例です。
さらに、治療を受ける歯科医院にも以下の条件が必要です。
- ベッド数20以上を完備している病院
- 宿直医と日直医の当直体制が整っている
- 国が定める医療機器や医薬品の保管と安全性確保の整備がされている
- 歯科あるいは歯科口腔外科を診療科目に設けている保険医療機関である
- 歯科あるいは歯科口腔外科での治療経験が5年以上、インプラント治療経験が3年以上を有する医師が常勤で2人以上配置されている
この点から見て分かるとおり、
少なくとも街の近所の歯科医院で保険適応のインプラント治療を受けることは不可能です。
4. 医療費控除の対象になる
保険適応の条件が厳しいインプラント治療ですが、医療費控除の対象にはなります。
また、この場合は審美目的であったとしても適応となるので覚えておきましょう。
医療費控除は1年間に10万円以上の医療費を支払った場合、納めた税金の一部が返還される制度です。
インプラント治療を受ける時点で10万円の費用は確実にこえるため、
レシートや領収書の類は必ず保管しておいてください。また、納めた税金の一部が返還されるという点で、
所得が多い人ほど税金も多く納めていますし、それだけ返還される金額も多くなります。
ちなみに、歯科ローンなどの分割払いを用いた場合も医療費控除は適応されます。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、インプラントと保険の適応についてまとめます。
- 基本的に保険は適応されない :インプラントは審美目的を含んでいるため、基本的に保険適応されない
- 条件次第で保険適応に改正 :平成24年4月以降、一定条件を満たした場合保険適応されるようになった
- 条件の詳細 :審美目的ではなく事故や病気による治療であることが前提。その他の条件も厳しい
- 医療費控除の対象になる :インプラントは医療費控除の対処にはなるため、レシートや領収書は必ず保管
これら4つのことから、インプラントと保険の適応について分かります。
平成24年以降から、インプラントも条件次第で保険が適応される治療になりました。
ただし現状ではそのための条件は厳しく、実際に保険適用とならないケースがほとんどです。
見逃しやすいのは医療費控除で、「保険が適応されない=医療費控除の対象外」と考える人が多いのです。
しかし、インプラントにおいてもこれは例外ではなく、医療費控除の対象としていくらかお金が戻ってきます。
これを利用しない手はないので、治療費におけるレシートや領収書は必ず保管するようにしてください。