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詰め物をしておけば、もうその歯は虫歯にならないですか?
2017年03月13日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「詰め物をした歯が再び虫歯になる可能性」です。
虫歯治療をした際に詰め物で対処しますが、その歯が再度虫歯になる可能性を考えてみます。
詰め物は人工物ですし、実際に詰め物を入れる際には洗浄も行うため、
その歯はもう虫歯にならないと思ってしまいがちです。
しかしそれは間違いで、詰め物をした歯が再び虫歯になってしまう可能性はあるのです。
目次
1. 二次虫歯について
一度虫歯治療した歯が再び虫歯になることを二次虫歯、もしくは二次カリエスといいます。
これは決して珍しいケースではなく、実は成人の虫歯治療の多くが二次虫歯による再治療なのです。
<二次虫歯の要因>
詰め物は通常、専用のセメントを使って歯と接着させます。虫歯治療直後はしっかり接着されていますが、
長期間使用するにつれて噛んだ時の強い力などが影響して接着がはがれてしまうのです。
この時、詰め物ごと取れてしまえば歯科医院に行くでしょうが、問題はわずかに隙間が生じた場合です。
詰め物自体は一見接着されているため違和感に気付きません。
しかし隙間が生じていることで、気付かない間にそこから細菌が侵入してしまうのです。
当然虫歯菌が侵入する可能性もあり、そうなると二次虫歯を引き起こしてしまいます。
2. 二次虫歯は予防が難しい
二次虫歯の厄介なところは、従来の歯磨きだけでは予防が難しいことです。
通常の虫歯であれば、しっかりと歯を磨くことで予防可能です。
一方、二次虫歯の場合は問題となるのは歯と詰め物との隙間であり、
このわずかな隙間を歯磨きすることはまず不可能です。
つまり、毎日の歯磨きだけでは二次虫歯の予防は難しいことになります。
それに加えて、見た目で違和感に気付きにくいのも問題です。
通常の虫歯は歯の変色などで虫歯に気付けますが、二次虫歯は一見詰め物に覆われているため、
見た目で虫歯に気付くことができず、痛みを感じるほど進行して初めて気付くというケースがほとんどです。
3. 二次虫歯は歯を失う可能性がある
一度虫歯治療した歯が二次虫歯になるように、二次虫歯を治療した歯がまた虫歯になることもあり得ます。
そうなると、治療と虫歯発生が繰り返されることになりますし、
治療のたびに歯を削っていては治療を繰り返すうちに歯は失われてしまいます。
また、上記で説明したように二次虫歯は気付きにくい特徴があるため、
その影響で重症化しやすく、治療の際に神経を除去しなければならなくなることもあるのです。
さて、神経を除去することで再度その歯が虫歯になっても痛みで気付くことはできなくなります。
つまり見た目からも痛みからも虫歯に気付けない、二次虫歯を繰り返すとそんな状態に陥ってしまうのです。
<歯が失われていくことの問題>
虫歯治療を繰り返すことでその都度歯を削れば、歯はどんどん失われていきます。
ある程度歯が残っていれば詰め物や被せ物で処置することで歯を残せます。
しかし、それができないほど歯が失われてしまうと治療不可能になり、最終的に抜歯せざるを得なくなります。
4. 二次虫歯を予防するには
二次虫歯を予防するポイントは、最初の虫歯の際に二次虫歯の予防まで考えておくことです。
具体的な方法として、以下のような予防方法が挙げられます。
詰め物や被せ物の素材にセラミックを選ぶ
見た目の美しさだけが目立ちがちなセラミックですが、二次虫歯の予防としても効果的です。
その理由は2つで、1つはセラミックと歯との接着の相性の良さです。
セラミックは金属と違って歯との接着の相性が良いため、隙間を生じさせることなくしっかりと接着できます。
また、セラミックはプラークが付着しにくい特徴があるため、清潔な状態を維持しやすいのです。
ただしセラミックは保険が適用されないので高額になりますし、セラミック自体も複数の種類があります。
このため、実際にセラミックを希望する際は歯科医と予算や種類を相談した上で決めてください。
歯科医院で定期検診を受ける
歯科医院で定期検診を受けることは、二次虫歯に限らず通常の虫歯や歯周病予防にも効果的です。
口の中をクリーニングしてもらえるので細菌の潜むプラークや歯石を除去できますし、
口の中の状態もチェックしてもらえるため、詰め物の劣化や二次虫歯があってもいち早く発見できるのです。
また、歯磨きの方法の指導も受けることができるので、ブラッシングの精度を高めることにも繋がります。
定期検診を受ける習慣を身につければ、二次虫歯を予防できるのはもちろんですし、
仮に二次虫歯になっても早期発見できるため、虫歯の重症化を防ぐことができるのです。
削らない虫歯治療をする
虫歯の治療といえば歯を削るイメージがありますが、近年では削らない治療方法もあります。
また、本当に初期段階の虫歯なら自然に治すこともできますし、
何でもかんでも削ってしまうのは二次虫歯へのリスクを高めてしまうのです。
最も、虫歯の進行度によってはどうしても削らなければならないですし、
その点で考えれば、日頃から虫歯予防への意識や違和感があった際にはすぐ歯科医院に行くことが大切です。
安易に削らず口の中に人工物を入れないことが二次虫歯の予防に繋がります。
精度の高い治療ができる歯科医院を選ぶ
矯正やインプラントならともかく、通常の虫歯治療で歯科医院を選ぶ人は少ないでしょう。
距離だけを考えて、自宅に最も近い歯科医院で治療を受ける人がほとんどです。
しかし、二次虫歯を予防するなら精度の高い治療を行える歯科医院を選びましょう。
例えば、マイクロスコープや拡大鏡を導入している歯科医院なら精密に治療できるため、
詰め物で処置した際の隙間や段差を通常以上に減らすことができるのです。
こうした医療設備の有無は、歯科医のホームページなどで確認することができます。
5. 虫歯の予防方法
当然のことですが、そもそも虫歯を予防することができれば二次虫歯になることもありません。
このため、上記で説明した二次虫歯の予防を徹底することももちろん大切ですが、
それ以前に虫歯自体にならないよう、虫歯の要因と予防方法を知っておきましょう。
<虫歯の要因>
虫歯は虫歯菌に感染することで引き起こされます。
「細菌の感染によって起こる」という点だけで見れば、実は虫歯は風邪と同じような特徴を持っているのです。
さて、虫歯の要因になる虫歯菌はプラークの中に潜んでおり、酸を出して歯を溶かします。
こうして虫歯菌によって歯が溶けてしまうことで虫歯が引き起こされるのです。
ちなみに、虫歯菌が酸を出すにはエネルギーが必要で、そのエネルギーとなるのが「糖」です。
つまり糖を吸収することでより多くの酸を出し、虫歯を進行させてしまうのです。
「甘いものを食べると虫歯になりやすい」といいますが、
その根拠は糖を吸収して酸を出すという虫歯菌の特徴が根拠になっています。
そして、一旦虫歯が進行すると治療しない限り虫歯菌は生き続け、歯だけでなく神経にまで侵入していきます。
<虫歯を予防するには>
基本は毎日の歯磨きですが、単に磨くだけでは予防として不充分です。
何より虫歯菌が潜むプラークを除去できなければ意味がないので、精度の高い丁寧な歯磨きが必要です。
また、歯磨きの効果を高めるためにデンタルフロスや歯間ブラシを使うのも効果的です。
さらに虫歯になりにくい環境を作る意味で、キシリトールを摂取するのもおすすめです。
ただしこの場合、キシリトールが最低でも50%以上含まれているものを選んでください。
確実なのは歯科医院で販売されているもので、ほとんどのものが100%になっています。
そして、虫歯予防をする上で欠かせないのが歯科医院での定期検診です。
二次虫歯の予防の項目でも説明しましたが、
歯科医院で定期検診を受けることは虫歯予防のみに限らず、口の中の病気全てに対して有効です。
6. 二次虫歯で歯を失った後の対処
二次虫歯を繰り返して歯を失ってしまった場合、その歯を取り戻すことはできません。
抜歯した後の対処としては、部分入れ歯を使用するかインプラント治療を行うかの選択肢になります。
入れ歯は費用が安いのはメリットですが、使用した感覚は天然の歯と程遠くなるでしょう。
一方インプラントは天然の歯に近い感覚と美しさを取り戻せるものの、
費用の高さや治療の大掛かりさを考えるととてもお手軽な治療とは言えません。
こうした事態にならないよう、二次虫歯を徹底予防して歯を守らなければなりません。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、詰め物をした歯が再度虫歯になる可能性についてまとめます。
- 二次虫歯について :詰め物に隙間が生じることで虫歯菌が侵入し、再び虫歯を引き起こす
- 二次虫歯は予防が難しい :生じた隙間を歯磨きで綺麗にすることは難しく、虫歯自体にも気付きにくい
- 二次虫歯は歯を失う可能性がある :治療を繰り返すたびに歯を削れば、いずれ歯は失われてしまう
- 二次虫歯の予防方法 :詰め物や被せ物にセラミックを使用する、歯科医院で定期検診を受けるなど
- 虫歯の予防方法 :虫歯にならなければ二次虫歯を引き起こすことはないため、元々の虫歯予防が大切
- 二次虫歯で歯を失った後の対処 :入れ歯かインプラントだが、どちらもそれぞれ大きなデメリットがある
これら6つのことから、詰め物をした歯が再度虫歯になる可能性が分かります。
フッ素配合の歯磨き粉などの普及により、虫歯に悩まされる人が減少傾向にあるのは事実です。
しかし、二次虫歯に至っては未だに深刻な状況が続いており、虫歯治療の大半が二次虫歯によるものです。
一度虫歯治療したからといって安心してはいけません。
このため、虫歯治療をした際には二次虫歯を予防することを前提として対処をしておくといいでしょう。
セラミックの詰め物の使用や定期検診に通うなどの工夫をし、歯を守るため二次虫歯を徹底予防してください。