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私はインプラントですし調整も行ったので、今後噛み合わせが悪くなることはないですか?
2017年12月10日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「インプラントと噛み合わせの問題」です。
インプラントは天然の歯に限りなく近い感覚を得られるというのがメリットの1つです。
このため、治療時には噛み合わせの調整も念入りに行います。
では一度噛み合わせの調整を行った以上、今後噛み合わせが悪くなることはないのでしょうか。
噛み合わせが悪くことがないなら、メンテナンスの通院もそれほど必要ないのでしょうか。
それは違い、「噛み合わせの調整を行う=噛み合わせが悪くなることは一生ない」とは限りません。
その意味でも、メンテナンスの通院を怠ってはならないのです。
そこで、ここではインプラントと噛み合わせとメンテナンス…これら3つをテーマにしたお話をしていきます。
目次
インプラント治療の難易度
インプラント治療は最先端の歯科治療ですから、当然治療の難易度も高くなります。
しかし、法律上は歯科医師の免許を持つ歯科医ならインプラント治療を行えるようになっています。
患者さんとしてそれはリスクを高める要因になりますし、現状のインプラント治療の問題点を言えるでしょう。
このように知識や技術が未熟な歯科医から治療を受けてしまった場合、
いくら噛み合わせを調整したと言ってもそれが合っていない可能性もあります。
つまり、噛み合わせの精密さが元々欠けているというケースです。
この場合、患者さんは当然それに気付かないでしょうし、
例え違和感があったとしても「そういうものだ」と捉えて、噛み合わせの悪さを疑うことはしないでしょう。
その状態でメンテナンスを怠れば、ずっと噛み合わせが合わないままになってしまうのです。
発音がしづらいと感じたら
インプラントで発音のしづらさを感じたら、インプラントの調整に問題がある可能性があります。
この場合、噛み合わせの調整と言うよりは被せ物…つまり上部構造の形態に問題があることが多いです。
そもそも、発音については治療前の段階では歯科医も予想しにくいのです。
このためベストと判断した上部構造の形態でも、実際に発音すると発音しづらくなることがあります。
ただ不慣れなのが原因の可能性もありますが、上部構造の形態を変えると改善されることもあるため、
もし発音がしづらいと感じたら歯科医に相談してください。
対処としては仮歯を使用して色々な形態を繰り返し試し、最も発音しやすい形態を探します。
その後、改めて同じ形態の上部構造を取り付ける流れになります。
噛み合わせは上部構造の「高さ」で狂いますが、このように「形態」が原因で問題を招くこともあります。
治療後に噛み合わせが合わなくなる可能性
例え治療時にピッタリとした精密な噛み合わせを再現しても、
その後の日常生活で噛み合わせが悪くなってくることもあります。
と言うのも、噛み合わせは噛み方によっていくらでも変化してしまうからです。
例えば、右側か左側のどちらか一方だけで噛むクセがある、もしくは前噛みばかりするクセがある場合です。
元々インプラントをする人は、それまでその箇所の歯が失われた状態にあったわけですから、
歯を失っていた頃のクセがそのまま残ってこうした噛み方をしてしまうことがあります。
この場合、治療時には合っていた噛み合わせが徐々に合わなくなってしまうため、
その後のメンテナンスを怠るとどんどん噛み合わせが悪くなってしまうのです。
逆に、メンテナンスをしっかりと行っていればその都度噛み合わせを調整して改善することができます。
メンテナンスの目的
治療後のメンテナンスは、噛み合わせの調整をすることだけが目的ではありません。
このため、例え噛み合わせが合っていれもメンテナンスを怠ってはいけません。
具体的には、噛み合わせの調整以外に以下の目的があります。
口腔内の確認
インプラントに問題が起こってないかを確認し、
さらにそれ以外の天然の歯や歯肉、粘膜を含めた口腔内全体の健康状態を調べます。
これによって、天然の歯の虫歯の有無も確認できます。
レントゲン
インプラントを支えている顎の骨の状態を確認します。
特に、インプラントの歯周病であるインプラント周囲炎が起こるとインプラント脱落を招きます。
このため、レントゲン時には歯周病の有無も確認も行います。
クリーニング
インプラントとその他の歯に付着した汚れを落とし、
天然の歯の虫歯や歯周病、インプラント周囲炎の予防につながります。
歯磨きで磨き残したプラークはもちろん、歯石も綺麗に除去します。
ブラッシング指導
例え毎日歯磨きしていても、歯磨きに精密さがなければ効果はありません。
このため、歯磨きの技術を高めるためのブラッシング指導を行います。
歯磨きの技術が向上すれば効率良くプラークを除去できるため、虫歯や歯周病の予防効果が高まります。
…メンテナンスを行うことでインプラント周囲炎の予防と発見が可能です。
インプラントには神経が通っていないですから、仮にインプラント周囲炎になっても自覚症状がありません。
このため、メンテナンスを怠れば末期段階になるまでインプラント周囲炎に気付けないのです。
そうなると、気付いた時にはインプラントがグラつくようになり、膿みが出るような症状も起こるでしょう。
その段階になって気付いても既に遅く、状態によってはインプラントを摘出しなければなりません。
噛み合わせの調整だけでなく、こうした問題を防ぐためにもメンテナンスは必要です。
噛み合わせが悪いことで起こる問題
インプラントの噛み合わせが悪ければ、様々な問題が起こります。
そしてその問題は「インプラントに起こる問題」と「身体に起こる問題」の2つに分けられます。
また、インプラントをしたと言っても大切なのはインプラントだけでなく、他の天然の歯も同様大切です。
しかし、インプラントの噛み合わせが悪いことでそんな他の歯にも問題が起こるのです。
インプラントに起こる問題
噛み合わせが悪ければ、特定の歯に過剰な力が掛かって負荷を与えます。
負荷を受けた歯がインプラントだと、インプラントがダメージを受けて寿命を縮めてしまいます。
身体に起こる問題
インプラントに限らず、噛み合わせが悪いことで身体全体に様々な問題を起こします。
噛む筋肉が悪影響を受け、頭痛や肩こりなどの体調不良を招く要因になります。
また、顎の形が変形するなどの見た目の悪さも引き起こしてしまいます。
他の天然の歯に起こる問題
インプラントの噛み合わせが悪いと言って、問題が起こるのがインプラントとは限りません。
他の天然の歯が悪影響を受ける可能性もあり、健康な歯にダメージを与えてしまうことになります。
…インプラントの寿命が縮めば再治療が必要になりますし、体調不良が起これば日常生活に支障をきたします。
また他の天然の歯がダメージを受ければさらに歯を失う要因にもなるため、
噛み合わせの悪さは決して軽視できない問題です。
噛み合わせの調整に永続性はない
そもそも、噛み合わせの調整に永続性はありません。
日常生活で噛む動作をする以上、それを繰り返せばインプラントの噛み合わせは合わなくなっていきます。
これは、腕の良い専門医から治療を受けた場合も例外ではありません。
とは言え、しっかりと調整してあればすぐに噛み合わせが合わなくなることはありません。
このため、メンテナンスの頻度はあくまで定期的で構いません。
治療直後は頻度が高めですが、1年経過すれば年に2回や3回だけのメンテナンスですみます。
最も、こうしたメンテナンスの頻度は歯科医院によって指示が異なります。
このため、年に2回や3回と言うのは目安として捉えておきましょう。
少なくとも、日常生活に支障をきたすほど高い頻度でメンテナンスを行うようなことはありません。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、インプラントと噛み合わせの問題についてまとめます。
1. インプラント治療の難易度 :未熟な歯科医による治療だと元々噛み合わせが合っていない可能性がある
発音がしづらいと感じたら :上部構造の高さではなく、形態が合っていない可能性がある
2. 治療後に噛み合わせが合わなくなる可能性 :噛み方によっては合っている噛み合わせもズレていく
3. メンテナンスの目的 :噛み合わせの調整以外にも、以下のような目的がある
口腔内の確認 :インプラントに問題が起こっていないかだけでなく、他の天然の歯の健康状態もみる
レントゲン :インプラントを支える顎の骨の状態を確認し、インプラント周囲炎の有無をみる
クリーニング :プラークと歯石を除去して、インプラント周囲炎や他の天然の歯の虫歯や歯周病を予防
ブラッシング指導 :歯磨きの精度を高めるための指導で、身につければ効率良くプラークを除去できる
4. 噛み合わせが悪いことで起こる問題 :インプラント、身体、その他の健康な歯に問題が起こる
インプラントに起こる問題 :インプラントがダメージを受け、インプラントの寿命が短くなる要因になる
身体に起こる問題 :噛み合わせが悪いと噛む筋肉が悪影響を受け、頭痛や肩こりなどの体調不良を招く
他の天然の歯に起こる問題 :健康な歯に負荷がかかると、その歯がダメージを受けてしまう
5. 噛み合わせの調整に永続性はない :噛む動作をする以上、合っている噛み合わせも少しずつズレていく
これらのことから、インプラントと噛み合わせの問題が分かります。
インプラントを快適にするためには、何より噛み合わせの調整が重要です。
そしてその噛み合わせの調整は、インプラントを使用している以上どうしても少しずつズレていきます。
このため、いくら精密な噛み合わせを再現したとしてもその後のメンテナンスは必要です。
また、メンテナンスは噛み合わせの調整以外にも重要だということを忘れてはいけません。
インプラント周囲炎の予防、他の天然の歯の健康を守る…そのためにはメンテナンスが欠かせないのです。