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被せ物をすると噛み合わせが悪くなるのではないかと心配です
2018年02月03日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「被せ物と噛み合わせの問題」です。
虫歯治療の場合、一般的には歯を削って患部に詰め物を入れて処置します。
しかし、虫歯が酷い場合は削る範囲も広くなるため、そうなると詰め物を入れられないこともあります。
その場合は詰め物ではなく被せ物で処置することになり、
被せ物とは言ってみれば人工の歯の役割を果たすためのものです。
この被せ物による処置は、患者さんによっては不安に感じるかもしれません。
と言うのも、人工の歯を立てることで噛み合わせに悪影響がないかが気になってしまうからです。
そこで、ここでは被せ物と噛み合わせの関係をテーマにしたお話をしていきます。
目次
被せ物は高めに設定されている
被せ物を立てた状態で噛んだ時、ほとんどの人は「高い」と感じます。
と言うのも、そもそも被せ物は高めに設定されており、
最終的な調整は口の中…つまり実際に被せ物を立てた後に行うことがほとんどだからです。
ではなぜ敢えて高めに設定されているのか?…それは調整をしやすくするためです。
被せ物が高ければ削って低くすることで調整可能ですが、その逆となると容易ではありません。
仮に被せ物が低ければ、それを高くするのは不可能なため被せ物を再製作しなければならないのです。
分かりやすく例えるなら、美容院のカットをイメージしてください。
髪の長さをお客さんの希望どおりピッタリ合わせるのであれば、
美容師は髪を長めにカットしてそこから少しずつ切って調整するでしょう。
もし短めに切ってしまえば、調整時に切ってしまった髪を長くすることはできないですからね。
被せ物の高さも発想はこれと同じです。敢えて高くすることで、低く調整可能な状態を作っているのです。
このため、被せ物を立てた直後は「高い」と感じてしまうのです。
被せ物の高さに違和感がある場合
被せ物は元々歯がなかった箇所に立てるため、どうしても最初は噛んだ時に違和感があるでしょう。
それが本当に不慣れなことでの違和感なら時間が解決しますが、
もしかすると本当に高さが合っていない可能性もあります。
そこで、被せ物の高さが合っているかどうかを知るための簡単な自己診断の方法を紹介します。
•歯にものが挟まっている感触の有無
被せ物をした歯と隣接している歯がどのくらい当たるかを確認します。
歯にものが挟まっている感触がある場合、被せ物をした歯と隣接した歯が強く当たっている可能性があります。
一方、歯にものが挟まっている感触が全くない、少しだけきつく感じる…これらの状態なら問題ありません。
•噛み合わせ時の違和感の有無
左右の奥歯が同時に当たるようにして薄い紙を噛みます。
この時、被せ物をした歯だけが他の歯よりも明らかに強く当たるのであれば、被せ物が高いことになります。
一方、噛んだ時に被せ物が全く気にならない、もしくは少しだけ当たると感じる程度なら問題ありません。
•歯ぎしりをした時の違和感の有無
本当に歯ぎしりをする癖があると、歯にダメージを与えてしまうため改善しなければなりません。
この場合は意図的に歯ぎしりをして、被せ物の高さを確認します。
噛んだ状態で歯を左右に動かし、被せ物に違和感なくそれができるようであれば問題ありません。
…あくまで簡単な自己診断ですが、これらの方法を試して違和感があれば被せ物が高い可能性があります。
この場合、歯科医院に行って再診を希望すれば噛み合わせを再度調整することができます。
被せ物で噛み合わせが悪くなるのを防ぐには
噛み合わせが悪くなる要因はいくつかありますが、
今回のテーマのように被せ物を立てたことが要因になるケースも確かにあります。
さて、こうした事態を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。
それは治療を受ける歯科医院選びにこだわることです。
そもそも被せ物は虫歯治療の処置として立てることがほとんどですから、
被せ物が必要になったきっかけは虫歯であるケースが大半でしょう。
では虫歯になった時、みなさんは何を基準に治療を受ける歯科医院を選ぶのでしょうか。
矯正やインプラントなどの大きな治療ならともかく、
歯科治療の基本でもある虫歯治療の場合は「距離」…つまり通いやすさで歯科医院を選んでいませんか?
確かに通いやすさは大切ですが、「治療の精密さ」を基準に歯科医院選びをすることをおすすめします。
例えばマイクロスコープなど、医療設備が充実している歯科医院です。
そうすれば精密な治療が可能になり、少なくとも被せ物の高さが大きく狂うような事態を防げます。
噛み合わせの悪さで起こる問題
中には噛み合わせの悪さを深刻に考えない人もいますが、
噛み合わせが悪いことは歯だけでなく身体全体に以下のような問題を引き起こします。
このため、被せ物の高さが原因であれば必ず再診を希望して高さの調整をしてもらいましょう。
•虫歯や歯周病になりやすい
噛み合わせが悪いと歯の高さが合っていないため、歯並びが凸凹した状態になります。
そうすると歯磨きがしづらくなり、特定の箇所にプラークが溜まってしまいます。
また、噛み合わせが悪いことで歯と歯がうまく当たらなくなり、自然にプラークが落ちることもありません。
このように磨き残しが多いことやプラークが落ちにくいことから、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。
•体調不良になりやすい
身体には至るところに筋肉があり、それぞれの筋肉は何らかの動作によって影響を受けます。
これは噛む動作も例外ではなく、噛む筋肉として広頸筋や側頭筋が存在します。
噛み合わせが悪い場合、この広頸筋や側頭筋が影響を受けて肩こりや頭痛を引き起こしてしまいます。
さらに噛み合わせの悪さによって身体全体の姿勢が悪くなり、腰痛も引き起こしてしまうのです。
•顎関節症になりやすい
噛み合わせが良い人でも顎関節症になることはありますが、
噛み合わせが悪い人の場合はそのリスクが高く、さらに悪化しやすい傾向があります。
これは、噛み合わせが悪いことで顎関節への負担が大きくなることが原因です。
顎関節症が悪化すると顎に痛みを感じるだけでなく、口を開けることすら困難になってしまいます。
•歯科の治療の精度が落ちる
噛み合わせが悪く歯並びが凸凹した状態だと、治療する時に見えづらくなります。
このため、本来発見できるはずの虫歯を発見できないことがあります。
また、歯並びが凸凹していることで治療時に誤って健康な歯を削ってしまう可能性もありますし、
神経に近すぎる状態だと治療時に痛みを感じてしまうこともあります。
•人と接することに抵抗を感じるようになる
いわゆるコンプレックスの問題です。噛み合わせが悪い状態が続くと顎の形が変形し、
顎の形が変形することで顔の輪郭が歪んで見えるようになります。
また、噛み合わせが悪ければ発音もしづらくなってしまいます。
これらは見た目や会話に影響するため、人と接することに抵抗を感じるようになってしまうのです。
噛み合わせが悪くなる原因
被せ物の高さによって噛み合わせが悪くことがあります。
では、被せ物を使用しなければ噛み合わせが悪くなることはないのでしょうか。…それは違います。
被せ物以外にも噛み合わせが悪く原因はいくつかあり、その原因の中には日常生活に潜むものもあります。
•歯を失ったまま放置している
歯が抜けたまま放置すると、抜けた箇所に向かって隣接する歯が移動しようとします。
その結果歯並びが悪くなり、噛み合わせも悪くなってしまいます。
•やわらかいものだけを食べる
子供に多い問題で、やわらかいものばかり食べていると必然的に噛む回数も少なくなります。
そうすると顎の発達が不充分になり、歯並びが悪くなって噛み合わせも悪くなってしまいます。
•歯ぎしりや舌癖
歯ぎしりをすると歯がすり減って噛み合わせが悪くなりますし、
舌で歯を押し出すような癖があると歯が動いて噛み合わせが悪くなってしまいます。
…これらが原因で噛み合わせが悪くなることもあるため、
被せ物を使用していない人でも噛み合わせの良し悪しは無視できる問題ではありません。
特に歯並びが悪い人はそれだけ噛み合わせも悪くなってしまいます。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、被せ物と噛み合わせの問題についてまとめます。
1. 被せ物は高めに設定されている :調整しやすいよう、最初は敢えて被せ物が高めに設定されている
2. 被せ物の高さに違和感がある場合 :高さが合っているかどうか、以下の方法で自己診断できる
•歯にものが挟まっている感触の有無 :歯にものが挟まった感触があると、隣接した歯が強く当たっている
•噛み合わせ時の違和感の有無 :噛んだ時に他の歯より強く当たると被せ物が高い可能性がある
•歯ぎしりをした時の違和感の有無 :わざと歯ぎしりをして、その時に違和感なく歯が動けば問題ない
3. 被せ物で噛み合わせが悪くなるのを防ぐには :精密な治療ができる歯科医院で治療を受ける
4. 噛み合わせの悪さで起こる問題 :噛み合わせが悪いと以下のような問題が起こる
•虫歯や歯周病になりやすい :歯の高さが合わないことで歯磨きしづらく、磨き残しが増えてしまう
•体調不良になりやすい :噛む筋肉である広頸筋や側頭筋が影響を受け、肩こりや頭痛を引き起こす
•歯科の治療の精度が落ちる :歯並びが悪いと治療時に見えづらく、虫歯などを見過ごす可能性がある
•人と接することに抵抗を感じるようになる :噛み合わせの悪さは見た目の悪さや発音のしづらさを招く
5. 噛み合わせが悪くなる原因 :被せ物の高さ以外にも、以下のことが原因で噛み合わせは悪くなる
•歯を失ったまま放置している :歯のない箇所に隣接する歯が動こうとするため
•やわらかいものばかりを食べる :子供に多い問題。噛む回数が減って顎の成長が不充分になるため
•歯ぎしりや舌癖 :歯ぎしりの摩擦で歯がすり減り、舌で歯を押し出す癖で歯が動くため
これらのことから、被せ物と噛み合わせの問題についてまとめます。
仮に被せ物の高さが合わなくて噛み合わせが悪くなっても、
歯科医院で再診して調整すれば噛み合わせを正しくすることが可能です。
とは言え、再診の手間や被せ物の高さのズレに気付かない可能性を考えると、
被せ物を必要とするほどの治療なら歯科医院選びにこだわり、
医療設備などに注目して精密な治療を行う歯科医院で治療を受けるべきです。