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詰め物がとれたまま放置するとどんな問題がありますか?
2017年03月06日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「詰め物がとれたまま放置した際に起こる問題」です。
虫歯治療の際に処置でつけた詰め物は、歯と接着させることでくっついています。
と言うことは、接着がはがれてしまえば詰め物はとれてしまうのです。
実際に詰め物がとれたという経験のある人は多いでしょうし、そのために歯科医院に行った人もいるでしょう。
ここで問題なのは、詰め物がとれたのにそのまま放置するパターンです。
では、詰め物がとれたまま放置するとどんな問題が起こってしまうでしょうか?
今回はそのこと、つまり「詰め物がとれたまま放置した際に起こる問題」についてお伝えしていきます。
目次
1. 詰め物がとれたまま放置すると起こる問題
詰め物がとれたまま放置すると、以下のような問題が起こります。
このため放置が厳禁なのはもちろん、
近く歯科医院に行くつもりだとしてもその間はこれらのことに注意する必要があります。
1-1. 虫歯になりやすくなる
詰め物がとれた状態の歯は、象牙質が露出しています。
本来歯の表面にはエナメル質があり、このエナメル質が壁の役割を果たして歯を守っているのです。
エナメル質の奥には象牙質がありますが、象牙質は刺激に対して非常に敏感です。
例えば、虫歯になると冷たいものや熱いものがしみるようになりますが、
これは虫歯が原因で歯に穴があき、冷たさや熱さが刺激となって象牙質に伝わってしまうからなのです。
つまり、エナメル質のない歯は刺激に敏感な上、細菌から守ることもままならない状態です。
さて、詰め物をする時には歯を削りますが、これによってエナメル質は失われます。
と言うことは、詰め物がとれた歯はエナメル質に覆われておらず、象牙質がむき出しになります。
言わば保護されていない状態の歯に等しく、そのせいで虫歯になりやすくなってしまうのです。
1-2. 歯が割れる危険性がある
詰め物がとれた状態の歯は脆く、噛む力次第では簡単にヒビが入ってしまいます。
実際に成人男性の平均咬合力から考えてみると、
その力が詰め物のとれた歯にそのまま掛かったとしたら、数値的には簡単に歯が割れる計算になります。
では割れた場合どうなるかですが、仮に歯の真ん中あたりまで割れたとしたら、
場合によっては神経の処置、すなわち神経を抜くことが必要なケースもあります。
さらに歯の根元付近まで割れてしまえば、処置不能として抜歯に至ることもあるのです。
抜歯してしまえば当然歯を失うことになりますし、失った歯を取り戻すことはできません。
その場合、入れ歯で対応するか高額なインプラントを検討するしかないでしょう。
このように、詰め物の放置が歯を失う結果をもたらす可能性もあるのです。
1-3. 熱いものや冷たいものを飲食できない
上記の「虫歯になりやすくなる」でも説明しましたが、詰め物のとれた歯は象牙質がむき出しになっています。
象牙質は刺激に対して非常に敏感で、熱さや冷たさも刺激となって感じてしまいます。
そんな敏感な象牙質がむき出しになっているため、熱いものや冷たいものの飲食で歯が痛むようになります。
正確に表現すれば、「温度差のある刺激が痛みとなって感じる」で、この状態を知覚過敏と言います。
虫歯になった時、熱いものや冷たいものを食べて歯がしみた…そんな経験のある人もいるでしょう。
詰め物がとれた歯を放置することで、これと全く状態になってしまうのです。
そもそもなぜ象牙質は刺激に敏感なのかを解説すると、
象牙質には象牙細管という管があり、これが神経に繋がっています。
この象牙細管が露出してしまうことで、痛みを歯の神経に伝えやすくなってしまうのです。
2. 詰め物がとれた時に注意すべきこと
詰め物がとれた時に注意すべきことはいくつかありますが、
上記でお伝えしたことを振り返ると、詰め物がとれた際の注意点のいくつかはおのずと想像できます。
それを以下で説明していきますが、ちなみに最もやってはいけないのはそのまま放置することです。
2-1. 普段以上に丁寧に歯磨きする
詰め物がとれた歯は虫歯になりやすいため、それを防ぐ意味でも丁寧な歯磨きが必要です。
ちなみに、詰め物がとれた箇所の歯には隙間が生じており、そのせいで食べカスも詰まりやすくなっています。
このため、丁寧に磨かないと食べカスがどんどん重なっていき、その圧迫によって歯肉も腫れてしまうのです。
とは言え、歯磨きやうがいの際には今度は知覚過敏で悩まされるでしょう。
このため、うがいはあまり冷たい水や熱いお湯で行ってはいけないですし、
歯磨きに支障が出る点を考えるといち早く歯科医院に行くことが必要です。
2-2. 接着剤で詰め物をつけてはいけない
中にはとれた詰め物を接着剤でつけようとする人がいますし、実際につけて歯科医院に来た人もいます。
これは絶対にやってはいけない行為です。まず接着剤でつけると、
どうしても歯と詰め物の間に隙間が生じてしまいますし、そうなると隙間から細菌が侵入してしまいます。
また、詰め物がとれた箇所に細菌がつまっていれば、接着剤で詰め物をつけた際に細菌を閉じ込めてしまい、
それが原因で虫歯や膿みを招くこともあるのです。
さらに接着剤でつけた詰め物を歯科医院ではがすとなると、歯を削らなければならなくなるのです。
2-3. 詰め物を戻してはいけない
とれた詰め物を無理に戻そうとすることで、いくつかの問題が起こり得ます。
しっかり収まっていないことで噛んだ時に歯が欠ける、割れるといった可能性がありますし、
奥歯の場合は戻す作業をしている時にうっかり詰め物を飲み込んでしまう恐れもあるのです。
最も、仮に飲み込んでしまった場合、詰め物自体は身体に害はないですし、
数日後に便と一緒に出るようにはなっています。
しかし、飲み込んだ時に気管に入ってしまうこともありますし、自分で戻そうとはしないでください。
2-4. 詰め物がとれた歯で噛まない
詰め物がとれた時は食事の際、
詰め物がとれた歯で噛まないことと硬いものを食べないよう注意してください。
これらはいずれも歯が欠ける、割れるといった要因になります。
上記で説明したように、詰め物がとれた歯は非常に脆い状態になっています。
このため、強い力で噛んでしまうとそれだけで簡単にヒビが入ってしまうのです。
欠けや割れの度合いによっては神経の除去や抜歯が必要になる可能性もあります。
2-5. 熱いものや冷たいものを飲食しない
上記で説明した「熱いものや冷たいものを飲食できない」と重複しますが、いわゆる知覚過敏対策です。
詰め物がとれた歯は象牙質がむき出しになることで刺激に敏感になっており、
熱いものや冷たいものがしみる、もしくは痛むといった感覚になります。
これが知覚過敏であり、詰め物がとれた時には知覚過敏に注意しなければなりません。
とは言え、注意すると言っても熱いものも冷たいものも飲食できなければ食事は相当制限されますし、
季節によってはこうしたドリンクが飲めないこともつらいでしょう。
その意味でも、詰め物がとれた際には早く歯科医院に行って治療を受ける必要があるのです。
3. そもそもなぜ詰め物はとれるのか
実際に診察してみないことには断言できませんが、詰め物がとれる原因は2つ考えられます。
1つは歯に問題が起こっているケースで、具体的に言えば虫歯です。
虫歯治療をして詰め物をした歯でも再度虫歯になることがあり、これを二次虫歯と言います。
二次虫歯と言っても症状自体は通常の虫歯と全く同じで、やはり歯を溶かしてしまいます。
そして、歯が溶けてしまうことで詰めものが合わなくなり、やがてとれてしまうというわけです。
今回は詰め物をテーマにしていますが、これは被せ物においても同じことが起こり得ます。
次に2つ目の原因ですが、詰め物やセメントに問題が起こっているケースです。
具体的には、詰め物やセメントが劣化して寿命になってとれた可能性があります。
詰め物やセメントは、もちろん永遠に効果があるわけではありません。
年数が経つことでセメントの接着は徐々にはがれていきますし、詰め物においても劣化が起こります。
こうしたセメントや詰め物の寿命で詰め物がとれてしまうこともあるのです。
最も、これらの寿命は見た目では分からないですし、自分でセメントや詰め物の寿命に気付くのは困難です。
しかし、歯科医院で定期的に検診を受けているなら話は別で、
検診のたびに歯科医が口の中をチェックするため、詰め物の異変にもいち早く気付くことができます。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、詰め物がとれたまま放置した際に起こる問題についてまとめます。
1. 詰め物がとれた時に放置すると起こる問題
- 虫歯になりやすくなる :詰め物がとれた歯にはエナメル質がなく、歯が保護されていない状態になる
- 歯が割れる危険性がある :詰め物がとれた歯は脆く、噛む力が強いと簡単に欠けたり割れたりする
- 熱いものや冷たいものを飲食できない :象牙質がむき出しになっているため知覚過敏になる
2. 詰め物がとれた時に注意すべきこと
- 普段以上に丁寧に歯磨きする :詰め物がとれたことで隙間が生じ、食べカスが詰まりやすい
- 接着剤で詰め物をつけてはいけない :細菌の侵入の要因になる上、歯を削る必要も出てくる
- 詰め物を戻してはいけない :しっかり収まらないことで、歯の欠けや割れを招く
- 詰め物がとれた歯で噛まない :詰め物がとれた歯は脆いので、噛むことで歯の欠けや割れを招く
- 熱いものや冷たいものを飲食しない :知覚過敏対策のため。当然食事制限が必要になる
3. そもそもなぜ詰め物はとれるのか :考えられる主な要因は虫歯、セメントの寿命、詰め物の寿命
これらのことから、詰め物がとれたまま放置した際に起こる問題が分かります。
詰め物がとれてしまうことはありますし、それ自体は別に深刻なことではありません。
しかし、放置することで深刻な問題に発展してしまうのです。
歯が欠ける、割れる、虫歯になる、知覚過敏になって満足に飲食できないなど、どれも大きな問題です。
詰め物がとれてすぐ歯科医院に行けば問題ないですが、
放置することでこれらの問題が現実に起こってしまうのです。