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歯周病になりにくくするための日常生活の工夫があったら教えてください
2017年09月01日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。今回のテーマは「歯周病になりにくくするための日常生活の工夫」です。歯周病の予防方法は虫歯と同じであり、基本は毎日の歯磨きです。
これは歯周病菌がプラークの中に存在しているからで、そのプラークを除去する歯磨きが予防において最も重要かつ基本となるのです。最も、それだけで歯周病を予防するのは難しいでしょう。
歯周病になるリスクを少しでも減らすなら、日常生活の過ごし方も考えなければなりません。逆に言えば、日常生活の過ごし方を考えることで歯周病になりにくくできるのです。ここでは、そんな歯周病の予防効果をもたらす日常生活の工夫をお伝えします。
目次
歯周病は細菌による感染症
歯周病はある日突然お口の中で発症するわけではなく、正確には細菌に感染することで起こります。つまり、風邪の菌に感染することで風邪を引くのと全く同じ原理で歯周病は起こるのです。このため、細菌の感染への抵抗力…すなわち免疫力を高めることが歯周病の予防にもなるのです。
トレスや疲労の解消
ストレスや疲労はいずれも身体の免疫力を低下させてしまう要因です。
とは言え、社会人の方はストレスと無縁の生活を送ることは不可能でしょうから、
ストレスのない生活というよりもストレスを解消する方法を探した方が賢明です。
趣味でも遊びでも何でも構いません。適度にストレスを解消させることができれば身体の免疫力低下を防ぎ、
歯周病菌に感染するリスクも減らせます。次に疲労ですが、この解消方法として効果的なのは睡眠です。
できるだけ早く寝るようにすることで疲労の蓄積を防ぎ、やはり身体の免疫力低下を防げます。
食生活の改善
身体のエネルギーの源は栄養で、栄養は食事によって摂取します。
このため、食生活が乱れていると身体の免疫力が低下してしまいます。
逆に栄養バランスのとれた食生活を送っていれば、身体の免疫力はグングン高まっていくのです。
「食生活」と「お口の病気」を関連付けた時、大抵の方は真っ先に糖分の摂取を考えます。
確かに虫歯や歯周病は過剰な糖分の摂取により発症にリスクが高まりますが、
注意すべき点はそれだけはなく、免疫力を高める栄養バランスのとれた食事を考えなければなりません。
禁煙する
喫煙は歯周病になるリスクを何倍も高めますし、それはデータで証明されている事実です。
また、喫煙すると歯周病になってしまった場合も重症化しやすい傾向があります。
つまり喫煙は歯周病になるリスクだけでなく、歯周病が重症化するリスクを高めることにもなるのです。
ちなみに、喫煙もまた身体の免疫力を低下させる要因で、なぜならニコチンが免疫機能を狂わせるからです。
このため、現在喫煙している方はこの機に真剣に禁煙を考えてください。
例え今まで喫煙していた方でも、禁煙すれば歯周病になるリスクを再び減らすことは充分可能です。
…いずれも普段の生活習慣が関わってくる問題です。
実際に歯周病は生活習慣病とも呼ばれており、
日常生活の過ごし方次第で歯周病なるリスクは高くも低くもなるのです。
家族全員で予防意識を高める
歯周病は細菌による感染症で、その点では風邪と似ていると説明しました。
さらにもう1つ似ているのは、歯周病は風邪同様に人から人へうつるということです。
このため、自分だけでなく家族全員で予防意識を高めなければ、家族内でうつってしまう可能性があります。
さて、歯周病がどうやってうつるのかを説明します。
正確には歯周病が直接うつるわけではなく、歯周病菌がうつるというのが正しい表現です。
とは言え、歯周病菌がうつってしまう以上、うつされた側は歯周病になるリスクを抱えることになるのです。
感染手段は唾液を介すことで、行為としてはキスや食器の共用、歯ブラシの接触などが挙げられます。
いずれも家族や恋人同士で行う行為であり、
家族全員で予防意識を高めるべきと説明したのはそのためです。
歯磨きの仕方を見直す
日常生活を見直す前に、毎日の歯磨きの仕方も見直してみましょう。
歯磨きは歯周病予防の基本ですから、この基本が疎かになっていれば予防が難しいのです。
ちなみに歯磨きにとって重要なのは頻度ではなく精度です。
1日何回磨いたとしても精度が低ければ無意味ですし、
逆にしっかりとプラークが除去できていれば1日1回の歯磨きでも充分な予防効果があります。
問題はどうやって精度の高い歯磨きの仕方を身につければいいのかですが、その方法を以下で紹介します。
デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
歯ブラシだけで磨く場合、一般的にプラークの除去率は6割程度と言われています。
つまり、歯ブラシだけの歯磨きでは4割の磨き残しを生むことになるのです。
一方デンタルフロスや歯間ブラシを使用すれば、プラークの除去率をさらに2割高められます。
ブラッシング指導を受ける
予防歯科や歯科医院の定期検診では、ブラッシング指導によって正しい歯の磨き方を学べます。
この指導を受けることで、自分の歯磨きの精度を確実に高めることができます。
ちなみに、歯並びが悪い方はそれに合った磨き方も学べます。
プラークチェッカーを使用する
プラークテスターとも呼ばれるもので、プラークを染色…つまり染め出す効果があります。
これによってプラークが目に見える状態になるため、磨き残しを確実に防げます。
さらに繰り返して使用することで着色のパターンが把握でき、自分の歯磨きの弱点も分かります。
…これらの方法を実践し、まずは歯周病予防の基本である歯磨きの仕方をマスターしましょう。
その上で日常生活を見直せば、より歯周病を予防しやすくなります。
定期検診を受ける
歯周病を予防するには歯科医院の定期検診は欠かせません。
3ヶ月に1度くらいのペースで良いので、日常生活の一部として定期検診の受診を取り入れてください。
定期検診を受けることで歯周病の予防効果が高まるだけでなく、
実際に歯周病になってしまった時に早期発見できるメリットも得られます。
予防効果
定期検診でお口のクリーニングを行い、プラークを完全に除去できます。
さらに歯磨きでは対処できない歯石も除去できるため、
定期検診を受けると受けないとでは予防効果に大きな差があります。
早期発見
歯周病は虫歯の痛みのような分かりやすい自覚症状がありません。
このため自分が歯周病であることに気付けず、気付いた時には重症化しているケースが多いのです。
その点、定期検診ではお口の状態を確認するため、初期の歯周病でも確実に発見して治療できるのです。
…定期検診を受ける習慣を身につけることは、歯周病だけでなく虫歯の予防にも効果的です。
できれば3ヶ月に1度、長くても半年に1度は受けるようにしましょう。
女性は歯周病になりやすい
「男性よりも女性の方が歯周病になりやすい」…そう聞いたことのある方もいるでしょう。
これは事実であり、男性に比べて女性の方が歯周病になるリスクが高いのです。
これは女性ホルモンが理由になっており、
歯周病菌の中には女性ホルモンをエネルギーにするものがあるのです。
このため、妊娠時など女性ホルモンの分泌が過剰になるタイミングでは、
歯周病菌の働きがより活発になってしまうのです。
さらに妊娠時は悪阻などの影響でお口のケアが不充分になるため注意が必要です。
また、妊娠中の歯周病は早産や低体重児を出産するリスクが7倍も高まってしまいます。
鏡で歯肉の状態をチェックする
ほとんどの方が毎日自分の顔を鏡で見るでしょうし、人によっては歯も見るという方もいるでしょう。
それに加えて、毎日歯肉の状態をチェックすることも歯周病対策におすすめです。
これについては直接の予防効果はないものの、初期の歯周病に気付くきっかけになるのです。
初期段階の歯周病には痛みはなく、歯がグラつくような自覚症状もありません。
ただし全く症状が見られないわけではなく、歯肉の腫れや変色が起こるのです。
毎日鏡で歯肉をチェックすることで、そんな歯肉の異変に気付き、初期の歯周病を発見できることもあります。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、歯周病になりにくくするための日常生活の工夫についてまとめます。
歯周病は細菌による感染症 :風邪と同じ原理で起こるため、免疫力を高めることが予防につながる
家族全員で予防意識を高める :歯周病菌は唾液を介して人から人にうつるため
歯磨きの仕方を見直す :歯磨きで重要なのは頻度ではなく精度
定期検診を受ける :予防効果が高めるだけでなく、歯周病の早期発見が可能になる
女性は歯周病になりやすい :女性ホルモンの分泌が過剰になる時期は歯周病菌の働きが活発になる
鏡で歯肉の状態をチェックする :歯肉の腫れや変色といった症状に気付ける
これらのことから、歯周病になりにくくするための日常生活の工夫が分かります。
ここでお伝えしたことを参考に、「精度の高い歯磨き」、「生活習慣の改善」、「定期検診の受診」、
これらを実践すれば大抵歯周病は防げます。
例え歯周病になったとしても定期検診を受けている以上、重症化する前に発見して治療できます。