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内臓や胃の病気で、口臭が発生すると聞いたことがあります。口臭になってしまうのはなぜですか?
2017年12月27日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「内臓や胃の病気で口臭が起こる理由」です。
口臭を自覚する人が真っ先にとる行動は、大抵の場合「歯磨き」ではないでしょうか。
と言うのも口臭は文字どおり口のニオイですから、当然その原因が口の中にあると考えるからです。
確かに、唾液の分泌量の低下や歯周病など、口の中の問題が原因で口臭が起こることはあります。
しかし時には内臓や胃など、口の中とは全く関係ないことが原因で口臭が起こることもあるのです。
今回お話するのは、そんな口臭が内臓や胃の病気が原因で起こっているケースです。
目次
口臭が起こる胃の病気
以下のような胃の病気では、口臭が起こります。このため、口臭を自覚しつつも歯周病などがない場合、
口の中だけではなく胃の病気も疑ってみるべきです。
胃炎
胃炎になると胃酸が出にくくなるため、食べた物が消化されにくくなります。
このため、食べ物が未消化のまま胃の中に長く停滞してしまいます。
そうすると、本来腸で行われなければならない発酵が胃で行われます。
この時に発酵臭が発生し、それが肺に入ってしまうことで呼吸時に発酵臭がしてしまうのです。
つまり息から発酵臭がしてしまい、それが口臭となるのです。
この場合、臭いとしては腐った卵のような嫌な臭いがします。
胃がん
胃がんによる口臭は、現状2つのタイプの口臭が起こると言われています。
1つは胃がん特有の口臭ですが、これについては原因が解明されていません。
がん細胞の増殖時に何らかの化学物質ができると言われていますが、あくまでそれは一説でしかありません。
もう1つのタイプの口臭は既に確認されており、これはがんの壊死によって臭い成分が発生するためです。
その臭い成分が血液の中に吸収され、肺のガス交換によって排出…それが口臭となるのです。
胃がんは自覚症状がほとんどないため、その意味でこの口臭は貴重な自覚症状の1つと言えるでしょう。
十二指腸潰瘍
まず、十二指腸潰瘍になることで消化不良が起こりやすくなります。
そうすると食べた物が消化されず、胃炎同様に胃の中で食べた物が停滞して発酵してしまいます。
この発酵時に臭い物質が発生し、血液の中に吸収されて血管を通じて全身をまわります。
やがて臭い物質が肺に到達すると、それが息に混ざって口から吐き出されて口臭となるのです。
ちなみに、この場合の口臭も臭いとしては腐った卵のような臭いがします。
また十二指腸潰瘍の場合、口臭だけでなく吐き気や胸やけやゲップなどの自覚症状が起こります。
逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、胃液が食道に逆流してしまう病気です。胃液は強い酸を含んでいますから、
逆流することで食道の粘膜が刺激を受け、炎症などを引き起こしてしまいます。
逆流性食道炎で口臭が起こる理由は、胃液が食道に逆流することで酸っぱい臭いになるからです。
さらにこれが喉の方まで上がってくるため、ツンと刺激するような臭いを口から感じてしまうのです。
さらに、逆流性食道炎では胃の臭いがそのまま口から漏れてしまうわけですから、
酸っぱい臭いと胃の臭いが混ざって相当な口臭を発生させます。
口臭が起こる胃の病気の予防方法
口臭が起こる胃の病気は主に4つで、
上記で説明した「胃炎」、「胃がん」、「十二指腸潰瘍」、「逆流性食道炎」です。
では次にこれらに対する予防方法について説明していきます。
胃炎の予防方法
胃炎の原因はストレスによるものが多く、さらに喫煙や飲酒や暴飲暴食も該当します。
これらはいずれも日常生活の中で起こることですから、
その意味では日常生活の改善が効果的な予防方法になります。
胃がんの予防方法
胃がんの原因は食生活や喫煙などが主です。
このため食生活の改善が必要ですが、具体的には塩分の過剰な摂取や野菜不足に注意しましょう。
胃がんを自覚症状で断定することは難しいため、定期的に検診を受けて予防と早期発見を意識してください。
十二指腸潰瘍の予防方法
十二指腸潰瘍において意識しなければならないのはストレスの解消です。
と言うのも、ストレスを感じることで消化器官の血流が悪くなり、さらに十二指腸の粘膜を傷つけるからです。
また、カフェインや香辛料を多く使用した食品の過剰な摂取にも注意しなければなりません。
逆流性食道炎の予防方法
逆流性食道炎の場合もストレスの解消が予防方法として効果的ですが、
それだけでなく胃の負担となる食生活を控えてください。
例えば暴飲暴食、消化の悪いものを食べる、食べた直後に寝転ぶなどの行為です。
…私達は普段、日常生活の中で苦痛なことがあると定型文のように「胃が痛い」と口にします。
実はそれは正しい表現で、胃の病気と言うのは不規則や日常生活やストレスが原因となることが多いのです。
逆に言えば、日常生活の改善やストレスの解消が胃の病気の予防になるわけです。
口臭と腸の関連性
腸の場合、病気と言うよりは腸内環境が悪化することで口臭が起こります。
まず腸の中には善玉菌と悪玉菌があり、正常な場合はこれらがバランスよく共存しています。
しかし、腸内環境が悪化すれば悪い菌…つまり悪玉菌が増加してしまいます。
この悪玉菌が発生する際、腐敗したガスが腸の中に充満するのです。
そうすると腐敗したガスは腸の壁から血液の中に吸収され、血管を通じて全身にまわります。
そして腐敗したガスがやがて肺に到達すると、呼吸時に口から漏れて口臭になるのです。
さて、ここで1つ腸内環境の悪化によって起こる症状を挙げると「便秘」が一般的ですね。
便秘の人は腸内環境が悪く、腸内環境が悪い人は口臭が起こる点から、
便秘の人は口臭も起こっている可能性が高いということになるのです。
腸内環境を改善する方法
腸内環境を改善するには2つのことを意識しなければなりません。
1つは文字どおり腸内環境を改善するための方法を実践すること、
もう1つは腸内環境を悪化させてしまう行為を控えることです。
難しいのは後者で、何しろ私達の日常生活には腸内環境を悪化させる原因がいくつも潜んでいます。
ちなみに腸内環境を悪化させる原因としては「肉中心のような食生活の乱れ」、「運動不足」、
「ストレス」などが挙げられ、どれも日常生活を過ごす上でゼロにはできないものばかります。
このため、少しずつでも良いのでこれらの中で控えられるものは控えましょう。
次に腸内環境を改善する方法としては「適度な運動」、「食生活の改善」、「ストレスの解消」などが挙げられます。
通勤時に歩く距離を作るなど、工夫してこれらの方法を日常生活の中に取り入れましょう。
口臭と肝臓の関連性
肝臓の働きはいくつかありますが、中にはそれが口臭と関係するものがあります。
それは、身体にとって有毒となるアンモニアを解毒するという働きです。
本来なら食べ物にタンパクが含まれていた場合、それが分解されることで有毒なアンモニアが発生します。
そして、その有毒なアンモニアは肝臓の働きによって尿素に解毒されて身体の外に排出されていきます。
しかし、肝臓が悪いと働きが低下してしまい、有毒なアンモニアの解毒が正常に行われなくなるのです。
そうなると有毒なアンモニアは血液の中に溶け込んでしまい、呼吸時にその臭いを発してしまうのです。
つまりこの場合、アンモニア臭の口臭がしてしまうのです。
肝臓の不調を改善する方法
肝臓の不調において厄介なところは、例え不調になっても自覚症状がほとんどないことです。
例えば虫歯の場合、歯が痛いという自覚症状が起こることで虫歯に気付きます。
しかし肝臓の場合はそのような分かりやすい自覚症状がないため、不調になっても気付きにくいのです。
そこで大切なのが、日頃から肝臓の健康に気を配っておくことです。
以下のような行為は肝臓の不調を招くため、可能な限り控えるようにしてください。
・飲酒
・肉中心の乱れた食生活
・ストレスや睡眠不足
・運動不足
・薬の服用
…補足すると、まず「飲酒」については適度な量ならそれほど問題ありません。
毎日…それも多量となると問題で、お酒好きな人は休肝日を設けるようにしましょう。
次に「ストレス」ですが、正直言って日常生活でストレスを蓄積されないことは不可能です。
ですから、ストレスを溜めない方法よりもストレスを解消させる方法を考えた方が効果的です。
最後に「薬の服用」、これは薬がダメと言っているわけではないですし、
健康上の問題で薬の服用が必要なこともあります。
ただし、薬の服用が肝臓に負担を掛けることがあることも知っておいてください。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、内臓や胃の病気で口臭が起こる理由についてまとめます。
口臭が起こる胃の病気
「胃炎」、「胃がん」、「十二指腸潰瘍」、「逆流性食道炎」の4つ
胃炎 :消化不良によって胃の中で食べ物が発酵し、呼吸時に発酵臭がしてしまう
胃がん :がんの壊死によって臭い成分が発生し、肺のガス交換によって口臭がしてしまう
十二指腸潰瘍 :消化不良によって胃の中で食べ物が発酵し、発酵時に出た臭い物質が口臭となる
逆流性食道炎 :胃液が食道に逆流して酸っぱい臭いを出し、胃の臭いも混ざった口臭となる
口臭が起こる胃の病気の予防方法
予防のためには以下の方法が効果的
胃炎の予防方法 :ストレスの解消や禁煙など、日常生活の改善
胃がんの予防方法 :塩分の過剰な摂取や野菜不足に注意するなど、食生活の改善
十二指腸潰瘍の予防方法 :ストレスの解消、カフェインや香辛料を使用した食品の過剰な摂取に注意
逆流性食道炎の予防方法 :ストレスの解消、暴飲暴食など胃の負担となる食生活をしない
口臭と腸の関連性
腸内環境が悪化して悪玉菌が増えると、腐敗ガスが発生して口臭となる
腸内環境を改善する方法 :適度な運動、食生活の改善、ストレスの解消
口臭と肝臓の関連性
肝臓の働きが低下すると、解毒されないままになったアンモニアが口臭となる
肝臓の不調を改善する方法 :飲酒、肉中心の乱れた食生活、ストレスや睡眠不足などを控える
これらのことから、内臓や胃の病気で口臭が起こる理由が分かります。
このように、口臭は胃や腸や肝臓が原因で起こることもあります。
確かに、単に食べた物の臭いが原因で口臭が起こるようなこともあります。
しかし歯磨きしても口臭がする、もしくは歯周病でもないのに口臭がするなどの場合、
胃や内臓の病気の可能性を疑って医師に診察を受けた方が良いでしょう。