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虫歯と歯周病は全く別物ですか?もし別物なら予防方法がほとんど同じなのはなぜですか?
2017年08月29日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。今回のテーマは「虫歯と歯周病の違いと予防方法について」です。「毎日の歯磨きでプラークを除去する」…これは虫歯の予防方法の基本です。
そして、全く同じ予防方法となるのが歯周病です。歯周病もまたプラーク内の細菌に感染することで起こるため、「毎日の歯磨きでプラークを除去する」が予防の基本になるのです。
さて、予防方法である以上虫歯と歯周病は実は同じ病気なのでしょうか。もし別物だと言うなら、それはそれで予防方法が同じというのはどういうことなのでしょうか。
虫歯と歯周病において誰もが抱くこれらの疑問についてお答えしていきます。
目次
虫歯と歯周病の違い
まず虫歯と歯周病は別物なのかという質問に答えると、別物というのが答えです。症状、治療方法、症状が起こる箇所など、これらは虫歯と歯周病とでは全く異なります。
ではこれらの違いを実際に比較して説明していきます。
虫歯の症状と治療方法
虫歯は文字どおり歯の病気で、虫歯菌の出す酸によって歯が溶かされることで虫歯になります。歯が溶かされると穴があき、虫歯が進行するについて穴もどんどん深くなっていきます。そして、刺激に敏感な象牙質まで進行することで痛みを感じるようになるのです。放置すれば歯の神経まで進行して激痛をもたらし、最終的には歯をボロボロにさせてしまいます。
虫歯治療の基本は歯を削ることですが、初期段階の虫歯の場合は削らずに治せることもあります。歯を削った後は詰め物で処置しますが、治療した歯が再度虫歯になるケースもあるので要注意です。また、酷く進行してしまうと削っただけでは治せません。神経の除去や清掃を目的として根菅治療、さらには治療不可で抜歯せざるを得ない場合もあります。
歯周病の症状と治療方法
歯周病は歯の周りの病気…すなわち歯肉の病気であり、歯周病に感染することで起こります。歯肉が炎症を起こして腫れあがり、その影響で歯肉から出血する、膿みが出るなどの症状が起こります。進行することで歯槽骨が溶かされていきますが、歯槽骨は歯を支える役割を持っています。つまり歯槽骨が溶かされることは歯が支えを失うことを意味するため、最終的に歯が抜け落ちてしまいます。
歯周病の治療方法は、歯石の除去とプラークコントロールが基本です。ただし進行すると歯周ポケットが深くなるため、歯周ポケット内の清掃のために手術を行うことがあります。これはフラップ手術と呼ばれるもので、歯肉を切開することで歯周ポケット内の清掃をするのです。また、虫歯同様に重度の段階まで進行すると状態によっては抜歯しなければならなくなります。
…このように、虫歯は歯の病気で歯周病は歯肉の病気です。このため症状の起こる箇所自体が違いますし、症状も全く違います。そして治療内容も異なるため、これらの点で見ても虫歯と歯周病は全くの別物だということが分かります。
虫歯と歯周病の要因
虫歯と歯周病の要因は同じようで違います。これはどういうことかというと、虫歯も歯周病も細菌の感染によって起こりますし、その細菌はプラーク中に存在している…この点においては全く同じなのです。
しかし、それぞれの症状を引き起こす細菌の種類は異なっており、虫歯は虫歯菌、歯周病は歯周病菌によって起こります。つまり、細菌の感染によって起こる点とその細菌がプラーク内に存在する点は同じです。
しかし、要因となる細菌の種類は異なるのです。そしてこの事実から、今回のテーマである「予防方法が同じなのはなぜ?」の答えが分かります。それは、どちらの細菌もプラークの中に存在しているからです。
虫歯と歯周病はそれぞれ症状を引き起こす細菌の種類は異なります。しかし、これらの細菌はいずれもプラークの中に存在しています。このため虫歯も歯周病もプラークの除去が予防の基本となり、その点で予防方法が全く同じになるのです。
虫歯と歯周病の予防方法
虫歯菌も歯周病菌もプラークの中に存在し、どちらもプラークの除去が予防の基本です。だからこそ、虫歯と歯周病は予防方法が同じだと説明しました。ではどんな予防方法があるのでしょうか。効果的な予防方法を具体的にお伝えします。
歯磨きをする
予防の基本はやはり歯磨きですが、精度の高い歯磨きをすることで予防効果は高くなります。歯磨きにおいて重要なのは頻度ではなく精度です。よく「1日3回歯磨きしているのに虫歯や歯周病になった」という声を聞きます。
しかし、例え1日5回歯磨きしたとしても、その歯磨きの精度が低ければ予防効果は低いでしょう。一方、1日1回の歯磨きだとしてもそれが精度の高い歯磨きなら、1日5回の歯磨きよりも予防効果は高いのです。そこで問題なのが精度の高い歯磨きをするにはどうすればいいのかで、そのポイントは3つです。
デンタルフロスや歯間ブラシの使用
デンタルフロスは歯と歯の間の隙間を磨き、歯間ブラシは歯と歯肉の境目を磨くためのものです。いずれも歯ブラシでは磨きにくい箇所となるため、ブラッシングだけの歯磨きに比べてプラークの除去率が高まります。
ちなみに歯と歯の間の隙間は最も虫歯が起こりやすい箇所となるため、デンタルフロスは虫歯予防に効果的です。一方歯と歯肉の境目は歯周ポケットに該当するため、そこを磨ける歯間ブラシは歯周病予防に効果的とされています。
プラークテスターの使用
誰もが歯磨き時には磨き残しがありますし、磨き残す箇所は人それぞれ違います。プラークテスターを使用することで、自分の磨き残す箇所…つまり自分の歯磨きの欠点が分かります。プラークテスターはプラークを染め出しして目に見える状態にしてくれます。
数日間プラークテスターを使用すれば毎回どの箇所にプラークが残っているかが分かりますし、そこが自分の歯磨きの欠点ということになるのです。今後その箇所を意識して磨くようにすれば、今までに比べて確実に歯磨きの精度が高まります。
正しい歯磨き方法の実践
歯磨きというのは実は正しい磨き方があり、それを実践することで歯磨きの精度は格段に高まります。問題はどこで正しい歯磨き方法を覚えるかですが、これは歯科医院で指導を受けることで覚えられます。歯科医院での定期検診、予防歯科、これらの治療の中ではブラッシング指導というものがあるのです。
つまり正しい歯磨き方法の指導です。中には虫歯治療や歯周病治療の中で指導してくれる歯科医もいますが、全ての歯科医がそうというわけではありません。症状を治す目的ではなく予防するための治療を受け、正しい歯磨き方法の指導を受けましょう。
定期検診や予防歯科を受ける
上記の「正しい歯磨き方法の実践」の項目でも少し触れましたが、歯科医院は症状を治すためだけでなく症状を予防するための治療も受けることができます。それが歯科医院で行う定期検診や予防歯科です。
定期検診や予防歯科ではお口をクリーニングし、プラークや歯石を綺麗に除去できます。また、お口の中を確認することで虫歯や歯周病をいち早く発見することができるのです。1ヶ月~3ヶ月ごとにこれらを受けておけば、予防はもちろん虫歯や歯周病になっても早期治療できます。
日常生活の過ごし方を改善する
虫歯も歯周病も細菌の感染によって起こる病気ですから、その点では風邪と同じ一面を持っています。そして、風邪を引かない人というのは身体の免疫力が高く、細菌に感染しにくい人のことを指します。虫歯も歯周病も細菌の感染で起こる以上、やはり身体の免疫力を高めることが予防になるのです。
ではどうすれば身体の免疫力が高まるか?…それは日常生活の過ごし方を見直して改善することです。例えば、疲労やストレスの蓄積は身体の免疫力を低下させるため、休息の時間を確保することや解消方法を作ることで免疫力低下を防げます。
また、栄養バランスのとれた食生活を送ることは身体の免疫力の向上に繋がります。このように日常生活を見直し、身体の免疫力低下に繋がる行為を改善する、さらには身体の免疫力を向上させる行為を実践することで、虫歯菌や歯周病菌に感染しにくくなるのです。
…お伝えした予防方法の数で言えば、たった3つの予防方法しかないと思うかもしれません。しかしこれらの方法はいずれも高い予防効果が得られるため、3つの方法を全て実践できれば虫歯も歯周病も高い確率で予防できます。
まとめ
いかがでしたか?最後に、虫歯と歯周病の違いと予防方法についてまとめます。
虫歯と歯周病の違い :これらは別物。症状、治療方法、症状が起こる箇所などが全く異なる
- 虫歯の症状と治療方法 :歯が酸に溶かされて穴があく。削って詰め物で処置するのが治療の基本
- 歯周病の症状と治療方法 :歯肉が炎症を起こして歯槽骨が溶ける。歯石の除去などが治療の基本
虫歯と歯周病の要因 :どちらもプラーク内の細菌の感染が要因だが、細菌の種類は異なる
虫歯と歯周病の予防方法 :歯磨き、定期検診、日常生活の見直しと改善、これら3つの予防方法がある
- 歯磨きをする :デンタルフロスや歯間ブラシを使った精度の高い歯磨きが必要
- 定期検診や予防歯科を受ける :お口のクリーニングでプラークや歯石を除去できる
- 日常生活の過ごし方を改善する :身体の免疫力を向上させることで、虫歯菌や歯周病に感染しにくくなる
プラークを除去できる精度の高い歯磨き、お口の中をクリーニングする定期検診や予防歯科、免疫力の向上を考える日常生活の過ごし方の改善が予防になるのです。どちらも最終的に歯を失う怖い病気なので、これらの方法で予防を徹底してください。