BLOG
歯周病治療の「プラークコントロール」って何ですか?
2017年06月05日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「プラークコントロールとは何か」です。
歯周病治療の説明の中には、「プラークコントロール」というものがあります。
さて、こう一言で説明したところで、そもそもプラークコントロールが分からないという人も多いでしょう。
歯周病の進行度問わず治療する上で欠かせないプラークコントロール、
それは治療だけにかかわらず予防においても重要です。
今回はそんなプラークコントロールについて説明していきます。
プラークコントロールの中には自宅でできることもあるため、この機会にぜひ知っておいてください。
目次
1. プラークコントロールとは
歯の表面をさわるとヌルヌルとした感触がありますが、これがプラークであり、歯周病の要因となるものです。
プラークは歯垢とも呼ばれており、その成分のほとんどが細菌や微生物です。
そして歯周病を治すためにはプラークを除去すること…さらにはプラークの付着を防ぐことが必要であり、
こうしたプラークの除去や付着の予防をするための行為がプラークコントロールです。
1-1. プラークコントロールの方法
プラークを除去するという点から、「プラークコントロール=歯磨き」と解釈している人が多くいます。
これは間違いではないですが、「プラークコントロールとは歯磨きのこと」というわけではありません。
と言うのも、プラークコントロールにはいくつかの方法があり、歯磨きはその中の1つにしか過ぎないからです。
つまりプラークコントロールにはいくつかの方法があり、その1つが歯磨きというわけです。
さて、実際にプラークコントロールにはどのような方法があるのか?
歯磨きを含めて改めてプラークコントロールの方法を説明します。
精度の高い歯磨き
「精度の高い」と前置きしたのは、ただ単に歯磨きするだけではプラークコントロールにならないからです。
歯磨きによってプラークを除去できなければ意味がないですし、そのためには精度の高い歯磨きが必要です。
ではどうすれば歯磨きの精度が高まるかですが、これには大きく分けて2つの方法があります。
1つは歯磨きの技術を高めることで、歯科医院の定期検診などで正しい歯磨きの方法を学べます。
また、歯周病治療においても患者さんによるプラークコントロールが求められるため、
治療の際に定期検診同様に正しい歯磨きの方法の指導を受けられます。
2つ目の方法はデンタルフロスや歯間ブラシなどを使用することです。
いくら丁寧に磨いてもブラッシングだけではプラークの除去率は6割程度であり、
デンタルフロスや歯間ブラシを使用することでそれがさらに2割~3割高まります。
歯石の除去やPMTC
これは歯科医院で行うプラークコントロールのため、「患者さん自身によるプラークコントロール」、
もしくは「自宅で行うプラークコントロール」には含まれない方法です。
歯石の除去は文字どおり歯石の除去であり、歯石とはプラークが石灰化したものです。
プラークは一定時間経つことで歯石に変化し、一旦歯石になると歯磨きで除去することはできないため、
歯石ができてしまった時には歯科医院で除去してもらわなければなりません。
次にPMTCですが、これは一言で表現するなら歯のクリーニングです。
プラークを除去する専用の機械を使用し、普段歯磨きでは磨き切れない箇所を綺麗にします。
また、PMTCには保険診療のものとそうでないものとがあり、
保険外のPMTCの方がしっかりと時間をとり、さらに1回で終えることができます。
抗生物質
薬の力によるプラークコントロールであり、薬は歯科医院で処方されます。
最も、単にプラークコントロールを希望する患者さんにこうした薬が処方されることはなく、
歯周病治療の際の炎症の状態や細菌の次第で処方されることがあります。
歯周ポケット内のプラークを除去できるほど効果は高いものの、薬である以上多少なりとも副作用が起こります。薬の種類によっては下痢などの消化管症状が報告されており、
違和感があった際にはすぐに担当の歯科医に相談しましょう。
ちなみに抗生物質によるプラークコントロールはあくまで一時的な方法です。
長期間使用すれば薬が効かない耐性菌が発生してしまいますし、
歯周病予防や初期の歯周病の治療で抗生物質を使用することはまずありません。
…このように、プラークコントロールにはいくつかの方法があるのです。
ただし、歯石の除去やPMTCや抗生物質の処方は歯科医院で行うため、
「患者さんが自宅で行うプラークコントロール」の場合は精度の高い歯磨きのことを意味します。
2. プラークの発生や付着を抑えるその他の方法
プラークコントロールという表現が的確なのかはともかく、
上記の方法以外にもプラークの発生や付着を抑える方法があります。
どれもライフスタイルに関わるため、生活習慣の改善によってできる方法です。
タバコを吸うと身体に悪いのは周知の事実ですが、それはお口の中においても同様です。
タバコを吸ってタールが歯に付着することで、プラークや歯石も付着しやすくなるのです。
最も、タバコを吸うこと自体プラーク云々以前に、歯周病になるリスクが数倍高まってしまいます。
食生活を改善する
糖分の高いお菓子はプラークの発生を高めますし、
逆にニンジンなどの繊維質が豊富な食べ物はプラークの発生を抑制します。
できるだけおやつを食べるような間食を減らせば、それだけでプラークの発生を減らすことができるのです。
虫歯を治療する
虫歯になるとプラークが付着しやすくなりますし、今回は歯周病治療がテーマなので挙げませんでしたが、
歯周病になった場合もやはりプラークが付着しやすくなるのです。
このため、虫歯があった際にはいち早く治療を受けましょう。
…喫煙と食生活と虫歯、これら3つを注意するだけでもプラークの発生や付着を抑えられます。
特に喫煙は歯周病に気付きにくくなり、さらに重症化しやすいという深刻な問題を招きます。
食生活の改善と虫歯の治療を心掛け、喫煙している人は真剣に禁煙も考えてみてください。
3. プラークコントロールをする利点
プラークコントロールは歯周病治療の際だけに必要なことではありません。
例え歯周病がなく健康なお口の状態であったとしても、プラークコントロールは欠かせないのです。
ではプラークコントロールをすること自体にどんな利点があるのかを説明します。
歯石を防ぐ
プラークコントロールするということは、プラークの付着を防いで除去するということです。
そして、プラークの付着を防いで除去するということは、歯石を防ぐことにもなるのです。
これは上記で説明したとおり、歯石はプラークが石灰化したものだからです。
ちなみに歯石には億単位の細菌が潜んでおり、その数はプラーク以上になります。
ブラッシングでも除去できないですし、その意味では歯石はプラークに厄介な存在です。
そんな歯石を作らないためにも、普段からプラークコントロールを心掛けてください。
虫歯や歯周病を予防する
虫歯や歯周病は、いずれも虫歯菌や歯周病菌といった細菌によって起こる症状です。
そして、これらの細菌はプラークを棲み処としています。
このため、プラークコントロールをすることは虫歯や歯周病を予防することになるのです。
逆に言えば、プラークコントロールができなければ虫歯や歯周病が起こるリスクが高まります。
虫歯や歯周病を予防にはプラークコントロールを徹底し、
虫歯菌や歯周病菌が棲みにくい環境を作らなければなりません。
口臭予防になる
エチケットを考える人にとっては、ある意味これが最も大きな利点でしょう。
口臭はお口の中で細菌が繁殖することで起こりますし、
歯周病によって膿みが出ることも口臭に繋がります。
その点、プラークコントロールがしっかりとできていれば細菌の繁殖も歯周病も予防でき、
口臭がするような事態にもならないのです。ちなみに、いくら歯磨き粉の香りがあったとしても、
お口の中が細菌だらけになっていれば口臭を絶つことはできません。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、プラークコントロールとは何かについてまとめます。
1. プラークコントロールとは :プラークの除去や付着の予防をするための行為
精度の高い歯磨き :歯磨きは精度が重要。歯科医院で正しい歯磨きの方法の指導が受けられる
歯石の除去やPMTC :プラークを除去すれば歯石はできない。PMTCはお口のクリーニング
抗生物質 :細菌や歯周病の状態次第では、薬を使ってプラークコントロールする場合もある
2. プラークの発生や付着を抑えるその他の方法 :
禁煙 :タールが歯に付着することで、プラークが歯石も付着しやすくなる
食生活の改善 :糖分の高いお菓子はプラーク発生を高め、繊維質豊富な食べ物はプラーク発生を抑える
虫歯を治療する :虫歯になるとプラークが付着しやすくなる。歯周病においても同様のことが言える
3. プラークコントロールをする利点
歯石を防ぐ :プラークが石灰化すると歯石になる。プラークコントロールによってこれを防げる
虫歯や歯周病を予防する :虫歯や歯周病を引き起こす細菌はプラークを棲み処にしているため
口臭予防になる :細菌の繁殖や歯周病が口臭を引き起こすため、プラークコントロールによって防げる
これらのことから、プラークコントロールとは何かが分かります。
プラークコントロールとは、プラークを除去し、さらには付着させにくくするための行為です。
一般的にこれを歯磨きと表現する人が多いですが、プラークコントロールの方法はそれだけではありません。
最も、自宅でできるプラークコントロールに限定した場合は歯磨きが正解です。
ただし、プラークコントロールと言える歯磨きを実践するには精度の高い歯磨きが必要です。
しっかりとしたプラークコントロールは歯周病治療に必須であり、同時に予防においても必須なのです。