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虫歯で歯が痛かったのですが治まりました。何もしていないのですが症状がやわらいだのでしょうか?
2017年10月07日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「何もせずに虫歯の痛みが治まる理由」です。
虫歯の痛みは辛く、放置することでその痛みはやがて激痛に変化します。
そこでさらに放置するとさらに痛みが増すと思いきや、今度は一変して痛みが治まります。
つまり、虫歯は何もしないでいるとやがては痛まなくなるのです。
実際にそうなった場合、あなたはどう思うでしょうか。もしかすると症状がやわらいだのでしょうか。
そんなことはありません。ではなぜ痛みが治まったのか?…その答えをここでお伝えします。
虫歯の痛みが治まったからといって安心できないことが良く分かるでしょう。
目次
虫歯が自然に治る可能性
まず知っておいてほしいのは、進行した虫歯が自然に治ることはないということです。
最も、完全な初期段階であればケア次第で治ることもありますが、
一度でも進行すると自然に治ることはなく、むしろ進行していくだけです。
さて、虫歯の初期段階では痛みを感じませんから、
今回のテーマのように虫歯で歯が痛むということは、既に虫歯が進行していることになりますね。
この状態なら虫歯が自然に治ることはないため、痛みが治まったのには別の理由があるのです。
痛みが治まった理由
結論から言うと、歯の神経…正確には歯髄が死んでしまったからです。
虫歯の痛みがやがて治まるというのは実な稀なケースではなく、放置することで必ず起こることです。
実際には虫歯が象牙質まで進行することで最初の痛みが訪れます。
ここで放置するとさらに虫歯は神経付近まで進行し、この段階で痛みは激痛に変化します。
ここでも放置するとやがて神経が死んでしまい、そうなると一切痛みを感じなくなるのです。
つまり虫歯の痛みが自然に治まるというのは、虫歯を放置した結果神経が死んでしまったからなのです。
歯の神経が死ぬことの問題
歯の神経が死んで痛みが治まれば、それをプラスのことだと考える方もいるかもしれません。
辛い激痛から解放されるのは確かに嬉しいかもしれませんが、
歯の神経が死んでしまったという事実は次のような問題をもたらします。
虫歯治療の治療内容が辛くなる
「歯を削って詰め物を入れる」…ほとんどの方が虫歯治療に対してこのイメージを抱いているでしょう。
しかし、虫歯治療というのは虫歯の進行度や症状によって異なります。
例えば完全な初期段階の虫歯であれば削らずに治せることもありますし、
進行した虫歯はこのイメージどおりの治療内容になります。
そして、歯の神経が死んでしまった場合はさらに治療内容が変わります。
歯髄を除去して根管を清掃する根管治療、さらには進行が酷いと抜歯が必要となるケースもあります。
つまり歯の神経が死んでしまった場合は虫歯治療の内容がより辛いものになってしまうのです。
痛みという自覚症状を今後得られなくなる
歯の痛みというのは自覚症状であり、痛みを感じるというのはとても大切なことです。
これはどんな病気にも言えることで、
例えば胃が痛くて検査を受けた結果、胃潰瘍が発覚するケースは珍しくないですよね。
この場合、胃が痛いという自覚症状があったからこそ胃潰瘍に気付くことができたわけです。
このように、痛みという自覚症状は自分の身体の異変に気付くための大切なサインになります。
しかし歯の神経が死んでしまえばその箇所は今後痛みを感じることは一切なくなり、
虫歯以外の何らかの症状が起こった場合にも、気付かず悪化させてしまうことになるのです。
歯が脆くなり、見た目も悪くなる
神経の死んだ歯には栄養が届かなくなり、そのため象牙質は弾力を失います。
さらに歯そのものも脆くなり、欠けたり折れたりしやすくなってしまいます。
また神経が死んだ歯は変色するため、歯としての見た目も悪くなるのです。
これは例え歯の神経が死んでいなかったとしても、
治療によって神経の除去が必要となった場合は除去することで同様の問題が起こります。
…歯の神経が死ぬほど虫歯が進行することで虫歯治療の内容は辛いものになり、
痛みを感じなくなることでその箇所の異状に今後気付けなくなります。
また、神経が死んだ歯や除去した歯には様々な問題が起こります。
そう考えると、歯の神経が死んで虫歯が痛まなくなるというのは決してプラスの出来事ではないのです。
痛みを感じなくなって虫歯を放置した場合
ここまでの説明から分かるとおり、虫歯の痛みが急に治まるのは歯の神経が死んでしまったことが原因です。
それでも虫歯の原因菌は生き続けており、駆除するためには治療が必要です。
しかし、中には痛まなくなったことを理由に虫歯治療を放置する方もいます。
さてその場合、どんな問題が起こるのでしょうか。
思わぬ病気への発展
虫歯は歯の神経まで進行すると、やがて歯をボロボロの状態にしてしまいます。
これが虫歯の末期段階になるのですが、ここから虫歯は本当の怖さを見せます。
なぜなら、生き続けている虫歯の原因菌が血液…つまり血管にまで侵入してくるからです。
そうなると血管を通じて虫歯の原因菌が全身に回ってしまいます。
この時、虫歯の原因菌が脳に回ってしまうことで脳梗塞を引き起こす可能性がありますし、
心臓に回ってしまうことで心筋梗塞を引き起こす可能性もあるのです。
確率で言うなら、こうした流れで脳梗塞や心筋梗塞が起こる可能性は確かに稀です。
しかし、実際にこうした病気を招いてその結果死に至ったというケースがあるのも事実です。
このように、虫歯の放置によって命にかかわる病気を招く可能性が生まれてしまうのです。
虫歯治療の痛みを抑える方法
今回のテーマの問題は、虫歯を放置することで起こる問題です。
ではなぜそこまで虫歯を放置したのか?…この回答として最も多いのが治療への恐怖です。
虫歯治療というのは子供だけでなく大人ですら嫌なもので、
既に「虫歯治療=痛い」というのが一般常識のようになっています。
しかし、そんな虫歯治療の痛みを少しでも抑えられる方法があります。
早く治療を受ける
虫歯は放置すれば進行していきますし、進行した虫歯の治療ほど痛みを感じます。
例えば同じ歯を削るにしても、初期段階の虫歯治療なら歯の表面しか削らないため痛みはほとんどありません。
逆に、虫歯の穴が深くなれば削る範囲も広がって痛みを感じてしまうのです。
つまり少しでも虫歯が進行する前に治療することで、後に治療するよりも痛みは少なくてすむのです。
歯科医院選びにこだわる
虫歯治療を受ける場合、ほとんどの方が自宅や職場から最も近い距離にある歯科医院に行きます。
しかし、歯科医院によって導入している設備や治療内容に差があることを知っておいてください。
例えば、痛みをほとんど感じない無痛治療を導入している歯科医院もあるのです。
そういった歯科医院で虫歯治療を受ければ、通常の虫歯治療よりも痛みは最小限ですみます。
無痛治療とは
無痛治療とは文字どおり全く痛まないわけではないですが、
痛みを最小限に抑える工夫を導入した虫歯治療です。
代表的なのは麻酔ですが、麻酔の注射の痛みも抑えるために表面麻酔を行う歯科医院もあります。
また、笑気ガスを使用してリラックス気分になり、
眠っているような感覚のまま治療を受けられる歯科医院もあります。
無痛治療の内容は歯科医院ごとで異なるため、その方法を知るには実際に問い合わせてみることです。
定期検診を受ける
歯科医院で定期検診を受けていれば、自覚症状すらない初期段階の虫歯も発見できます。
痛みすら起こらない段階の虫歯なら削らずに治せることもあるため、痛みはほとんど感じません。
また、例え進行しても定期的に検診を受けていれば、深く削る必要があるほどの虫歯には進行しないでしょう。
そして何より、定期検診を受けることは虫歯の予防効果もあります。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、何もせずに虫歯の痛みが治まる理由についてまとめます。
1. 虫歯が自然に治る可能性 :進行した虫歯は自然には治らない。痛みを感じた時点で虫歯は進行している
2. 痛みが治まった理由 :歯の神経である歯髄が虫歯の進行によって死んでしまったため
・歯の神経が死ぬことの問題 :歯の神経が死ぬと以下の問題が起こる
・虫歯治療の治療内容が辛くなる :歯を削っただけでは治らず、根管治療などが必要になる
・痛みという自覚症状を今後得られなくなる :痛みがないことでその箇所の異状に気付けない
・歯が脆くなり、見た目も悪くなる :栄養が届かなくなることで歯が脆くなり、変色もしてしまう
3. 痛みを感じなくなって虫歯を放置した場合 :虫歯の原因菌は生き続け、以下のような症状をもたらす
・思わぬ病気への発展 :虫歯の原因菌が全身に回り、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性がある
4. 虫歯治療の痛みを抑える方法 :痛さを理由に治療が嫌な方は、以下の方法を参照にすると良い
・早く治療を受ける :早く治療を受ければそれだけ治療も軽いものですむ
・歯科医院選びにこだわる :無痛治療を導入している歯科医院もあるため、距離だけで選ばない
<無痛治療とは> :虫歯治療の痛みを最小限に抑える治療方法で、具体的な方法は歯科医院ごとで異なる
・定期検診を受ける :初期段階で虫歯が発見できる上、虫歯自体の予防効果も高い
これらのことから、何もせずに虫歯の痛みが治まる理由が分かります。
まとめると、虫歯を放置したにもかかわらず痛みが治まるのは、歯の神経が死んでしまったことが原因です。
では虫歯が治った可能性はゼロなのか?…答えはゼロで、なぜなら進行した虫歯は自然に治らないからです。
神経が死ねば痛みは治まるものの、虫歯の原因菌は生き続け、さらに身体に悪影響をもたらします。
このため例え痛みが治まったとしても、虫歯である以上は治療をしなければなりません。
治療が痛いからといって放置すると、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性もあるのです。