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歯周病が人にうつるって本当ですか?どうやってうつるのですか?
2017年09月21日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「歯周病は人から人にうつるのか」です。
「歯周病は人から人にうつる病気である」、そう聞いたことがあるという方もいるでしょう。
しかし、歯肉の炎症や歯が抜けるなどの症状を引き起こす歯周病が本当にうつるのか?
…そう疑問に思う方も多いと思いますし、風邪のようにうつるイメージがわかないのも確かですね。
さて、これについて回答すると歯周病がうつるのは本当です。
現に母から子への歯周病の母子感染も問題になっており、歯周病は人から人にうつってしまうのです。
そこで、ここでは歯周病がどうやってうつるのかを説明し、
それにあわせて歯周病の予防方法などについてもお伝えしていきます。
目次
歯周病は細菌の感染症
歯周病は歯周病菌という細菌に感染することで起こるため、実は細菌による感染症です。
「細菌に感染して起こる」という点では風邪と同じですし、人から人にうつってしまうのです。
最も、歯周病そのものがそっくりそのままうつるわけではなく、正確にはうつるのは歯周病菌です。
これは風邪にも同じことが言えます。例えば風邪で38度の熱が出た人がいたとして、
その風邪がうつった人が同じ38度の熱を出すとは限らないですからね。
風邪の場合うつるのは風邪の原因菌であり、歯周病の場合もそれと同じで原因菌がうつってしまうのです。
歯周病はどうやってうつるのか
歯周病は細菌による感染症で、人から人にうつります。そして、感染経路は唾液です。
つまり、歯周病は唾液を介して人から人にうつっていくのです。
ちなみに唾液を介す行為を考えると「キス」、「食器の共用」、「歯ブラシの接触」などが挙げられます。
また、乳児に至っては「口うつしの食事」というのも挙げられますね。
さて、これらの行為に共通するのは、いずれも家族や恋人など、親しい間柄同士でする行為だということです。
このため、歯周病は親から子など家族間でうつるケースが多いのです。
そう考えると、いくら親が子供の歯周病予防を徹底していても、
肝心の親が歯周病予防を疎かにしていれば、歯周病は親から子にうつってしまうでしょう。
この事態を防ぐには、家族全員で歯周病予防をすることです。
歯周病を予防するには
歯周病の予防方法と虫歯の予防方法と同じで、基本は毎日の歯磨きです。
しかし、それだけでは確実に予防するのは難しいでしょう。
歯磨きを含め、歯周病を予防するには以下の3つを実践する必要があります。
精度の高い歯磨きをする
そもそもなぜ歯磨きが歯周病予防になるのか?…それは歯周病菌の潜むプラークを除去できるからです。
逆に言えば、プラークを効率よく除去できなければ歯磨きしても予防にならないのです。
そこで必要になってくるのが歯磨きの精度です。
デンタルフロスや歯間ブラシを使用してプラークの除去率を高め、
さらにブラッシング指導を受けて正しい磨き方を身につけましょう。
ちなみにデンタルフロスと歯間ブラシですが、
歯と歯肉の境目を磨ける点で歯周病予防には歯間ブラシが最適と言われています。
歯科医院で定期検診を受ける
歯科医院の定期検診ではお口の中をクリーニングするため、プラークを綺麗に除去できます。
さらにプラークだけでなく、歯磨きでは落とせない歯石も除去できるのです。
このように、定期的にお口の中を綺麗にすることで歯周病の予防がしやすくなります。
そして、定期検診を受けることのメリットはそれだけではありません。
もう1つのメリットは、実際に歯周病になった時でも重症化しないことです。
定期検診でお口の状態をチェックしていれば、例え歯周病になっても初期段階で発見できるのです。
ちなみに定期検診を受ける頻度ですが、理想は3ヶ月に1回です。
生活習慣を見直して改善する
生活習慣を見直して改善することは歯周病予防にもなりますし、歯周病がうつされるのを防ぐ効果もあります。
と言うのも、生活習慣の見直しの目的は身体の免疫力の向上にあるからです。
疲労やストレスを解消し、栄養バランスのとれた食事の心掛けは身体の免疫力を高めます。
そして、身体の免疫力が高まれば細菌…すなわち歯周病菌に感染しにくくなりますし、
歯周病菌に感染しにくくなるということは、歯周病をうつされにくくなるということにもなるのです。
実際、歯周病は生活習慣病とも呼ばれており、日常生活の中に歯周病に関わるリスクが潜んでいます。
その筆頭となるのが喫煙で、喫煙することで歯周病にかかるリスクが高まり、さらに重症化しやすくなります。
…「精度の高い歯磨き」、「歯科医院の定期検診」、「生活習慣の見直しと改善」、
これら3つを心掛けて実践すれば、100%とまでは言えないまでもそれに近い確率で歯周病を予防できます。
歯周病は静かに進行する
歯周病は静かに進行する病気と呼ばれており、なぜなら目立った自覚症状がないからです。
歯が痛ければ虫歯と気付きますし、身体がダルければ風邪と気付くように、
こうした身体の不調や異変などの自覚症状は、自分が病気になったことを知る大切なサインです。
しかし歯周病にはこのような明確なサインはなく、
そのため知らない間に歯周病にかかっているケースが非常に多いのです。
そして気付いた時には重症化しており、その結果歯を失ってしまうという事態になるのです。
とは言え、歯周病も自覚症状が全くないというわけではありません。
以下の自覚症状に心当たりがあれば、歯周病にかかっている可能性を疑ってみるべきです。
<歯周病の自覚症状>
歯肉が腫れたり変色したりしている
歯周病になるとまず歯肉が炎症を起こします。
そして炎症によって歯肉は変色し、さらには腫れも確認できるようになります。
痛みはないものの変色や腫れは目で確認できるため、毎日鏡で歯肉をチェックしている方は気付きます。
口臭がする
歯周病になるとお口の中で歯周病菌が増殖し、歯肉が炎症を起こすことで歯肉から膿みや出血が見られます。
この影響でお口の中は嫌な臭いがしますし、それによって口臭を引き起こします。
ちなみに、口臭を最も実感できるのが寝起き直後です。
歯肉から出血する
歯周病になると歯肉が炎症を起こし、ブヨブヨした状態になって腫れてきます。
この状態になると歯肉はささいな刺激を受けるだけで出血してしまいます。
最も多いのが食事や歯磨きの時で、これらの時に歯肉から出血する場合は歯周病の可能性があります。
歯が長くなる
歯周病がある程度進行すると、歯が長くなったように見えます。
これは歯周病の影響で歯肉が退縮し、歯肉が下がることで歯の根元が露出するからです。
つまり歯が伸びたわけではなく、歯の根元が露出しているせいで歯が長くなったように見えるのです。
熱いものや冷たいものの飲食で歯がしみる
一見虫歯の自覚症状に思えますが、歯周病の場合もこの自覚症状があらわれます。
これは上記の「歯が長くなった」に関係しています。歯の根元が露出して歯が長く見えると説明しましたが、
露出した歯の根元はエナメル質の保護がないため、刺激に敏感で熱さや冷たさでしみてしまうのです。
…こうした自覚症状があった場合、初期段階や中期段階の歯周病にかかっている可能性があります。
歯周病の自覚症状として最も分かりやすいのは「歯のグラつき」ですが、
これが起こってしまった場合は中期段階以降、もしくは重度段階まで進行しています。
歯周病で歯を失うのはなぜか
ここまでの説明で、なぜ歯周病はうつるのか?
そしてどうやって予防するのかが分かっていただけたと思います。
さて、歯周病が進行すると最終的に歯を失ってしまいますが、最後にその理由をお伝えします。
歯周病は歯の周りの病気…すなわち歯肉の病気であり、
病名から歯肉にしか影響を与えないとイメージしてしまいがちです。
しかし実際にはそうではなく、進行することで顎の骨を溶かしてしまうのです。
この顎の骨は歯槽骨と呼ばれるもので、歯槽骨は歯を支える土台の役割を果たしています。
このため歯槽骨が溶かされることで歯は土台を失い、その結果グラついて抜けてしまうのです。
ちなみに、歯槽骨という名前から歯槽膿漏を連想した方もいるのではないでしょうか。
実は歯槽膿漏とは重度の歯周病のことであり、「歯槽膿漏=重度の歯周病」です。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、歯周病は人から人にうつるのかについてまとめます。
- 歯周病は細菌の感染症 :歯周病は歯周病菌に感染することで起こり、歯周病菌は人から人にうつる
- 歯周病はどうやってうつるのか :食器の共用や歯ブラシの接触など、唾液を介すことでうつる
- 歯周病を予防するには :以下の3つを実践することで、限りなく100%に近い確率で予防できる
- 精度の高い歯磨きをする :歯ブラシだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシも使用する
- 歯科医院で定期検診を受ける :予防効果だけでなく、歯周病を早期発見できるメリットもある
- 生活習慣を見直して改善する :身体の免疫力を高めることで、歯周病菌に感染しにくくなる
- 歯周病は静かに進行する :自覚症状が全くないわけではなく、以下のような症状が起こる
- 歯肉が腫れたり変色したりしている :歯肉が炎症を起こしているため
- 口臭がする :歯周病菌の増殖、さらには歯肉からの出血や膿みが口臭を招く
- 歯肉から出血する :炎症を起こして腫れた歯肉は、ささいな刺激で出血しやすくなる
- 歯が長くなる :歯周病の進行によって歯肉が退縮し、歯の根元が露出するので長くなって見える
- 熱い絵ものや冷たいものの飲食で歯がしみる :露出した歯の根元は刺激に敏感なため
- 歯周病で歯を失うのはなぜか :歯周病が進行することで歯を支える歯槽骨が溶かされるため
これらのことから、歯周病は人から人にうつるのかが分かります。
歯周病自体が直接うつるわけではないものの、その原因菌…つまり歯周病菌は人から人へうつります。
それも唾液を介してうつるため、家族や恋人の間でうつってしまうケースが多いのです。
このため、自分1人だけが歯周病予防をしてもうつされてしまう可能性があります。
そうならないためには、自分だけでなく家族全員、もしくは恋人同士でお互い高い予防意識を持ち、
ここでお伝えした予防方法をしっかりと実践することが大切です。