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口臭予防で唾液が重要なのは本当?
2017年11月20日
口臭予防で唾液が重要なのは本当?
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「口臭予防における唾液の重要性」です。
口臭予防には何が重要かを考えた時、誰もが真っ先に連想するのは毎日の歯磨きでしょう。
確かに歯磨きは重要ですが、よく考えてみるとそれだけでは不充分であることに気付きます。
と言うのも、世の中には口臭で悩んでいる人が多くいますし、
実際に目の前の相手から口臭を感じた経験のある人もいるでしょう。
しかし、そういった口臭で悩む人達だって歯磨きはしているはずですよね。
そう考えると、歯磨きだけでは口臭は予防できないですし、もっと重要なことがあると考えられます。
そんな口臭予防において1つ重要となるのが唾液です。
目次
病的口臭と一時的な口臭
口臭が起こるパターンは2つあり、1つは病的口臭、もう1つは一時的な口臭です。
病的口臭は文字どおり病気が原因によって起こる口臭で、
喉、呼吸器、消化器官などにかかわる病気が原因で慢性的に起こります。
また、虫歯や歯周病によって口臭が起きますが、これも病的口臭に含まれます。
この場合、口臭対策以前に症状を治す…つまり原因となる病気の治療をしなければなりません。
一方、一時的な口臭の場合も口臭の元になっているのは細菌の類ですが、
実際に細菌が口臭を起こす上で唾液の質が大きく関わってくるのです。
一時的な口臭と嫌気性菌
一時的な口臭も直接の原因は細菌ですが、最も厄介なのが嫌気性菌と呼ばれる細菌です。
嫌気性菌は空気が少ない環境を好む特徴を持っているため、
酸素が多く含まれていない唾液の質をしている人のお口の中は、嫌気性菌にとって絶好の環境になります。
この嫌気性菌の働きが活発になるとプラークを分解し、嫌な臭い…つまり口臭を出してしまうのです。
さてここで、お口の渇きについて考えてみましょう。
お口が渇いた状態というのは、言ってみればお口の酸素がなくなる状態とイコールです。
ではなぜお口が渇きやすいのか?…それは唾液に含まれる酸素の量が少なく、唾液の分泌量が低いからです。
つまり、唾液の質によって嫌気性菌が活発に働いて口臭を起こすわけですから、
一時的な口臭において唾液は重要なポイントを占めていることになるのです。
唾液の分泌量が低下する原因
唾液の分泌量が低下することでお口が渇き、お口が渇くことで嫌気性菌が活発に働き、
嫌気性菌が活発に働くことで口臭が起こる…これが流れです。
この流れを食い止めるためには、流れの第一段階となる唾液の分泌量の低下を防がなければなりません。
そこで重要になってくるのが、唾液の分泌量が低下する原因を知ることです。
水分の摂取量が少ない
水分の摂取量が不充分の場合、身体の中にある水分の量が大幅に減少します。
そうなると、身体が唾液の分泌量を抑制してしまいます。
カフェインやアルコールの過剰な摂取
適度な量なら問題ないものの、カフェインもアルコールも利尿効果がある特徴を持っています。
このため、これらを過剰に摂取すると脱水症状を起こして唾液の分泌が抑制させられてしまいます。
交感神経が優位な状態になっている
交感神経が優位な状態の時、分泌される唾液は粘り気があって水分量が少なくなり、
こうした質の唾液はお口の中を乾燥させてしまうのです。緊張時にお口の中が渇くのはこのためです。
加齢
年配の人だと口臭がするイメージがあるとおり、唾液の分泌量は加齢によっても低下します。
最も、全ての人がそうなるわけではないですが、データとして一定の割合の男女に見られる現象です。
…こうした要因によって唾液の分泌量は低下します。
元々唾液は細菌を洗浄する効果もあるため、分泌量の低下によって口臭が起こりやすいだけでなく、
虫歯や歯周病にもかかりやすくなってしまいます。
唾液の分泌量を高める方法
上記で説明したことから、唾液の分泌量が低下する要因が分かります。
そして、要因を知ることでその対処方法…つまり唾液の分泌量を高める方法も見えてきます。
自宅でも簡単にできる方法に限定すると、以下のような方法があります。
ガムを噛む
唾液の分泌を促す方法は噛むことで、だからこそ食事の時には唾液が多く出てきます。
とは言え、常に食事をするわけにはいかないですから、おすすめなのはガムを噛むことです。
ただしそのためにガムを噛む頻度が高くなると、今度は虫歯にかかるリスクを高めてしまいます。
身体をリラックスさせる
交換神経が優位になるとお口の中が渇きやすくなるため、逆に副交感神経を優位にさせましょう。
副交感神経はリラックス状態になると優位になりますから、入浴や趣味の時間に余裕を作る、
もしくは落ち着いて深呼吸するなどの行為を日常生活に取り入れましょう。
水を飲む
水分の摂取量が少ないと唾液の分泌量が低下することから、
逆に水分の摂取量を充分にすれば唾液の分泌量が高まることが分かります。
このためこまめに水を飲む習慣を身につけ、最もお口の中が乾燥する起床時は特に心掛けておきましょう。
鼻呼吸をする
口呼吸をするクセがあると、呼吸時にお口の中に直接乾燥した空気が入り込んできます。
そうなると唾液が蒸発してしまうため、呼吸は鼻呼吸をするようにしてください。
また、口呼吸は噛み合わせの悪さを招くなど、全く違った問題をも引き起こすので要注意です。
<口呼吸対策について>
鼻呼吸を意識すると言っても、既に口呼吸のクセがついている人は容易に改善することはできません。
改善のためには口元の筋肉を鍛える必要がありますし、そのためには口元の体操などが効果的です。
また、歯並びが悪いことで口呼吸になっている人の場合は、歯並びを改善するための矯正治療が必要です。
口臭と歯周病
唾液と口臭のつながりは、上記までで説明したとおりです。
唾液の分泌量を高めて口臭が改善されれば問題ないですが、
それでも改善されない場合はどうすればいいのでしょうか。
この時必要なのは、一時的な口臭ではなく病的な口臭なのではないかと疑ってみることです。
そしてお口の病気の中で最も口臭が起こるとされているのが歯周病です。
歯周病で口臭が起こる理由
歯周病になるとお口の中で歯周病菌が増殖するため、それによって口臭が起こります。
さらに、歯周病の症状によって歯肉から膿みが出たり出血したりすることもあり、
これもまた嫌な臭いを出す要因になるのです。
歯周病にかかってしまうと唾液の分泌量を高めたところで治らないため、
この場合は歯科医院にいって治療しなければなりません。
最も、初期段階の歯周病ならお口のクリーニングと効率良いプラークコントロールで治ります。
口臭を感じた時に歯周病が原因なのかを見分けるには
口臭を感じた時、その原因が一時的なものか病的なものなのかによって対処方法は全く異なります。
一時的な口臭の場合は、上記で説明したとおり唾液の分泌量を高めることである程度改善されます。
しかし、歯周病など病気な口臭の場合はその病気を治さない限り口臭も改善されません。
そこで、口臭の原因か歯周病かどうかを知る方法をお伝えします。
これは簡単なことで、歯周病ならではの症状が起こっていないかを自己診断すれば良いのです。
口臭に加えて以下の症状がある場合、口臭の原因が歯周病である可能性が高いでしょう。
歯肉から出血する
歯肉が腫れている、もしくは変色している
歯肉が下がって歯が長くなったように見える
歯が動く、グラつく
朝起きた時、お口の中がネバネバする
…100%とまでは言えないものの、これらの自覚症状がある場合の口臭は歯周病が原因の可能性が高いです。
このため、歯科医院に行って診察を受けた方が良いでしょう。
特に「歯が動く、グラつく」の自覚症状は歯周病がある程度進行した状態だと考えられます。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、口臭予防における唾液の重要性についてまとめます。
病的口臭と一時的な口臭 :一時的な口臭の場合、改善するにおいて唾液の質が関係してくる
・一時的な口臭と嫌気性菌 :唾液が少なくお口の中が渇くと、嫌気性菌が活発になって口臭を起こす
唾液の分泌量が低下する原因 :以下のような原因が考えられる
・水分の摂取量が少ない :身体の中にある水分の量が大きく減少し、唾液の分泌量が抑制される
・カフェインやアルコールの過剰な摂取 :利尿作用があり、脱水症状を起こして唾液の分泌量が抑制される
・交感神経が優位な状態になっている :緊張時にお口の中が渇くのはこのため
・加齢 :唾液の分泌量が加齢によって低下することは、データとして一定の割合の男女に見られる
唾液の分泌量を高める方法 :唾液の分泌量が低下する原因を知ることで、以下の改善策を導き出せる
・ガムを噛む :噛むことで唾液の分泌量が高まるため。頻度が高すぎると虫歯を招くので注意
・身体をリラックスさせる :趣味や入浴でリラックスすることで、副交感神経を優位にさせられる
・水を飲む :水分の摂取量が少ないと唾液の分泌量が低下するため、水を飲むことはその対策となる
・鼻呼吸をする :口呼吸だとお口の中に乾燥した空気が直接入り込んでくるため
口臭と歯周病 :唾液の分泌量を高めても口臭が続く場合、歯周病の可能性がある
・歯周病で口臭が起こる理由 :歯周病菌の増殖、歯肉からの出血や膿みも臭いの要因となる
・口臭を感じた時に歯周病が原因なのかを見分けるには :歯周病の自覚症状から自己診断できる
これらのことから、口臭予防における唾液の重要性が分かります。
そもそも、多くの人は口臭が起こることを前提とした考え方をしています。
口臭は起こるものと考え、実際に起きた時の対策…つまり口臭対策の方法を考えます。
しかしそうではなく、口臭を予防することも考えてみましょう。
つまり、口臭が起きた時の対策ではなく口臭を予防することを重要視してみるのです。
そうすれば、いかに唾液の質が重要かということが分かるでしょう。