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歯周病と言われましたが痛みも違和感もありません。本当に歯周病なのでしょうか?
2017年05月08日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「痛みも違和感もないのに歯周病になっている可能性」です。
歯科医に歯周病と診断された人の中には、その診断に疑問を抱くことがあります。
なぜなら痛みも違和感もないからで、虫歯のように明らかな痛みがあるならともかく、
一切違和感がない状態で歯周病といわれてもそれが本当に思えないのです。
例えるなら体調が悪くないのに風邪と診断されるようなもので、そう考えると疑問を抱く気持ちも分かります。
しかし、歯科医が歯周病といったからには歯周病であることは確実なわけで、
そう考えるとなぜ歯周病なのに痛みも違和感もないのか気になるところですね。
そこで今回は、このように痛みも違和感もない状態での歯周病の可能性について説明していきます。
目次
1. 歯周病と自覚症状
歯周病と虫歯はよく比較されますが、その違いの一つが「自覚症状の有無」です。
虫歯の場合は痛みという分かりやすい自覚症状がありますが、
歯周病の場合は分かりやすい自覚症状はなく、知らない間に引き起こされている可能性があるのです。
つまり、痛みや違和感がなくても歯周病である可能性はありますし、
逆にいえば歯周病には痛みや違和感がないのです。
とは言え、全く自覚症状がないわけでなく、歯周病には以下のような自覚症状があります。
歯肉が変色する
歯周病になると歯肉が炎症を起こすため、その影響で歯肉に腫れや変色が見られるようになります。
最も、変色によって痛むことはないため、歯肉を見なければそれに気付くことはできません。
口臭がする
歯周病になるとお口の中で細菌が繁殖し、さらに歯周ポケットの溝にも歯石やプラークがたまります。
このため口臭がするようになるのです。しかし、この場合も痛みや違和感はありません。
歯肉から出血する
歯周病になると歯肉から出血しやすくなるため、歯磨きや食事の際に出血するようになります。
歯周病によって歯肉が腫れている箇所に刺激が加わることで、このように出血を招いてしまうのです。
歯が長く見える
歯周病が進行すると歯槽骨が溶かされていきますが、それによって歯肉も退縮して下がってしまいます。
そうなると歯の根元部分が露出するため、見た目として歯が長くなったように見えるのです。
熱いものや冷たいものがしみる
上記の追記のような形になりますが、これは歯周病によって歯の根元が露出するのが原因です。
歯の根元は刺激に敏感なため、熱いものや冷たいものに対してしみや痛みを感じます。
…こうした自覚症状があった場合は歯周病である可能性が高いですし、
中には歯周病がある程度進行していることを示す自覚症状もあるので要注意です。
しかし初期段階ではこうした自覚症状がないことが多く、知らない間に歯周病になっていることもあるのです。
2. 初期段階の歯周病に気付くには
自覚症状が少ない以上、初期段階の歯周病に気付くのは困難です。
しかしここで気付けないと歯周病は進行し、やがて歯をグラつかせるほどの事態になります。
さて、初期段階の歯周病に気付くポイントは歯科医院の定期検診です。
歯科医院では定期検診を受けることができ、そこではお口の中を細かくチェックします。
このため、自分では気付かない虫歯や歯周病を発見することもできるのです。
最も、定期検診を受けるメリットはこうした初期段階の歯周病に気付けることだけではありません。
定期検診ではお口のクリーニングを行い、それによって歯磨きでは対処できない歯石も除去できます。
つまり、歯周病を初期段階で発見できるだけでなく、歯周病自体の予防効果も高まるのです。
理想は三ヶ月に一度、それが無理なら半年に一度は定期検診を受けるといいでしょう。
3. 歯肉炎と歯周炎と歯槽膿漏
痛みも違和感もないのに歯周病と判断された、これが今回のテーマです。
では歯周病ではなく歯肉炎や歯周炎と判断された場合はどうなのでしょうか?
実は歯肉炎も歯周炎も歯周病とイコールで、あくまで言い方の違いだけなのです。
正確には歯周病の初期段階を歯肉炎、中期段階を歯周炎、重度段階を歯槽膿漏と呼ぶことがあるのです。
最近ではこれらを全て含めて歯周病と呼びますが、
もし歯肉炎や歯周炎といわれた時には、その場合もやはり歯周病なのだと自覚してください。
歯槽膿漏といわれることもありますが、痛みも違和感もない人が歯槽膿漏であることは考えにくいでしょう。
なぜなら、歯槽膿漏は重度の歯周病とイコールであるため、
いくら自覚症状が少ない歯周病でもそこまで進行すると歯がグラつくなどの違和感があるからです。
4. 軽視できない歯周病
いくら歯周病といわれても、痛みも違和感もなければ怖さを感じないですし、
痛みのある虫歯に比べて大した病気ではないと軽視してしまう人もいます。
しかしそれは大きな間違いです。確かに初期段階では怖く感じるような症状はないですが、
それが進行することで歯周病は本当の怖さを見せるのです。
4-1. 中期段階の歯周病
中期段階になると顎の骨が溶かされることで歯がグラつくようになり、
さらに治療においても歯肉を切開する手術が必要になる可能性もあります。
また、手術が必要ない場合も初期段階に比べて治療期間が長くなり、その分治療費も高くなります。
4-2. 重度段階の歯周病
重度段階になると顎の骨がほとんど溶かされてしまい、歯も抜け落ちてしまいます。
また、治療したとしても歯を残せない可能性があり、その際は抜歯することになります。
つまり、重度段階まで放置してしまうと最終的に歯を失う結果になるのです。
…このように、歯周病を放置するとやがて歯を失うことになってしまいますし、
治療したとしても手術を伴うような大掛かりな治療になるのです。
5. 歯周病の予防方法
さて、歯周病の怖さが分かった以上徹底予防が必要ですし、
どうすれば歯周病を予防できるのか?その方法を説明していきます。
5-1. 歯磨きの精度を高める
歯周病予防の基本は歯磨きです。とは言え、しっかりと予防するには精度の高い歯磨きが必要です。
そのためにはまず歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使用するといいでしょう。
ちなみにデンタルフロスは虫歯予防、歯間ブラシは歯周病予防に効果的とされています。
そもそも歯ブラシだけの場合、いくら丁寧に磨いてもプラークの除去率は6割程度といわれていますが、
デンタルフロスや歯間ブラシを使用することでさらに2割高まります。
また、自分の歯磨きの弱点を知るためにプラークチェッカーを使うのもおすすめです。
5-2. 定期検診を受ける
上記でも触れましたが、歯周病を予防するには歯科医院の定期検診は欠かせません。
定期検診では正しい歯磨きの方法を指導してもらえるため、それだけでも歯磨きの精度が高まります。
また、お口の中をクリーニングすることでプラークも歯石も完全に除去できるのです。
さらにお口の中をチェックすることで初期段階の歯周病も発見でき、
単に予防効果が高いだけでなく歯周病の重症化を防ぐことができるのです。
これは歯周病に限ったことではなく、虫歯においても定期検診は高い予防効果があります。
5-3. 生活習慣を改善する
実は日常生活の中には、歯周病になるリスクを高める要因がいくつも潜んでいます。
例えば疲労やストレス、これらは身体の免疫力を低下させてしまいますし、
免疫力が低下すれば歯周病にかかりやすくなります。
また、喫煙している人はそれだけで歯周病になるリスクが何倍も高まります。
さらに喫煙することで歯周病が重症化しやすく、
こうした疲労やストレスや喫煙など、生活習慣を改善することも大切です。
5-4. 家族全員で予防する
歯周病は細菌に感染することで起こる病気であり、その点では風邪と似た特徴を持っています。
そして風邪同様に人にうつることもあり、具体的には唾液を介して歯周病菌がうつります。
さて、ここで唾液を介す行為をいくつか考えてみてください。
食器の共用、歯ブラシの接触、小さな子供への口うつしによる食事、キスなどが考えられますが、
これらはいずれも家族や恋人など、家族間で起こり得ることですね。つまり家族全員で予防しなければ、
自分だけ予防していても歯周病菌をうつされてしまう可能性があるのです。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、痛みも違和感もないのに歯周病になっている可能性についてまとめます。
- 歯周病と自覚症状 :歯周病には目立つ自覚症状が少なく、知らない間に引き起こされていることもある
- 初期段階の歯周病に気付くには :自分では気付きにくいので、歯科医院で定期検診を受けると良い
- 歯肉炎と歯周炎と歯槽膿漏 :歯肉炎や歯周炎や歯槽膿漏も歯周病と同じ
- 軽視できない歯周病
中期段階の歯周病 :場合によっては歯肉を切開する歯周外科手術が必要になることもある
重度段階の歯周病 :歯周外科手術が必要になることがある上、歯を残せない可能性もある - 歯周病の予防方法
歯磨きの精度を高める :デンタルフロスや歯間ブラシを使用するとプラークの除去率が2割高まる
定期検診を受ける :歯石も除去できる。予防だけでなく、初期段階の歯周病を発見できるメリットがある
生活習慣を改善する :疲労やストレスは歯周病にかかりやすくなり、喫煙も歯周病になるリスクを高める
家族全員で予防する :歯周病は唾液を介して人にうつるため、家族全員で予防するのが理想
これらのことから、痛みも違和感もないのに歯周病になっている可能性が分かります。
そもそも歯周病で痛みも違和感もないのは珍しいことではありません。
歯周病には目立った自覚症状が少なく、それが歯周病の厄介なところでもあるのです。
日本人が歯を失う要因のトップが歯周病であり、それは歯周病に気付かない人が多く、
さらに歯周病を軽視する人が多いからです。歯周病に対してもっと予防意識を持たなければならないですし、
その意味でも歯科医院の定期検診を積極的に受ける習慣を身につけてください。