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歯周病治療は一般歯科で対応してくれますか?
2017年08月01日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「歯周病治療は一般歯科で対応可能なのか」です。
私達は体調を崩した時には病院に行きますが、行く前にはその病院の診療科目に注目します。
ケガをした際には外科、子供が風邪を引いた時には小児科など、
それぞれの症状に対応できる診療科目のある病院を選んで行きますね。
これは歯科の世界にも言えることで、歯科医院ごとで対応している診療科目は異なります。
矯正するなら矯正歯科になりますし、ホワイトニングをするなら審美歯科になります。
では歯周病はどうでしょうか?一般歯科は虫歯治療など、文字どおり一般の歯科治療に対応していますが、
歯肉の病気である歯周病治療を受けられるのでしょうか。
目次
1. 歯周病は一般歯科で対応可能
歯周病は一般歯科で対応可能です。ただし、重度の歯周病治療は一概にそうとも言えません。
初期段階の治療内容となる歯石の除去やプラークコントロールはどの歯科医院でもできますが、
重度の歯周病になると歯周ポケット内の清掃のため、歯肉を切開するフラップ手術を行います。
このフラップ手術は口腔外科的治療ですから、一般歯科の歯周病治療では行うのが難しいのです。
最も、対応している歯科医院もあるかもしれないですが、手術となると歯科医の腕も重要になってきます。
このため進行した歯周病治療の場合は、治療を受ける歯科医院にこだわった方がいいでしょう。
歯周病治療に長けた歯科医院の見つけ方
フラップ手術を含め、質の高い歯周病治療を受けるとなると歯科医院選びにこだわる必要があります。
ではどうやって歯周病治療に長けた歯科医院を見つければいいのでしょうか。
それは、歯科医院のHPで確認することです。
最近ではほとんどの歯科医院がHPを開設していますし、歯科医院名が分からなくても地域から検索できます。
例えば「〇〇(地域) 歯科医院」で検索すれば、該当する歯科医院の一覧が掲載されたサイトも見つかります。
このような方法で歯科医院のHPを確認し、以下の点に注目してみましょう。
認定医、専門医の資格に注目する
歯周病治療を得意とする歯科医は、日本歯周病学会から認定された資格を持っています。
歯周病認定医、さらにはそれ以上の資格となる歯周病専門医、
これらの資格を持つ歯科医は歯周病治療において高い技術と経験を誇っています。
また日本歯周病学会のHPでは、歯周病の認定医と専門医の在籍する歯科医院を調べることができます。
都道府県別で歯科医院名まで正確に分かるため、
それを確認すれば歯周病の認定医や専門医のいる歯科医院で治療を受けることができます。
歯科医院のHPを確認する
歯科医院のHPでは、その歯科医院が得意とする治療内容、さらには医療設備などが分かります。
また、院長挨拶ではどの治療に力を入れているかを知ることができますし、
スタッフや院内の雰囲気も分かるので自分に合った歯科医院を見つけやすいのです。
診療科目に注目すれば、歯周病治療でフラップ手術などの難易度の高い治療に対応しているかが分かります。
色々な歯科医院のHPを確認していれば、中には「歯周病治療ならおまかせください」のような感じで、
歯周病治療に絶対の自信を持つ歯科医院も見つかるでしょう。
2. 難易度の高い歯周病治療
歯石の除去、プラークコントロール、これらは歯周病治療において例外なく必要ですが、あくまで基本です。
歯周病が進行するとそれ以上の治療がなりますが、それらの治療は一般歯科ではなかなか対応できません。
上記ではフラップ手術を例に挙げましたが、それを含めて難易度の高い歯周病治療を紹介します。
フラップ手術
歯周外科手術とも呼ばれるもので、手術内容としては歯肉の切開です。
歯周病になると歯周ポケットが深くなり、そこに歯石などの細菌が溜まります。
本来なら歯石の除去でそれらも綺麗にできるのですが、歯周病が進行するとそう簡単にはいきません。
と言うのも、歯周病の進行に比例して歯周ポケットはより深くなっていくため、
進行の度合いによっては歯周ポケットが深すぎて表側から歯周ポケット内の清掃ができなくなるのです。
そこでフラップ手術を行い、歯肉を切開してそこから歯周ポケット内の清掃を行います。
歯周組織再生療法
歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨が徐々に溶かされていきます。
歯周病で歯が抜けるというのは、歯槽骨が溶かされて歯が支えを失うことで抜け落ちてしまうからなのです。
さて、この溶かされた歯槽骨は自然には再生できませんが、歯周組織再生療法によってそれが可能になります。
具体的には、GTR法やエムドゲイン法といった治療方法です。
これらは骨の再生スペースを作る、歯周組織に刺激を与えて再生を促すなどの方法で、
溶かされた骨を再生させる治療方法です。ただし、再生できる量や状況には限界があり、万能ではありません。
…これらの治療は一般歯科ではなかなか行うことができません。
一般歯科でもその歯科医院が歯周病治療に力を入れている、もしくは専門医が在籍しているなら別ですが、
あくまで一般的な一般歯科のみに対応した歯科医院では、これらの治療は行えないでしょう。
3. 歯周病の怖さを知る
歯周病の認定医や専門医、歯科医院選びの重要性…中にはオーバーに思える人もいるかもしれません。
歯周病くらい近くの歯科医院で治せばいい…そう思う人もいるでしょう。
しかし、歯周病を軽視してはいけません。歯周病は私達にとって深刻な病気となっているのです。
データによれば、日本人の成人の7割以上が歯周病を持っていると報告されていますし、
初期段階の歯周病を意味する歯肉炎においては、小学生ですら悩まされているのです。
近年では国民病と表現されることもあり、現在歯周病は虫歯以上に深刻な状態にあるのです。
こうした現状になっている背景には、多くの人が歯周病を軽視してしまっているのが理由の1つです。
歯周病には虫歯のような痛みもないため、歯周病は怖くないと思ってしまっている人が多いのです。
しかしそれは大きな間違えで、痛みがない分自覚しにくく、進行しやすいという問題があるのです。
だからこそ、歯周病になってしまった場合は治療技術に長けた歯科医院で治療を受けるべきですし、
それ以前に定期検診に通うなどして徹底予防しなければなりません。
私達は歯周病の怖さをもっと知らなければならないのです。
4. 歯周病の予防方法
歯周病について知っておかなければならないのは、治療を受ける歯科医院についてだけではありません。
もっと重要なのは、歯周病にならないための予防方法を知っておくことです。
ここでは歯周病予防に効果的な3つの方法をお伝えします。
デンタルフロスや歯間ブラシの使用
歯磨き時、ブラッシングだけでは歯周病予防として不充分です。
例え丁寧に歯磨きしたとしても、ブラッシングだけの場合はプラークの除去率は6割程度しかありません。
それを高めることができるのが、デンタルフロスや歯間ブラシの使用です。
どちらもブラッシングでは届きにくい箇所を磨くためのもので、
これらを使用することでプラークの除去率がさらに2割高まります。ちなみにデンタルフロスは歯と歯の間、
歯間ブラシは歯と歯肉の境目を磨くことができ、特に歯間ブラシは歯周病予防に最適とされています。
定期検診を受ける
歯周病予防をする上で欠かせないのが、歯科医院での定期検診です。
歯周病予防の基本はプラークの除去ですが、お口のクリーニングを行うことで綺麗に除去できます。
さらに、クリーニングでは歯磨きでは対処できない歯石も除去できるのです。
また、ブラッシング指導を受けられるため、それによって自分の歯磨きの精度も高めることができます。
それと、歯周病は自覚症状が少ないために気付きにくいのが問題ですが、
定期検診では歯科医がお口の状態をチェックするため、歯周病になっていてもすぐ発見できるのです。
生活習慣の見直し
歯周病は生活習慣病とも呼ばれており、日常生活の中にも要因が潜んでいます。
例えば疲労やストレス、これらは一見歯周病とは無関係に思えますが、実はそうではありません。
何しろ歯周病は細菌による感染症ですから、疲労などで免疫力が低下すると感染しやすくなるのです。
他にも、日頃からタバコを吸っている人はそれだけで歯周病になるリスクが高まりますし、
タバコを吸うことで歯周病になった時に重症化しやすくなるのです。
生活習慣を見直し、身体の免疫力を低下させる行為などを控えることも歯周病予防になるのです。
…もちろんこの場で絶対という保証をすることはできないものの、
これら3つの予防方法を全て実践すれば大抵の歯周病は防げますし、重症化することはないでしょう。
いかがでしたか?
最後に、歯周病治療は一般歯科で対応可能なのかについてまとめます。
1. 歯周病は一般歯科で対応可能
・進行した歯周病治療は、通常の一般歯科では対応できないこともある
・認定医、専門医の資格に注目する :これらの資格を持つ歯科医は、歯周病治療の技術が高い
・歯科医院のHPを確認する :難易度の高い歯周病治療に対応しているかが分かる
2. 難易度の高い歯周病治療
・重度段階の歯周病治療は難易度が高く、一般の歯科医には難しい
・フラップ手術 :深くなった歯周ポケット内を清掃するために歯肉を切開する
・歯周組織再生療法 :溶かされた骨を再生させる治療で、GTR法やエムドゲイン法がある
3. 歯周病の怖さを知る
歯周病は歯を失う怖い病気なので、精密な治療ができる歯科医院で治療するべき
4. 歯周病の予防方法
・歯周病について最も知っておかなければならないのが予防方法
・デンタルフロスや歯間ブラシの使用 :プラークの除去率がさらに2割高まる
・定期検診を受ける :歯石も除去でき、例え歯周病になっても初期段階で発見できる
生活習慣の見直し :身体の免疫力を低下させる行為、喫煙などは歯周病になるリスクを高める
これらのことから、歯周病治療は一般歯科で対応可能なのかについてまとめます。
補足としておくと、専門医の在籍する歯科医院で治療を受ける時は、通える範囲の歯科医院を選んでください。
なぜなら、重度の歯周病の場合は完治までに1年以上かかることもあるからです。
このため、長期間の通院を視野に入れてそれが可能な歯科医院を選ばなければなりません。