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高齢になって歯を失うのが怖いです。若い頃からできる予防方法はありますか?
2017年04月10日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「高齢になってから歯を失わないために若い頃からできる予防方法」です。
高齢になると歯を失う人が多いですが、考えてみるとそれはとても怖いことです。
歯を失えば食事も満足にできなくなります。ちなみに入れ歯やインプラントで対策はできるものの、
実際に治療するとなると入れ歯もインプラントも抵抗があるでしょう。
見栄えの悪い入れ歯も手術するインプラントも、できれば受けたくない治療だというのが多くの人の本音です。
こうした歯を失うことへの危機感は若い頃から持っておくべきで、
若い頃から将来歯を失わないための予防をしっかり行っておけば、
いざ高齢になった時に歯を失うリスクを回避することができるのです。
そこで、ここでは若い頃からできる歯を失わないための予防方法をお伝えします。
目次
1. 歯周病予防を徹底する
さて、高齢になって歯を失う人が多いですが、具体的にどんな理由で歯を失うのかを考えてみましょう。
日本人が歯を失う要因として最も高いのが「歯周病」です。と言うことは歯周病予防を徹底しておけば、
最も歯を失う可能性の高い問題を回避できることになるのです。
1-1. 歯周病が起こる要因
歯周病を予防するには、そもそも歯周病がどうやって引き起こされるのかを知らなければなりません。
歯周病は歯周病菌に感染することで起こる病気で、この歯周病菌はプラークや歯石の中に存在しています。
また「細菌に感染して起こる」という点だけに注目すると、歯周病は風邪とよく似ていることが分かります。
このため、風邪同様に身体の免疫力が低下するほど歯周病が引き起こされるリスクも高まることになるのです。
さらに歯周病菌は唾液を介して人から人にうつります。つまり、プラークや歯石を溜めてしまう、
身体の免疫力が低下する、人から歯周病菌をうつされる…これらが歯周病の要因となるわけで、
逆に言えばこれらの対策をとることが歯周病予防になるのです。
では、具体的な予防方法を以下で説明していきます。
1-2. プラークと歯石対策
基本は歯磨きで、ブラッシングだけでなくデンタルフロスも使うといいでしょう。
厄介なのは歯石で、これは時間が経ってプラークが石灰化したものであり、歯石は歯磨きでは除去できません。
プラークを完全に除去すればプラークの歯石化は防げますが、目に見えないプラークの完全除去は困難です。
そこでおすすめなのが歯科医院で定期検診を受けることです。
お口の中をクリーニングすればプラークはもちろん歯石も除去できるので、確実にお口の中を綺麗にできます。
また、プラークチェッカーでプラークを着色させ、目に見える状態にして歯磨きするのも効果的です。
1-3. 免疫力低下への対策
身体の免疫力は疲労やストレスによって低下しますし、食生活にも関係してきます。
このため、生活習慣そのものを見直して改善することが免疫力を低下させないポイントになります。
とは言えストレスゼロの生活など不可能ですから、これについては適度に解消することを考えましょう。
また、できるだけ早く寝て充分な睡眠をとることも疲労を溜めない上で重要です。
さらにやってはいけないのが喫煙です。喫煙は身体の免疫力を低下される大きな要因ですし、
喫煙自体が歯周病になるリスクを高めます。タバコを吸っている人はこの機に禁煙するのをおすすめします。
1-4. 唾液を介した歯周病菌感染への対策
唾液を介すということは唾液を交えるということですから、
その状況を考えれば歯周病菌は自分にとって親しい人からうつってしまうことが分かります。
恋人同士のキス、親子による食器の共有や口移しの食事、これらは全て歯周病菌がうつる行動に該当します。
とは言え、こうしたスキンシップや生活習慣はなくてはならないものですから、それを止めろとは言いません。
大切なのは、自分だけでなくこうした親しい人同士全員で歯周予防を徹底することです。
お互い歯周病を予防すれば歯周病菌も存在しないため、うつったりうつされたりといったことは起こりません。
2. 虫歯予防を徹底する
「虫歯」も歯周病同様に歯を失う要因です。酷く進行すれば歯はボロボロになってほとんど残らないですし、
治療したとしても抜歯しか手段がなければそれも結果的に歯を失うことになります。
つまり虫歯を予防することは歯を守ることにもなり、その意味で虫歯も徹底予防してください。
2-1. 虫歯が起こる要因
虫歯は虫歯菌に感染することで起こる病気で、細菌に感染して起こるという点では歯周病と全く同じです。
症状を引き起こす細菌の種類に違いはあるものの、細菌がプラークや歯石に存在していることも同じですし、
身体の免疫力の低下が虫歯になるリスクを高めることも同じです。
また、これも歯周病同様に虫歯菌は唾液を介して人から人にうつります。
このように虫歯の要因は歯周病とほぼ同じであり、と言うことは予防方法も同じということになります。
つまり、虫歯の予防方法は上記で説明した歯周病の予防方法と同じだと思ってください。
虫歯を予防すればそれは同時に歯周病予防になり、
歯周病を予防すればそれは同時に虫歯予防になるということです。
既に上記で歯周病の予防方法を説明しているので敢えて虫歯の予防方法は説明しませんが、
誰もがやってしまいがちな注意点だけ補足として以下でお伝えしておきます。
2-2. 治療は最後まで受ける
大抵の人は歯が痛いことで虫歯を予感して歯科医院に行きます。
そして実際に治療を行うことで虫歯の痛みは感じなくなるでしょう。
問題なのはその後で、痛まなくなったのを理由に治療の続きを放置してしまう人がいるのです。
これは絶対にやってはいけない行為で、痛まないからと言って虫歯菌が除去されたわけではないのです。
さらに治療途中の歯は詰め物もなく治療跡がむき出しになっており、そのままだと虫歯の再発を招きます。
そうすれば治療はまた最初からになり、治療を繰り返してその都度歯を削っていれば、
いずれ歯は失われてしまうでしょう。
このため、虫歯の治療は症状の重さに関係なく必ず最後まで受けるようにしてください。
2-3. 「虫歯=痛む」とは限らない
虫歯は歯周病と違って「痛み」という明確な自覚症状があります。
このため、多くの人は「痛まない=虫歯がない」という常識で考えています。
しかしそれは間違いで、痛まないけど虫歯になっているという可能性もあるのです。
例えば、過去に根管治療をして歯の神経を除去していれば、その歯が再度虫歯になっても痛みはありません。
また、初期段階の虫歯には痛みがないため、
痛みだけで虫歯の有無を判断してしまうと初期段階の虫歯を見逃してしまうことになるのです。
最も、痛みがない以上は虫歯に気付きにくいのは事実ですから、
ここで重要になるのが歯科医院の定期検診です。定期検診については歯周病の予防の項目でも触れましたが、
歯科医院の定期検診ならお口の状態をチェックするため、痛みのない初期段階の虫歯の発見も可能です。
3. 歯磨きの精度を高めるコツ
歯周病にしても虫歯にしても予防の基本は歯磨きです。最も、歯磨きをしない人はいないでしょうが、
例え歯磨きしたとしても精度が低ければブラッシング効果は半減してしまいます。
そこで、歯磨きの精度を高めるコツについて説明しておきます。
まず歯磨きの頻度ですが、社会人の人なら最低でも朝と夜に歯磨きするでしょう。
しかし、歯磨きにおいて大切なのは頻度でなく精密さです。
実際にプラークを例に挙げてみると、プラークが歯石になるまでには24時間以上掛かります。
と言うことは、1日1回だけの歯磨きでプラークを完全に除去するのと1日5回適当に磨くのとでは、
前者のスタイルの方がお口の中は綺麗になりますし、プラークの歯石化も防げることになるのです。
このため、最低でも1日1回はしっかりと歯磨きできる時間を確保してください。
次に歯の磨き方ですが、実は上手に磨くためにはそれなりの技術が必要です。
そして、歯磨きの技術を学ぶ機会となるのが、歯科医院の定期検診で行う「正しい歯磨き方法の指導」です。
これを覚えることで歯磨きの技術は高まり、より精度の高い歯磨きができるようになります。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、高齢になってから歯を失わないために若い頃からできる予防方法についてまとめます。
- 歯周病予防を徹底する
歯周病が起こる要因 :歯周病菌への感染、身体の免疫力の低下、唾液を介して人にうつされる
プラークと歯石対策 :デンタルフロスを併用した歯磨き、歯科医院で定期検診を受けてクリーニングする
免疫力低下への対策 :生活習慣を見直してストレスや疲労の蓄積を防ぐ。喫煙も免疫力を低下させる
唾液を介した歯周病菌感染への対策 :自分だけでなく家族や大切な人と一緒に歯周病予防を徹底する - 虫歯予防を徹底する
虫歯が起こる要因 :歯周病とほぼ同じで、予防方法においても歯周病とほぼ同じ
治療は最後まで受ける :虫歯治療を途中で止めるのは厳禁。完治していない上に再発を招く
「虫歯=痛む」とは限らない :初期段階の虫歯は痛まないので見逃しやすい。検診でチェックしてもらえる - 歯磨きの精度を高めるコツ :歯科医院の定期検診で正しい歯磨き方法の指導を受ける
これら3つのことから、高齢になってから歯を失わないために若い頃からできる予防方法が分かります。
高齢になれば確かに歯を失うリスクは高くなりますが、加齢が全てというわけではありません。
若い頃から歯周病や虫歯を徹底予防していれば、将来歯を失うリスクを減らすことができるのです。
また、歯周病や虫歯の予防を疎かにしてしまえば、例え若くても歯を失うことがあるでしょう。
その意味でも常に歯周病や虫歯を予防する意識を持ってください。
高齢になって自分の歯で食事を楽しめるかどうかは、この意識をどれだけ持てるかで決まるのです。