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噛み合わせが悪いのは歯並びが悪いからですか?
2017年11月10日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「噛み合わせが悪い原因は歯並びにあるのか」です。
噛み合わせが悪くなる原因を考えた時、真っ先に連想するのは歯並びの悪さでしょう。
実際、歯並びが悪く凸凹の状態なら噛み合わせが悪くなるのは確かです。
最も、「歯並びが悪い」と一言で表現してもその状態やそうなってしまった原因は様々です。
また、歯並びの悪さ以外の理由で噛み合わせが悪くなることもあるのです。
さて、こうした噛み合わせの悪さをテーマにした時、多くの人は改善方法に注目するでしょう。
しかし改善するためには何よりも症状が起こった理由…つまり原因を知らなければなりません。
そこで、ここでは噛み合わせが悪くなる原因について説明していきます。
目次
歯並びが悪くなる原因
歯並びが悪ければ噛み合わせは悪くなります。
ここで重要なのは、何が原因で歯並びが悪くなったのかです。
歯並びが悪くなる原因としては以下のようなものがあります。
口に関係するクセ
特に子供に多い問題で、舌で歯を押し出す、爪を噛む、指をしゃぶるなどのクセは歯並びに影響します。
例えば指をしゃぶるクセについて触れると、指をしゃぶる時の力はとても大きなものになります。
その力が子供の歯並びや顎の骨の成長に悪影響を及ぼしてしまいます。
その結果、前歯が噛み合わない状態となる「開咬」、出っ歯とも呼ぶ「上顎前突」、
上下の奥歯のズレによって中心が合わなくなる「交差咬合」といった状態になるのです。
歯の数が足りない
中には生まれつき永久歯の数が上下の顎で異なっている人もいます。
そうなると、歯が少ない方の前歯が内側に入って歯並びを崩してしまいます。
また、虫歯や歯周病で歯を失ってそのままにしておくと、前後の歯が倒れてきて歯並びを崩します。
舌の裏にある筋が短い
舌の裏には舌小帯という筋がありますが、これが短いと舌を持ち上げることができません。
このため、舌が常に下の前歯を押し出している状態になってしまいます。
その影響で下の前歯が徐々に前に出て歯並びを悪くさせ、反対噛みの状態になってしまいます。
…こうした原因で歯並びは悪くなってしまいます。歯並びの悪さを改善するには矯正治療を行うことですが、
矯正治療を行うにおいて装着する矯正装置の見た目の悪さで治療に抵抗を感じる人がいます。
しかし最近では目立たない透明のマウスピースを使った矯正治療も可能です。
歯並びの悪さ以外の噛み合わせが悪くなる原因
噛み合わせが悪い原因として主なのは歯並びの悪さですが、
それ以外の原因で噛み合わせが悪くなることもあります。
口呼吸
口をあけているクセがある人は、呼吸時に口呼吸になります。
口が常にあくことで上下の前歯が徐々に前に出てしまい、上下の前歯にスペースができてしまいます。
これによって歯並びが乱れ、噛み合わせが悪くなってしまいます。
歯ぎしりのクセがある
歯ぎしりする時の力は強く、繰り返されることで奥歯が削れて高さが低くなってしまいます。
そうなると均等に噛めなくなって、噛み合わせが悪くなってしまうのです。
同様のケースとして、歯ぎしり以外にも歯を食いしばるクセがある人も要注意です。
強い力で噛む
噛む力が強いのは一見歯が丈夫な証に思えますが、
あまりに強い力で噛むクセがあると奥歯が徐々に押し込まれてしまいます。
この場合、前歯の噛み合わせが深くなりすぎる可能性があります。
奥歯を失っている
歯を失う要因は虫歯や歯周病や事故などいくつか考えられますが、
奥歯を失うことで噛む力を支えきれなくなります。
そうなると、前歯の噛み合わせが深くなりすぎてしまいます。
…このような原因で噛み合わせが悪くなることもあります。
これらのことに注目すると、「奥歯を失う」以外は日常的なクセによる部分が多いことが分かります。
「口をあける」、「歯ぎしり」、「強い力で噛む」…いずれも無意識で行ってしまうクセですね。
つまり、こうした何気ないクセが実は噛み合わせを悪くする原因となるケースもあるのです。
噛み合わせのチェック方法
では、実際に自分の噛み合わせが悪くないかをチェックしてみましょう。
最初に言っておくと、噛み合わせの状態を確実に知る方法は歯科医院で検査することです。
ここでお伝えするのは自己診断の方法ですから、
参考としては役立つものの正確な答えを求めるのであれば歯科医院で検査してください。
歯並びの状態をチェック
歯並びが悪ければ噛み合わせも悪くなります。
正しい歯並びとは重ならずに一列に並んだ状態で、これは自分でも簡単にチェックできるでしょう。
ただし子供の乳歯の場合は別で、乳歯の場合は歯と歯の間にスペースがあるのが正しい歯並びです。
なぜ乳歯の歯並びはスペースがあいている方が正しいのか?
親御さんの中には、ピッタリと綺麗に乳歯が並んでいる方が良いと考える人がいます。
確かに、単に見栄えとしてはその方が綺麗に見えるかもしれません。
しかし乳歯はやがて抜け、そこから永久歯が生えてきます。そして、永久歯は乳歯よりも大きいのです。
このため、乳歯の時点で隙間なく歯が並んだ状態になっていると、永久歯のスペースが不足してしまうのです。
例えるなら、子供が3人座っているソファがあったとして、
そのソファが既に隙間ない状態になっているとそこに大人が3人座ることができないのと同じです。
この場合、大人は綺麗に並んで座れなくなる…つまり歯並びが悪くなってしまうというわけです。
横顔を見た時の口元をチェック
唇に力を入れない状態で、鏡などを使って自分の横顔に注目してください。
この時、自然に口を閉じて鼻呼吸をしている状態なら問題ありません。
一方で口があいていてなおかつ口呼吸をしていると、前歯が前に出て噛み合わせが悪くなってしまいます。
前後のバランスをチェック
前歯にも奥歯にも言えることですが、
正しい前後のバランスは上の歯が下の歯より2ミリ程度外側に並んでいることです。
そうなっていない場合、発音のしにくさや食べ物を効率よくすり潰せないなどの問題が起こります。
ちなみに、前後のバランスが悪い原因としては生まれつき顎の骨が小さい、
もしくは歯並びが悪くて前後にズレてしまったなどが考えられます。
左右のバランスをチェック
上下の前歯に注目して、真ん中がピッタリと一致しているのが正しい状態です。
これが一致していない場合、噛み合わせや上下の顎の骨が左右にズレてしまっています。
子供の場合は顎が曲がって成長してしまう可能性があるため、早めの治療が必要です。
上下の前歯の噛み合わせの深さをチェック
問題となるのは、上下の前歯の重なりが4ミリ以上の深さになっている、
もしくは上下の前歯が咬み合っておらず、隙間があいている場合です。
前歯の噛み合わせの深さは2ミリ程度が正しい状態ですが、これより浅い場合も問題です。
噛み合わせが浅いと食べものを噛み切るのが難しくなりますし、
4ミリ以上の深さになると顎の関節に負担を掛けて顎関節症になってしまう可能性があります。
人工の歯の噛み合わせも重要
噛み合わせが悪いと言っても人工の歯なら問題ない…そう考えるのは大きな間違いです。
詰め物や被せ物、さらには入れ歯やインプラントにおいても噛み合わせは重要で、
これらの噛み合わせが悪い場合以下のような問題が起こります。
詰め物や被せ物の噛み合わせが悪い場合
詰め物や被せ物の高さに問題があると噛み合わせが悪くなります。
そうすると全体の噛み合わせが悪くなり、特定の歯に過剰な力が掛かってダメージを与えてしまいます。
入れ歯の噛み合わせが悪い場合<
例え総入れ歯だとしても、噛み合わせが悪いのは問題です。
そもそも入れ歯は天然の歯に比べて噛みにくいですし、噛み合わせが悪いことでさらに噛みにくくなります。
実際、総入れ歯を使用している人は噛み合わせの調整のためのメンテナンスが必要です。
インプラントの噛み合わせが悪い場合
インプラントが原因で噛み合わせが悪くなると、インプラントにダメージを与えてしまいます。
そうなるとインプラント自体の寿命にも影響しますし、
歯肉にまで悪影響を及ぼす場合はインプラントの脱落を招いてしまいます。
いかがでしたか?
最後に、噛み合わせが悪い原因は歯並びにあるのかについてまとめます。
1. 歯並びが悪くなる原因 :主に以下のような原因がある
・口に関係するクセ :特に子供に多く、爪を噛むや指をしゃぶるなどのクセは歯並びに影響する
・歯の数が足りない :歯が少ない方の前歯が内側に入り、歯並びを悪くさせてしまう
・舌の裏にある筋が短い :舌小帯という筋が短いと、舌が常に下の前歯を押し出して歯並びを悪くさせる
2. 歯並びの悪さ以外の噛み合わせが悪くなる原因 :歯並びの悪さ以外の原因で噛み合わせが悪くなる例
・口呼吸 :口をあけたままになっていることが多く、上下の前歯にスペースができてしまう
・歯ぎしりのクセがある :繰り返されることで奥歯が削れて高さが低くなり、均等に噛めなくなってしまう
・強い力で噛む :奥歯が徐々に押し込まれてしまい、前歯の噛み合わせが深くなりすぎてしまう
・奥歯を失っている :噛む力を支えきれなくなり、前歯の噛み合わせが深くなりすぎてしまう
3. 噛み合わせのチェック方法 :確実なのは歯科医院での検査。以下の方法は自己診断
・歯並びの状態をチェック :重ならずに一列に並んだ状態(乳歯は隙間があるのが正しい状態)
・横顔を見た時の口元をチェック :口があいていて口呼吸をしていると、前歯が前に出てしまう
・前後のバランスをチェック :上の歯が下の歯より2ミリ程度外側に並んでいる状態が正しい
・左右のバランスをチェック :上下の歯に注目した時、真ん中がピタリと一致している状態が正しい
・上下の前歯の噛み合わせの深さをチェック :前歯の噛み合わせの深さが2ミリ程度の状態が正しい
4. 人工の歯の噛み合わせも重要 :詰め物や被せ物、入れ歯やインプラントにおいても噛み合わせは重要
・詰め物や被せ物の噛み合わせが悪い場合 :特定の歯に過剰な力が掛かってダメージを与える
・入れ歯の噛み合わせが悪い場合 :より噛みにくくなるため、定期的なメンテナンが必要
・インプラントの噛み合わせが悪い場合 :インプラントにダメージを与える上、場合によっては脱落も招く
これらのことから、噛み合わせが悪い原因は歯並びにあるのかが分かります。
歯並びが原因であるケースは多いですし、そうでないケースもあります。
噛み合わせの悪さはお口の中だけでなく、頭痛や肩こりなど全身の健康にも悪影響を及ぼします。
このため、虫歯や歯周病と同様に噛み合わせの悪さもきちんと治療することをおすすめします。