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今の歯磨きの仕方で本当に虫歯や歯周病が予防できているか、それを知る方法ってありますか?
2017年03月20日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「今の歯磨きで虫歯や歯周病が予防できているかを知る方法」です。
虫歯や歯周病を徹底予防するとなると、歯磨きにもそれなりの技術が必要です。
技術というとオーバーかもしれませんが、実際に正しい磨き方というのもあるのです。
そう聞くと、誰もが自分は歯がうまく磨けているかどうかが気になってしまうことでしょう。
実は正しく歯磨きができているか、それを知る方法もあるのです。
今回はその具体的な方法に加え、正しい歯磨きの方法についても解説していきます。
目次
1. 歯垢染色剤を使用する
自身の歯磨きの技術を知るためには、歯垢染色剤を使用するのが一番分かりやすいです。
とは言え、歯垢染色剤とは何かを知らない人も多いでしょうし、
歯垢染色剤の説明とあわせて、効果や使用方法などについて以下で解説していきます。
1-1. 歯垢染色剤とは
文字どおり歯垢を染めるためのもので、歯垢はプラークとも呼びます。
歯の表面に付着したぬるぬるしたものが歯垢ですが、これは目には見えません。
しかし、歯垢染色剤を使用することで見えない歯垢が見えるようになるのです。
1-2. 歯垢染色剤の使用方法
まず、普段どおり歯磨きを行います。この時、歯垢染色剤を使用するからといって丁寧に磨く必要はありません。
普段から丁寧に磨いていればいいですが、
歯垢染色剤の目的は普段どの程度歯垢を除去できているかを知るためです。
このため普段と同じ磨き方、普段と同じ時間を掛けて磨いてください。
歯を磨いたら歯垢染色剤を適度な量だけ口の中に入れ、全体に行きわたるようにします。
その後、口をゆすいでから口の中を確認してください。
そして、ここで確認した時に染まっている部分があれば、そこは磨き残しているということになります。
染まっている部分をよく確認し、その箇所を丁寧に磨いて落としてください。
ここで染まっているのは歯垢なので、染まった部分を全て除去すればそれは歯垢を除去したことになります。
1-3. 歯垢染色剤を使用する時の注意点
歯垢染色剤を使用する際には2つのことに注意してください。
1つは上記で説明したとおり、最初は普段どおりの歯磨きをすることです。
歯垢染色剤は普段の磨き残しを知るのが目的ですから、普段どおり磨かなければ意味がないのです。
2つ目の注意点は、1日だけでなく3日ほど続けて使用することです。
歯垢染色剤を使うことで、普段どの程度磨き残しがあるか分かります。
つまり言い換えれば、歯垢染色剤を使えば自分の歯磨きの弱点を知ることができるのです。
しかし、1日使用しただけでは弱点は分かりません。
どの部分がどのくらい染まっていたとしても、その結果はたまたまかもしれません。
要するに、たった1日の使用では自分の歯磨きの弱点を知る判断材料としては弱いのです。
一方、3日も4日も使用を続けていれば、染まり方のおおよそのパターンが分かってきますし、
自分がいつもどの部分をどのくらい磨き残しているかを正確に知ることができるのです。
「普段どおりの歯磨きをする」、「3日ほど続けて使用する」、
これらを注意することで自分の歯磨きの弱点がより正確に分かります。
1-4. 歯垢染色剤の購入方法
基本的には歯科専売品ですが、ネットの通販などを利用して購入することもできますし、
薬局で購入できるところもあります。
複数の種類があり、それぞれジェルタイプのものや染め出す力が弱いものなど特徴も様々です。
特に小さな子供に使用する場合は、前述したように染め出す力が弱いものを選んだ方がいいでしょう。
ちなみに400円前後のものが多く、そこまで高額ではありません。
2. 歯垢は時間が経つと歯石になる
歯垢染色剤を使用すれば磨き残しが見て分かるため、確実に歯垢を除去できます。
ちなみに歯垢は時間が経つことで石灰化し、歯石へと変化します。
そして、歯石になってしまうといくら歯磨きしても除去できないのです。
このため、既に口の中に歯石が多く存在する場合は、いくら歯垢染色剤を使っても除去できません。
歯石を除去するには歯科医院でクリーニングするしかないですし、歯石には歯垢以上に細菌が潜んでいます。
歯石がある人はこの歯石を歯科医院で除去しない以上、虫歯や歯周病のリスクを減らすことはできません。
つまり、歯垢染色剤を使って歯磨きが上達したからと言って、
イコール虫歯や歯周病を確実に予防できるとは限らないのです。
なぜなら、これまでの磨き残しで残った歯垢が、歯石となって口の中に存在している可能性があるからです。
3. 正しい歯磨きの基本
正しい歯磨きの方法を知ることで、毎日の歯磨きの精度をより高めることができます。
歯垢染色剤で自分の歯磨きの仕方の弱点を知った後はそれを補う磨き方を意識して、
トータルの歯磨きの精度を高めるため、正しい歯磨きの方法を覚えてください。
3-1. 歯磨き粉の選び方
歯磨きを選ぶ基準としては、大抵の人が「値段」や「今まで使っていたもの」で考えます。
しかし、歯磨き粉はそれぞれ含まれている成分も異なっており、
何を予防したいか?歯が今どんな状態にあるのか?これらを考慮して選ぶといいですね。
例えば、虫歯予防を優先するならフッ化物や消炎成分配合製品がおすすめです。
また、歯周病予防を優先するなら殺菌成分や消炎成分配合製品がおすすめです。
もし知覚過敏で悩まされている人がいたら、知覚過敏用の歯磨き粉も存在します。
3-2. 歯ブラシの持ち方
歯ブラシの正しい持ち方は、鉛筆の持ち方と同じです。グーで握って持つ人が多いですが、
この持ち方だと力が入って歯肉にダメージを与えてしまう可能性があります。
鉛筆と同じ持ち方をすることで、そのリスクを抑えることができるのです。
また、鉛筆と同じ持ち方で歯ブラシを持つことで、細かいブラッシングがしやすくなります。
精度の高い歯磨きをするには細かいブラッシングは欠かせません。
その意味でも、歯ブラシは鉛筆と同じ持ち方が正しいのです。
3-3. 1本ずつ歯を磨く
やってはいけないのが、複数の歯を一度に磨いてしまうことです。
ありがちなのが、下の歯を磨く目的で下の全てを左右それぞれ一度に磨くようなやり方です。
正しい磨き方は1本ずつ、それも1本につき20回以上は磨くと考えてください。
また、同じように磨いたつもりでも、実際にはそうでないことも多いので要注意です。
これは利き手が関係しており、利き手によってうまく磨ける場所とそうでない場所があるからです。
例えば右利きの人の場合は左側の歯は簡単に磨けますが、右側の歯はそれに比べて磨きにくくなります。
3-4. 歯周ポケットの磨き方
歯の歯肉の境目にあたる部分、それが歯周ポケットです。歯磨きの際にはここを磨くことも大切です。
ポケットという表現から想像できるとおり、ここは溝になっているため細菌が溜まりやすいのです。
歯周ポケットを磨く時には、まず歯ブラシの毛先をそこに当てましょう。
その状態で細かく圧迫振動させるように磨けば、歯周ポケット内の汚れをかき出すことができます。
注意点としては、歯周ポケットは歯ブラシの先端が重要になるということです。
このため、毛先が広がってしまった歯ブラシでは歯周ポケットを充分に磨くことができないのです。
3-5. 歯磨きは回数よりも精密さが重要
理想は1日3回食後に歯磨きするのがベストですし、さらに言うなら何か食べるたびに磨くのがベストです。
しかし、実際にはそうはいかないでしょうし、忙しくて適当な歯磨きをしてしまう人も多いでしょう。
ちなみに、1日3回適当に磨くのと1日1回しっかり磨くのとでは、実は後者の方が歯磨きの効果が高いのです。
つまり、歯磨きは回数よりも精密さが重要だと考え、1日1回は丁寧に歯磨きする機会を作ってください。
細菌の繁殖を考えた場合、丁寧な歯磨きは夜行うといいでしょう。
睡眠中は細菌が繁殖しやすいため、寝る前に口の中を綺麗な状態にしておきましょう。
3-6. デンタルフロスを使用する
一般的には、いくら丁寧に歯を磨いても歯ブラシで落とせる汚れは全体の約6割と言われています。
と言うのも、歯ブラシではいくら頑張っても汚れを落とせない場所があるからです。
ちなみに、歯ブラシが最も苦手とするのが歯と歯の間です。
隙間が小さいことで歯ブラシが届かず、しかも歯と歯の間から虫歯が発生するケースは多いのです。
そんな歯と歯の間の汚れをしっかりと落とせるのがデンタルフロスです。
前述した数値を挙げるなら、歯ブラシとデンタルフロスを使用した場合、落とせる汚れは8割までアップします。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、今の歯磨きで虫歯や歯周病が予防できているかを知る方法についてまとめます。
1. 歯垢染色剤を使用する
- 歯垢染色剤とは :歯垢を染め出しして目に見えるようにするためのもの
- 歯垢染色剤の使用方法 :歯磨きした後に使用すると、残った歯垢が染め出しされて磨き残しが分かる
- 歯垢染色剤を使用する時の注意点 :普段どおり磨く、3日ほど続けて使用する
- 歯垢染色剤の購入方法 :歯科専売品だが、薬局やネットの通販でも購入できる
2. 歯垢は時間が経つと歯石になる :歯石は歯磨きでは除去できず、歯科医院でのクリーニングが必要
3. 正しい歯磨きの基本
- 歯磨き粉の選び方 :虫歯予防や歯周病予防や知覚過敏、それぞれ適した歯磨き粉がある
- 歯ブラシの持ち方 :鉛筆の持ち方が正しい。握って持つと歯肉にダメージを与える恐れがある
- 1本ずつ歯を磨く :歯は1本ずつ、さらに1本につき20回以上磨くべき
- 歯周ポケットの磨き方 :歯ブラシの毛先を使用するため、毛先が広がった歯ブラシでは意味がない
- 歯磨きは回数よりも精密さが重要 :1日3回適当に磨くよりは、1日1回しっかり磨く方が効果は高い
これらのことから、今の歯磨きで虫歯や歯周病が予防できているかを知る方法が分かります。
ここで解説した歯垢染色剤について少し補足の説明をしておきます。
歯垢染色体は液状のものだけでなくジェルや錠剤のタイプも存在します。
また、ここでは歯垢染色体と呼びましたが、プラークチェッカーやカラーテスターと呼ばれることもあり、
もしそういった商品を目にしたら、それは今回解説した歯垢染色体と同じだと判断してください。