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1日に3回、毎食後に歯磨きをしています。それでも、口の中がネバネバしたり、口臭が発生してしまいます。 口臭をなくすには歯磨きの回数を増やした方がいいのでしょうか?
2017年12月10日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「歯磨き後でも口の中がネバつき、口臭が発生する問題への対処」です。
歯磨きの目的は言うまでもなく虫歯や歯周病予防ですが、それ以外にエチケットの目的もあります。
特に口臭を考えれば、出勤前の朝のタイミングで歯磨きしない人はまずいないでしょう。
さて、今「口臭」というキーワードが出ましたが、中には歯磨きしても口臭が気になる人がいます。
歯磨きしてもすぐに口の中がネバついて口臭がする…そんな悩みを抱える人は少なくありません。
確かにほとんど歯磨きしない人なら別ですが、
1日3回、それも食後に欠かさず歯磨きしているのはネバつきや口臭が起こるのはなぜなのでしょうか。
ここでは、そんな歯磨き後でも感じる口の中のネバつきや口臭の問題について対処方法を説明します。
目次
口臭のタイプは2つに分けられる
まず口臭の問題ですが、正確に言えば口臭には2つのタイプがあります。
1つは「一時的口臭」で、細菌によって起こる口臭です。
もう1つは「病的口臭」、これは文字どおり、病気が原因で口臭が起こっています。
口臭がするとして、その口臭からどちらのタイプなのかを見極めることはもちろん不可能です。
しかし、それぞれのタイプの口臭への対処方法を知っておけば、それらを実践ことはできます。
そこで、一時的口臭と病的口臭の特徴や対処方法について以下で説明していきます。
一時的口臭について
一時的口臭のポイントになるのは唾液です。と言うのも、唾液と口臭には綿密な関係があるからです。
唾液には酸素が含まれているため、唾液の分泌量が少ない人だと口の中の酸素の量が少なくなります。
そして、酸素の量が少なくなれば口の中は渇いた状態になります。
さて、口の中には様々な細菌が存在していますが、その中には嫌気性菌というものがあります。
「気を嫌う性質の菌」という文字から想像できるとおり、嫌気性菌は酸欠状態を好みます。
このため口の中の酸素の量が少なく渇いている人は、口の中が嫌気性菌の最も好む環境になっているのです。
細菌と言うのは自分の好みの環境であるほど働きも活発になるため、
こうした口内環境になっている人は口の中で嫌気性菌が活発に働いています。
では嫌気性菌はどんな働きをするのか?…それはプラークの分解です。
プラークは細菌の塊ですから、それが分解されることで嫌なニオイが発生し、これが口臭となるわけです。
つまり、唾液の分泌量が少ないことで嫌気性菌によって口臭がするわけで、
逆に言えば唾液の分泌量が多くなれば嫌気性菌の働きを防ぎ、口臭を予防できるのです。
2-1. 唾液の分泌量を多くするためには
唾液の分泌量が少なければ、いくら歯磨きをしても口の中がすぐに渇いてしまいます。
口の中が渇けば嫌気性菌が働いて口臭が起こります。
では、唾液の分泌量を多くするにはどうすれば良いのでしょうか。そのためにはいくつか方法があります。
適度に水分補給をする
水分補給が不充分な場合、身体の中の水分が不足します。
そうなると身体は水分の量を確保するため、唾液の分泌量を抑制してしまいます。
これはいわば身体のメカニズムですから、自分の意思で変えられるものではありません。
ただし、行動次第で唾液の分泌量の抑制を防ぐことはできます。それは適度に水分補給をすることです。
なぜなら、唾液の分泌量の抑制は身体の中の水分が不足することで起こるメカニムズですから、
そのメカニズムが起きないよう水分補給によって身体の中の水分を充実させれば良いのです。
ガムを噛む
唾液の分泌を促す簡単な方法は、物を噛むことです。
ですから、私達は普段食事をする時に普段以上の唾液が出ます。
しかし、だからと言って常に食事するわけではいかないでしょう。
そこで効果的なのがガムを噛むことです。
ガムを噛めばそれだけ物を噛む機会が増えるわけですから、唾液の分泌をより促すことができます。
とは言え、ガムを噛めば虫歯のリスクを高めますから、噛む頻度は考えなければなりません。
リラックスする
誰もが経験があると思いますが、何らかの理由で緊張した時は口の中が渇きます。
これには理由があり、緊張することによって交感神経が優位になるからです。
つまり、交感神経が優位になることで唾液の分泌量が少なくなってしまうのです。
逆に、交換神経と対になる副交感神経が優位になった場合は唾液の分泌量が多くなります。
ではどうすれば副交感神経を優位にできるのか?…それにはストレスを解消してリラックスすることです。
リラックスして気分を落ち着かせる機会を増やせば、それだけ唾液の分泌量が多くなります。
鼻呼吸をする
鼻呼吸で唾液の分泌量を高めることはできませんが、口の中の渇きを防ぐことはできます。
口呼吸の場合、乾燥した空気を直接口の中に取り込むことになりますね。
乾燥した空気が取り込まれれば当然口の中は渇き、必然的に口の中の唾液も少なくなってしまいます。
これによって嫌気性菌が活発に働く環境ができあがり、口臭が起きてしまうのです。
そこで、鼻呼吸をするようにしてください。そうすれば口の中に乾燥した空気が取り込まれず、
すぐに口の中が渇いてしまう状態になるのを防ぐことができるのです。
…いくら歯磨きしたとしても、唾液の分泌量が少なければすぐに口の中が渇いて口臭が起こります。
それを防ぐには何より唾液の分泌量を多くすることが必要で、
それには歯磨きではなくこれらのことを実践するのが効果的なのです。
病的口臭について
口臭のもう1つのケース、「病的口臭」についてです。
病的口臭とは文字どおり病気が原因によって起こる口臭で、主に歯周病が考えられます。
では、なぜ病的口臭の場合は歯周病の可能性が高いのでしょうか。
まず歯周病になると歯周ポケットが深くなり、その溝に細菌や歯石が蓄積されます。
さらに歯周病によってできた膿みや歯肉からの出血が原因で口臭が起こることがありますし、
歯周病になると細菌の影響で口の中がネバつくようになります。
つまり、今回のテーマである「歯磨き後の口の中のネバつきや口臭」と言うのは、
歯周病の症状とピッタリ一致するのです。
さて、病的口臭を防ぐ方法は簡単で、実際に掛かっている病気を治療することです。
例えば歯周病によって口臭が起こっているのであれば、歯周病を治療すれば口臭もなくなります。
さて、今回のテーマで「1日3度歯磨きしても口臭がする」と表現していますが、
虫歯や歯周病などの病気は一度起こってしまうと歯磨きだけでは治せません。
だからこそ、何度歯磨きしてもすぐにまた口臭が起こるわけで、
それは口臭を招く原因となる病気が歯磨きでは治らないからなのです。
例え自覚症状がなくても、病的口臭が起きているなら口の中に何らかの病気が起こっているのは確実です。
その他の可能性
歯磨き粉の口内のネバつきや口臭は嫌気性菌による一時的口臭、
もしくは歯周病などによる病的口臭の可能性が高いです。
しかし、それ以外の原因で口臭が起きている可能性もあります。
歯磨きの仕方が悪い
しっかり歯磨きしているのにすぐ口臭がする場合、そもそも歯磨きの仕方に問題がある可能性もあります。
歯磨きにおいて大切なのは頻度ではなく精度です。
ですから、例え1日3回歯磨きしても精度が低ければ磨き残しも多く、残った細菌によって口臭が起こるのです。
ドライマウス
口腔乾燥症とも呼ばれますが、ドライマウスは唾液が減少して口の中が渇いてしまう病気です。
現在服用している薬の副作用、ストレスなどが原因でドライマウスは起こりますが、
口の中が渇くことで一時的口臭同様に嫌気性菌が活発に働き、口臭を起こしてしまいます。
ドライマウスは歯科医院で治療できますし、ドライマウスの専門外来を設けた病院も存在します。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、歯磨き後でも口の中がネバつき、口臭が発生する問題への対処についてまとめます。
口臭のタイプは2つに分けられる
細菌で起こる「一時的口臭」と、病気で起こる「病的口臭」
一時的口臭について
唾液の量が少ないと嫌気性菌が活発に働き、プラークを分解して口臭を招く
・唾液の分泌量を多くするためには :以下の方法で唾液の分泌量を多くすることができる
・適度に水分補給をする :身体の中の水分が少ないと唾液の分泌量が抑制されるため
・ガムを噛む :物を噛むことで唾液の分泌量が多くなるため。ただしガムの噛みすぎは虫歯を招く
・リラックスする :リラックスすると副交感神経が優位になり、唾液の分泌量が多くなる
_鼻呼吸をする :口呼吸は乾燥した空気を直接口の中に取りこむため、口の中が渇きやすい
病的口臭について
最も可能性が高いのは歯周病。口臭改善には原因の病気を治療が必要
その他の可能性
唾液が関係する「一時的口臭」と歯周病による「病的口臭」以外に以下の可能性がある
・歯磨きの仕方が悪い :歯磨きの精度が低ければ、いくら磨いてもプラークが残って口臭が起こる
・ドライマウス :薬の副作用やストレスなどが原因で起こる。ドライマウスは歯科医院で治療できる
これらのことから、歯磨き後でも口の中がネバつき、口臭が発生する問題への対処について分かります。
歯磨き後もすぐに口の中がネバついて口臭がするようなら、まず歯磨きの仕方を考えてください。
歯磨きで大切なのは頻度ではなく精度…何度磨いても精度が低ければ残ったプラークが口臭を招きます。
また、歯磨きに問題がなければ口臭の原因は「一時的口臭」か「病的口臭」のどちらかですが、
どちらが原因かを自分で特定する手段はありません。ですから歯科医院に行って診察を受け、
そこで歯周病などの病気が見つかれば治療を受けましょう。
それでも口の中のネバつきや口臭が改善されなければ、
一時的口臭の可能性を疑って唾液の分泌量を多くなる方法を実践してください。