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歯周病治療で手術が必要というのは本当ですか?
2017年05月22日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「歯周病治療で手術が必要なのは本当か」です。
歯周病には様々な治療方法があり、その中には手術もあります。
とは言え、手術といっても一般的に想像するようなお腹を切開する手術ではありません。
また、どんな場合にも手術が必要というわけではなく、手術が必要かどうかは歯周病の進行次第です。
そこで、ここでは歯周病治療と手術をテーマにして説明していきます。
虫歯に比べて軽視されがちな歯周病ですが、
実は進行すると歯を失うだけでなく、治療も手術といった大掛かりな治療が必要になってくるのです。
目次
1. 歯周病の進行と治療
歯周病治療は進行度に応じて変わります。
そして、進行度は初期段階と中期段階と重度段階の3つに分けられます。
1-1. 初期段階の治療
お口のクリーニングと患者さんによるプラークコントロールによって治せます。
お口のクリーニングでは歯周ポケット内の汚れや歯磨きで対処できない歯石を除去し、
プラークコントロールというのは言わば歯磨きです。
最も、歯磨き自体は毎日行っているでしょうが、
歯周病治療の際には正しい歯磨きの方法を指導して精度の高い歯磨きを目指します。
また治療前には検査、治療後にはメンテナンスを行います。
1-2. 中期段階の治療
初期段階の治療に加え、必要であれば歯周外科手術を行います。
ここで行う手術こそ、今回のテーマでもある歯周病治療における手術です。
とは言え、やはり治療の基本はお口のクリーニングとプラークコントロールになります。
ただし初期段階に比べて歯周ポケットの溝が深くなっているため、
例え手術をしないにしても治療期間は初期段階の治療に比べて長くなります。
中期段階においても治療前と治療後には、検査とメンテナンスを行います。
1-3. 重度段階の治療
最初にいっておくと、重度の段階の場合は症状次第では抜歯がやむを得なくなります。
治療が可能な場合も症状改善までには時間が掛かりますし、
お口のクリーニングとプラークコントロールだけでは治りません。
何度も検査を行うことになりますし、その中で歯周外科手術を行って治療していきます。
また、骨の溶かされている度合いによっては再生治療も必要になってきます。
ちなみに抜歯を行う場合、その後はインプラントや入れ歯などで対処します。
…これらの点から分かるとおり、歯周病治療で手術が必要なのは中期段階以降の場合です。
歯周外科手術と再生治療、これらが歯周病治療で行う手術です。
2. 歯周病治療における手術
歯周病治療では必要な場合、歯周外科手術を行います。
また、歯周病が進行すると顎の骨が溶かされますが、溶かされた骨を再生する治療でも手術が必要です。
2-1. フラップ手術
中期段階以降の治療で必要になることのある治療で、目的は歯周ポケット内の清掃です。
歯周病になると歯周ポケットの溝が深くなり、その中に歯石などの細菌が溜まります。
しかし溝の深さによっては外側から細菌の除去ができなくなるのです。
そこで行うのがフラップ手術で、歯肉を切開して歯周ポケット内の細菌を除去します。
つまり歯周病治療の手術とは歯肉を切開する治療であり、
フラップ手術の場合は切開した部分から歯周ポケット内を綺麗にするのが目的です。
2-2. 骨の再生治療
歯周病が進行すると顎の骨が溶かされてしまいますが、その溶かされた骨を再生させる治療方法があります。
この場合も歯肉を切開して、中に薬品を入れたり骨の移植を行ったりして再生をはかります。
ちなみに、インプラント治療を希望する際も骨の量によっては骨移植が必要です。
骨の再生治療は歯周病治療そのものとは無関係ですが、
歯周病の進行度によっては後のことを考えて必要になります。
ちなみに骨の再生治療の方法は一つではなく、エムドゲイン法など複数の治療方法があります。
…歯周病が進行するとこのような大掛かりな治療が必要になりますが、
初期段階できちんと治療すれば簡単な治療で治すことができます。
3. 歯周病の予防方法
手術が必要となると聞くと、誰だって歯周病治療を怖く思ってしまうでしょう。
こうした治療を避けるためには歯周病になったらいち早く治療を受けるべきですし、
何より歯周病にならないよう予防することが大切です。
そこで、歯周病の予防方法をいくつか紹介しておきます。
3-1. 精度の高い歯磨きをする
毎日の歯磨きは歯周病予防の基本ですが、ただ磨くだけでは予防効果はありません。
精度の高い歯磨きをする必要があり、そのためには歯ブラシだけでなくデンタルフロスの使用も必要です。
また、どこが磨き切れていないのかを知るために、プラークチェッカーを使用するのもおすすめです。
3-2. 生活習慣を改善する
歯周病は歯周病菌という細菌の感染によって引き起こされる病気であり、
感染するかどうかは身体の免疫力が大きく関わります。このため疲労やストレスを溜めないなど、
免疫力が低下する行為に注意する必要があり、そのためには生活習慣を改善しなければなりません。
3-3. 歯科医院で定期検診を受ける
歯周病を予防するには歯科医院の定期検診は欠かせません。
定期検診ではお口のクリーニングを行ってプラークはもちろん歯石も除去できますし、
正しい歯磨きの方法を指導してもらうこともできます。
また、例え歯周病になっても定期検診を受ける習慣を身につけていれば、進行前に治療することが可能です。
…精度の高い歯磨き、生活習慣の改善、歯科医院の定期検診、
これらを実践すれば歯周病はほぼ確実に防げますし、手術が必要なほどの事態に陥ることはありません。
4. 歯周病かどうかを知る自己診断
歯周病の厄介なところは自覚症状が少ないことで、進行していることにも気付きにくいのです。
このため気付かない間に歯周病を引き起こし、気付かない間に進行するケースがあるのです。
そこで、自分が歯周病かどうかを知るための簡単な自己診断を紹介します。
口臭がする
歯周病になるとお口の中で細菌が繁殖し、さらに膿みや出血によって口臭を引き起こします。
歯肉から出血する
歯周病になると食事や歯磨きの際に出血しやすくなります。
歯が長くなって見える
歯周病が進行すると歯肉が退縮して歯の根元が露出するため、その影響で歯が長くなって見えます。
熱いものや冷たいものがしみる
歯周病が進行して歯の根元が露出すると、熱いものや冷たいものの飲食でしみるようになります。
歯がグラつく
歯周病が進行すると歯を支える骨が溶かされるため、支えを失った歯が不安定でグラつくようになります。
…このような自覚症状があった場合は歯周病を疑ってみるべきです。
絶対にそうとは限らないものの、歯科医院に行って診察を受けるのが確実です。
特に歯のグラつきや歯が長くなって見えるのは、ある程度歯周病が進行している可能性が高いです。
5. 歯を失った場合の対処
歯周病になったとして、手術が嫌だからといって放置しておくと歯周病はさらに進行します。
重度段階まで進行すると状態によっては治療不可で抜歯が必要になります。
もし歯を失った場合、その後の対処としてはインプラントや入れ歯です。
5-1. インプラント
顎の骨に人工の歯の根を埋め込むことで、天然の歯に近い感覚と審美性を誇ります。
ちなみに今回は歯周病治療における手術がテーマになっていますが、インプラント治療でも手術を行います。
失った歯を取り戻せるとまでいわれる治療方法ですが、治療費や治療期間は大きなものになります。
5-2. 入れ歯
上記で説明したインプラントとは全く逆の特徴を持った治療方法です。
と言うのも、入れ歯は咬合力が弱い上に外れやすいため、インプラントに比べて機能性が大きく劣ります。
さらに審美性も劣りますが、その分治療費が安いというインプラントにはないお手軽さがあるのです。
…治療費が高くて手術も必要になるインプラント、費用は安いものの天然の歯とは程遠い感覚の入れ歯、
どちらもおすすめとはいえないため、歯周病で歯を失わないように注意しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、歯周病治療で手術が必要なのは本当かについてまとめます。
- 歯周病の進行と治療
初期段階の治療 :お口のクリーニングとプラークコントロールで治療可能
中期段階の治療 :初期段階の治療に加え、状態によっては歯周外科手術を行う
重度段階の治療 :歯周外科手術が必要な上、骨の状態によっては骨の再生治療も行う - 歯周病治療における手術
フラップ手術 :溝が深くなった歯周ポケット内を清掃するために歯肉を切開する手術
骨の再生治療 :エムドゲイン法など、歯肉を切開して薬を入れることで溶かされた骨の再生を促す手術 - 歯周病の予防方法
精度の高い歯磨きをする :歯ブラシだけでは不充分。デンタルフロスも使用すると効果的
生活習慣を改善する :疲労やストレスの蓄積は免疫力を低下させ、歯周病にかかりやすくさせてしまう
歯科医院で定期検診を受ける :歯石の除去も可能な上、初期段階の歯周病も発見できる - 歯周病かどうかを知る自己診断 :口臭、歯肉からの出血、歯が長くなって見えるなどがある
- 歯を失った場合の対処
インプラント :天然の歯に近い機能性と審美性を誇るが、その分治療費は高く治療期間も長い
入れ歯 :治療費が安くてお手軽な治療だが、機能性や審美性はインプラントに大きく劣る
これらのことから、歯周病治療で手術が必要なのは本当かが分かります。
結論をいうと歯周病治療で手術が必要なのは本当です。しかし、それはあくまで歯周病が進行した場合であり、
少なくとも初期段階で治療すればいくら歯周病でも手術をすることはありません。
しかし、自覚症状の少ない歯周病を初期段階で気付くことは正直困難です。
そこで効果的なのが、今回お伝えした中でも挙げた「歯科医院での定期検診」です。
定期検診を受けていれば予防効果も高く、歯科医によって初期段階の歯周病もほぼ確実に発見できるのです。