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デンタルフロスを使うのと使わないのとでは、予防の効果は全く違いますか?
2017年04月03日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「デンタルフロスを使った時と使わない時の予防効果の違い」です。
ドラッグストアなどで歯磨き用品のコーナーを見ると、歯ブラシだけでなくデンタルフロスも目にします。
また、私もそうなのですが歯科医のブログやHPを見ると、
ほとんどの歯科医は自分が歯磨きをする際、デンタルフロスを使用していると告白しています。
販売されているだけならともかく、歯科医が使用している点からデンタルフロスの効果の高さを感じるでしょう。
そこで、今回はデンタルフロスを使うのと使わないとでは、
どのくらい虫歯や歯周病の予防効果がどのくらい違うのかをテーマにして考えていきます。
ここで先に結論を言っておくと、デンタルフロスを使うと虫歯や歯周病の予防効果は大きく高まります。
目次
1. プラーク除去率が2割高まる
虫歯や歯周病を予防するにはプラークの除去が基本であり、その手段は歯磨きがメインになります。
さて、正しい歯磨きの方法を実践して歯ブラシのみで丁寧に磨いたと仮定した時、
お口の中のプラーク除去率はおよそ6割と言われています。
つまり歯ブラシのみだと、プラーク全体のうち半分ちょっとほどしか除去できないということになるのです。
残り4割もどこを磨き残しているのか?…それは歯と歯の間の隙間です。
もちろんそこも意識して磨いているのでしょうが、
歯と歯の間の狭い隙間を綺麗にするには歯ブラシでは構造上無理がありますからね。
例えるなら狭い箇所に強引に掃除機をあてるようなものであり、隙間の汚れを落とすことができないのです。
一方デンタルフロスは、そんな歯と歯の間の隙間を綺麗にするためのものです。
歯ブラシで歯全体を磨き、歯ブラシが届かない隙間をデンタルフロスで磨く…これが理想の歯磨き方法です。
そして、デンタルフロスを使用することでプラーク除去率は2割高まると言われており、
歯磨きと合わせると8割のプラーク除去率を実現できるようになるのです。
2. プラークの歯石化を防ぎやすくなる
プラークは時間が経つと石灰化して歯石になりますが、歯石はプラーク以上に厄介です。
プラークとは比較にならないほどの細菌を含んでいる上、歯石は歯磨きでは除去できません。
また、一度歯石ができてしまうとその箇所は歯石が溜まりやすく、それが虫歯や歯周病を招きます。
ちなみに歯石ができる箇所に注目すると、歯と歯の間の隙間にできていることがほとんどです。
これは考えてみれば当然のことで、磨き残したプラークが歯石になるわけですから、
歯ブラシが行き届きにくい歯と歯の間の隙間にプラークが残り、そこに歯石ができてしまうという仕組みです。
さて、ここでデンタルフロスを使用することを考えてみてください。
デンタルフロスを使用すれば歯と歯の間の隙間を綺麗にできるため、そこに歯石ができるのを防げます。
つまり、歯と歯の間の隙間にだけ歯石がある人が今後デンタルフロスを使用すれば、
そこに歯石ができるのを防げるため、お口の中を歯石が一切ない状態にすることが可能になるわけです。
歯石があるとないとでは虫歯や歯周病になるリスクは全く異なりますし、
その意味でもデンタルフロスの使用は歯ブラシのみの使用に比べて予防効果が格段に高まると言えます。
3. 虫歯や歯周病のチェックができる
デンタルフロスを使用することは単に虫歯や歯周病の予防効果を高めるだけでなく、
これらの病気になっていないかのチェックにも役立ちます。
では、実際にデンタルフロスを使用することで分かるお口の状態チェックの例を挙げてみます。
デンタルフロスを使用すると出血する
デンタルフロスで歯間部を掃除する際、糸に血がつくようなら歯周病になっているかもしれません。
歯周病になると歯肉が炎症を起こすため、その箇所に刺激が加わることで出血しやすくなるのです。
糸が歯肉に触れたことでそれが刺激となり、歯肉からの出血を招いた可能性があります。
デンタルフロスが入らない、引っ掛かる
デンタルフロスを使用した時に糸が入らない…さらにその歯が詰め物や被せ物で処置されていた場合、
詰め物や被せ物が合っていないせいでデンタルフロスが通らない可能性があります。
もし本当に合っていなければ二次虫歯を招きやすくなるため、新しいものへの交換が必要です。
デンタルフロスから嫌なニオイがする
デンタルフロスから嫌なニオイがする場合、歯周病の可能性があります。
歯周病になるとお口の中で歯周病菌が繁殖し、細菌だらけの状態になることで口臭を感じます。
その口臭の要因となっている細菌が付着しているせいで、デンタルフロスが嫌なニオイを発しているのです。
…これらはいずれもデンタルフロスを使用したからこそ分かることです。
詰め物や被せ物が合っていないのは目で見て分かるものではないですし、
口臭は自分では気付きにくい上、普通に考えて他人が指摘してくれるとも思えません。
つまり、本来気付かないお口の異常にいち早く気付ける、デンタルフロスの使用はそんなメリットもあるのです。
4. 虫歯予防の効果が高まる
虫歯の特徴を一つ挙げると、虫歯の実に9割ほどが歯と歯の間から発生しています。
しかも歯と歯の間は磨きにくく、いくら丁寧に磨いても歯ブラシだけでは綺麗になりません。
しかしデンタルフロスを使用すれば綺麗にできるため、虫歯の主な発生源となる箇所の対策にもなるのです。
ちなみにデンタルフロスを使用した時に歯と歯の間でザラつきを感じる、
もしくは出し入れの時に糸がバラけるようなら、それは初期段階の虫歯になっている可能性があります。
つまり虫歯の予防効果が高まるだけでなく、虫歯の早期発見にもデンタルフロスは役立つのです。
5. 誰もが気になるデンタルフロスの疑問
残念ながら、日本においては現状デンタルフロスを日常的に使用している人はまだまだ少ないです。
そして、使用している人が少ないということはデンタルフロスにおける知識も不充分と言えます。
そこで、誰もが気になるデンタルフロスの疑問をピックアップし、それぞれについて解説していきます。
5-1. デンタルフロスと歯間ブラシは何が違う?
歯と歯の間の隙間を綺麗にするものと聞いて、中には歯間ブラシを最初に連想する人もいるでしょう。
そこで疑問になってくるのが、デンタルフロスと歯間ブラシの違いについてです。
これらの最も大きな違いは、予防しやすい病名の違いです。
具体的にはデンタルフロスは虫歯予防に長けており、歯間ブラシは歯周病予防に長けているのです。
デンタルフロスの目的は歯と歯の間の隙間の汚れをとることです。
ここは虫歯が発生するリスクが最も高く、そこを綺麗にすることで虫歯を予防しやすくなるのです。
一方、歯間ブラシの目的は歯と歯肉の間の汚れをとることです。
歯と歯肉の間の溝は歯周ポケットと呼ばれており、溝に細菌が溜まることで歯周病を招きます。
この歯周ポケットを綺麗にできることで、歯周病を予防しやすくなるのです。
5-2. どの種類のものを使用しても効果は同じ?
デンタルフロスの種類は多数存在し、それぞれ値段も特徴も違います。
これは言ってみれば歯磨き粉と同じで、人によって合うか合わないかの問題があるため、
一概に「このデンタルフロスが最もおすすめ!」というものはありません。
ちなみにデンタルフロスを種類ごとで大まかに分けると、繊維にワックスがついている「ワックスタイプ」、
ワックスのついていない「ノンワックスタイプ」、子供でも使いやすい「持ち手のついたタイプ」などがあります。また、中には香りがついたものもあるので、色々試して自分に合うもの見つけてください。
基本的には慣れないうちは滑りのいい「ワックスタイプ」を使用し、
扱いに慣れてきたら「ノンワックスタイプ」を使用する人が多いですね。
「ノンワックスタイプ」は滑りが悪い分歯の異常に気付きやすいので、上級者向けのタイプと言われています。
5-3. 使用するタイミングと頻度は?
歯磨きのメインはあくまでも歯ブラシによるブラッシングですから、
デンタルフロスを使用するのは歯ブラシで磨いた後になります。
また頻度としては1日1回、最も歯を丁寧に磨く時間がある夜がいいでしょう。
睡眠中はお口の中に細菌が繁殖しやすいので、寝る前はお口を綺麗にする必要があります。
また、朝や昼に比べて夜の方が余裕を持って歯磨きできる人がほとんどです。
このためデンタルフロスは毎日夜の歯磨きの際、歯ブラシで磨いた後に使用してください。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、デンタルフロスを使った時と使わない時の予防効果の違いについてまとめます。
- プラークの除去率が2割高まる :歯ブラシだけでは除去率は6割、デンタルフロス使用で8割になる
- プラークの歯石化を防ぎやすくなる :歯と歯の間の隙間は最も歯石ができやすい
- 虫歯や歯周病のチェックができる
デンタルフロスを使用すると出血する :歯肉が炎症を起こして歯周病になっている可能性がある
デンタルフロスが入らない、引っ掛かる :詰め物や被せ物があるなら、それが合っていない可能性がある
デンタルフロスから嫌なニオイがする :細菌が繁殖していて歯周病になっている可能性がある - 虫歯予防の効果が高まる :虫歯は歯と歯の間の隙間から発生しやすいため
- 誰もが気になるデンタルフロスの疑問
デンタルフロスと歯間ブラシは何が違う? :デンタルフロスは虫歯予防用、歯間ブラシは歯周病予防用
どの種類のものを使用しても効果は同じ? :歯磨き粉と同じで自分に合ったものを使用すれば良い
使用するタイミングと頻度は? :1日1回、歯ブラシで磨いた後に使用する。夜の歯磨き時がおすすめ
これらのことから、デンタルフロスを使った時と使わない時の予防効果の違いが分かります。
デンタルフロスを使用することは虫歯や歯周病の予防効果を格段に高めます。
小さな子供でも使用できるタイプがあるので、お口の健康を守るために使用することをおすすめします。
また、自分に合ったものが分からなければ歯科医に相談するのもいいですね。