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歯科医院で定期検診を受ければ絶対に歯周病にならないですか?
2017年06月12日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「定期検診を受ければ歯周病を予防できるか」です。
歯周病を予防するには歯科医院の定期検診が欠かせないと言われています。
実際に何らかの治療で歯科医院に行った際、歯科医に定期検診をすすめられた人も多いでしょう。
では、定期検診を受けていれば歯周病を予防できるのでしょうか?
ここでは、歯科医院の定期検診を受けていれば確実に歯周病を予防できるのかについて考えていきます。
目次
1. 歯周病の要因
歯周病の予防を考える上で知らなければならないのは、そもそもどうやって歯周病が起きるかです。
歯周病の要因が分かればおのずと予防方法も見えてきますし、
その予防方法と定期検診の関係性も見えてくるからです。
1-1. プラーク
歯周病の要因はプラークであり、正確に言うならプラークの中に潜んでいる歯周病菌です。
プラークは歯周病菌にとって言わば棲み処であり、プラークの除去が歯周病予防の基本です。
ではプラークはどうやって除去するのか?…その基本は毎日の歯磨きです。
とは言え、目に見えないプラークを全て除去するのは実質不可能であり、
丁寧な歯磨きを行ったとしてもプラークの除去率は6割程度と言われています。
ちなみに、歯磨き時にデンタルフロスや歯間ブラシを使用すればプラークの除去率がさらに2割高まります。
つまり、プラークを除去する方法の基本は精度の高い歯磨きであり、
そのためにはブラッシングだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシの使用が必要です。
また、歯磨きの技術自体を高める必要もあり、それら全てができてこそ初めて歯磨きの効果が得られます。
1-2. 生活習慣
歯周病は生活習慣病であり、その名のとおり生活習慣の中に歯周病になるリスクを高める要因が潜んでいます。
例えば疲労やストレス、これらはいずれも身体の免疫力を低下させる要因です。
身体の免疫力が低下すれば細菌に感染しやすくなり、それは歯周病にかかりやすくなることを意味します。
また、喫煙している人はそれだけで歯周病になるリスクが高まりますし、さらに重症化しやすい傾向があります。
それ以外では食生活も歯周病に関係してきます。「歯周病を予防できる食材」というものはないですが、
糖類を多く含むお菓子はプラークの発生率を高めて歯周病の要因を作ります。
逆に、繊維質の豊富な野菜などはプラークの発生率を抑える特徴があるのです。
身体の免疫力の低下、喫煙、食生活…いずれも毎日の生活習慣にかかわることであり、
これらを改善することも歯周病の予防に繋がります。
…このように、歯周病の直接の要因はプラークであり、
さらに生活習慣の中で歯周病になるリスクを高める要因がいくつかあります。
と言うことは、定期検診を受けることでこれらの問題を解決できるかどうかがポイントになってきます。
2. 定期検診について
今回のテーマは「歯科医院の定期検診を受ければ歯周病を絶対に予防できるのか?」です。
そして、上記で説明したとおり歯周病の要因はプラークであり、そのリスクを高めるのが生活習慣です。
では、歯科医院の定期検診でプラークと生活習慣の問題が解決できるかどうかを考えていきます。
2-1. ブラッシング指導
定期検診ではブラッシング指導を受けることができ、これによって歯磨きの技術が向上します。
正しい歯磨きの方法は意外に奥深く、歯ブラシの持ち方すらポイントになるのです。
つまり、ブラッシング指導を受けなければ正しい歯磨きの方法を知ることはできないですし、
それを知って歯磨きの技術が向上すればよりプラークを除去しやすくなり、歯周病予防に繋がります。
2-2. お口のクリーニング
いくら丁寧に歯を磨いても、必ずどれだけかの磨き残しは存在します。
その意味では、お口の中のプラークを全て除去するのはまず不可能です。
しかし、定期検診ではお口のクリーニングを行うことでそんなプラークを綺麗に除去できますし、
歯磨きでは対処できない歯石も除去できるため、それが歯周病予防に繋がるのです。
2-3. 生活習慣の改善のアドバイス
日常生活の中でお口の健康を脅かす可能性がある部分を確認し、
それを改善するためのアドバイスを行います。
これは歯周病に限らず虫歯も対象になっており、
日常生活において歯周病や虫歯を引き起こす可能性が高い部分の指摘とアドバイスを行います。
…ブラッシング指導とお口のクリーニングと生活習慣改善のアドバイス、
歯科医院の定期検診ではこれら3つを行っており、同時にこれら3つは歯周病の要因となることばかりです。
つまり、定期検診を受けることが歯周病予防に効果的なのは事実というわけです。
3. 定期検診だけで歯周病は絶対に予防できるのか
上記で説明したとおり、定期検診を受けることは歯周病の予防に大きな効果があります。
さて、今回のテーマは「定期検診を受けていれば絶対に歯周病にならないのか」ですが、
定期検診を受けることで“絶対”に予防できると言い切れるのかを考えてみましょう。
3-1. 絶対とは言い切れない
結論から言うと、定期検診を受けたからといって絶対に歯周病を予防できるとは限りません。
予防効果が高いのは事実ですが、絶対に予防できるとまでは言い切れないのです。
ではなぜ定期検診を受けていても完全な予防はできないのか?その理由はいくつかあります。
患者さんによるプラークコントロールが不充分
歯周病予防において定期検診を受けることは大切ですが、
予防のメインはあくまでも患者さんによるプラークコントロールです。
極端な話、いくら定期検診を欠かさなくても全く歯磨きをしない場合は、歯周病も虫歯も予防できません。
定期検診で歯周病を予防できても、定期検診“だけ”で予防することはできないのです。
頻度の問題
仮に毎日歯科医がお口の中を毎日クリーニングすれば、絶対に歯周病にはならないでしょう。
しかし、定期検診とは文字どおり3ヶ月に1回ほどの割合で定期的に受けるものです。
24時間常にお口の中を清潔にできるわけではないので、どうしても歯周病が起こることもあるのです。
ちなみに、年に1回以内など定期検診を受ける頻度が低ければ、予防効果も得られなくなってしまいます。
既に歯周病になっている可能性
ここで定期検診の必要性を知った人が早速定期検診を受けに行くとして、
既に歯周病になってしまっている可能性もあります。
最も、その場合は定期検診の際に歯科医が気付くでしょうが、
このように定期検診を受ける前の時点で歯周病になっている可能性だってあるのです。
3-2. 定期検診を受ける意味はあるのか
絶対に歯周病を予防できるとは言い切れないことで、
定期検診を受ける必要性に疑問を感じる人もいるかもしれません。
しかし、定期検診を受けると受けないとでは雲泥の差があり、やはり受けることは必要です。
では絶対に予防できるわけではないのになぜ受ける必要があるのでしょうか?…その理由は2つです。
予防効果が高まる
絶対に予防できるとは言い切れないものの、定期検診によって歯周病の予防効果が高まるのは事実です。
その理由は既に上記で説明したとおりです。お口のクリーニングによるプラークや歯石を除去できます。
さらに、自身のプラークコントロールが高まるブラッシング指導、
生活習慣改善のアドバイスなど、どれも歯周病予防において大きな効果をもたらします。
歯周病を早期発見できる
定期検診を受けると受けないとでは予防効果に大きな差が出ますが、
それ以上に差が出るのは歯周病になってしまった場合です。
自覚症状の少ない歯周病は自身ではなかなか気付けず、気付いた時には進行していることがほとんどです。
その点、定期検診を受けていればお口の状態をチェックするため、初期段階で発見して治療できるのです。
…このように、定期検診を受ければ歯周病の予防効果が格段に高まりますし、
仮に歯周病になったとしても早期発見と早期治療が可能であり、深刻な状態になるほどの進行を許しません。
これらの点から定期検診を受けることには大きなメリットがあることが分かります。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、定期検診を受ければ歯周病を予防できるかについてまとめます。
1. 歯周病の要因 :定期検診の効果を知る上で、まず歯周病の要因を考えてみる
プラーク :歯周病菌の棲み処。これを除去することが歯周病予防の基本となる
生活習慣 :疲労やストレスは身体の免疫力を低下させ、歯周病にかかりやすくなってしまう
2. 定期検診について :上記で挙げた歯周病の要因を解決できる
ブラッシング指導 :歯磨きの精度が高まるため、よりプラークを効率よく除去できるようになる
お口のクリーニング :プラークはもちろん、歯磨きでは対処できない歯石も除去できる
生活習慣改善のアドバイス :日常生活に潜む歯周病の要因が分かり、歯周病にかかるリスクを減らせる
3-1. 定期検診だけで歯周病は絶対に予防できるのか :予防効果は高いが、絶対に予防できるわけではない
患者さんによるプラークコントロールが不充分 :歯磨きを疎かにしていては歯周病を予防できない
頻度の問題 :いくら定期検診を受けていても毎日ではない以上、歯周病が起こる可能性はある
既に歯周病になっている可能性 :定期検診を受ける前の時点で歯周病になっている可能性もある
3-2. 定期検診を受ける意味はあるのか :絶対に予防できるわけではないものの、大きなメリットがある
予防効果が高まる :予防効果が高いのは事実なので、歯周病にかかるリスクは激減する
早期発見できる :もし歯周病になっても早期発見と早期治療が可能なので、大きな問題に至らない
これらのことから、定期検診を受ければ歯周病を予防できるかが分かります。
定期検診を受けたからといって絶対に歯周病を予防できるとは限りません。
また、定期検診を受けるだけでは歯周病を予防することはできません。
しかし、定期検診を受けることで予防効果が格段に高まるのは事実ですし、
プラークコントロールがしっかりできていれば、ほぼ歯周病を予防することが可能です。
また、歯周病になったとしても定期検診を受けていれば進行前に発見し、容易に治療することができるのです。