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口臭の原因はどんなもの?
2018年04月18日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「口臭の原因について」です。
口臭はエチケットの問題だけでなく、健康の問題でもあります。
さて口臭の原因は様々ですが、食べ物が原因の場合はそれほど深刻ではありません。
例えばニンニクを食べて口臭がするなら、歯磨きをすれば簡単に解消できるからです。
しかし病気などが原因で口臭が起こることもあり、この場合は簡単には解消できません。
そこで、ここでは口臭の原因をテーマにしたお話をしていきます。
口臭は自分では気づきにくい上、周囲から指摘されにくいことでもあります。
この機に自分の口臭をチェックして、健康状態を知る目安にしてください。
目次
病的口臭について
病的口臭というのは文字どおり病気が原因で起こる口臭です。
この場合は口臭を解消するには原因となる病気の治療が必要ですし、
何より身体の健康のためにも病気の治療が必要です。
1-1. 虫歯や歯周病
虫歯や歯周病になると口の中で細菌が繁殖するため口臭が起こるようになります。
特に歯周病は歯肉から出た膿みや血液も口臭を引き起こすため、
虫歯に比べてキツめの口臭がするようになります。
1-2. 胃炎
胃炎になると胃酸が出にくくなり、食べた物も消化されにくくなります。
食べた物が未消化で胃の中で停滞すると胃の中で発酵が起こってしまい、その時に発酵臭が発生します。
この発酵臭が肺に入り込むことで呼吸時に口臭がするようになります。
1-3. 胃がん
胃がんになるとそれ特有の口臭があると言われていますが、これについては正確な解明はされていません。
またがんが壊死することで臭い成分が発生しますが、
この成分が血液の中に吸収されると肺のガス交換時に排出されて口臭となります。
1-4. 逆流性食道炎
文字どおり、胃液が食道に逆流する病気です。
胃液が食道に逆流するため胃液の酸っぱい臭いが呼吸時に口臭となります。
さらに胃の臭いも混ざるため、ただ口臭がするだけでなくキツイ口臭になってしまいます。
1-5. 十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍になると消化不良が起こるため、胃炎と同じ理由で口臭が起こります。
食べた物が消化されにくくなるため、胃の中で食べた物が発酵してしまうのです。
この発酵によって臭い成分が発生し、血液から全身に、さらに肺に回って呼吸時に口臭が起こります。
1-6. 便秘
便秘によって腸内環境が悪化すれば、悪玉菌の増殖で排泄物が腐敗を起こして有害物質が発生します。
そして、排泄が行われないことで有害物質は腸壁から吸収され、血液を通じて肺に運ばれます。
そうなると呼吸時に口臭が起こりますし、この時の口臭は便臭に似た臭いになります。
…このように病的口臭は口の中だけでなく、胃や腸の病気が原因で起こることもあり、
原因によっては歯科医院で治療できないケースもあります。
病的口臭は言わば身体が発するSOSのサインであり、
単に歯磨きの繰り返しでごまかすのではなく原因を特定して病気の治療に専念しましょう。
一時的口臭について
一時的口臭の場合、口臭の原因のポイントになるのは唾液です。
口の中には色々な種類の細菌が存在しますが、その中に嫌気性菌と呼ばれるものがあります。
嫌気性菌は空気が少ない環境を好みますが、口の中は唾液で満たされているためその環境ではありません。
しかし、唾液の分泌量が低下すれば話は別です。
と言うのも唾液には酸素が含まれているため、唾液の分泌量が低下した口の中は酸欠状態になるからです。
酸欠状態…すなわち空気が少ない状態になることで、口の中は嫌気性菌の好む環境になるのです。
さて、この嫌気性菌はプラークを分解する働きを持っており、
細菌の塊であるプラークが口の中で分解されることで口臭が起こります。
さらに、口の中が酸欠状態であれば嫌気性菌の働きはより活発になります。
と言うことは、よりプラークが分解されてより口臭が起こることになるのです。
つまり一時的の口臭の直接の原因は嫌気性菌の働きによるものですが、
それを招く原因となるのが唾液の分泌量の低下というわけです。
唾液の分泌量が低下する原因
唾液の分泌量が低下するのは体質だけの問題ではなく、以下のことが原因でも低下します。
唾液の分泌量が低下する原因を知ることで予防も可能であり、
そうすれば嫌気性菌の働きを抑えて口臭を防げます。
3-1. 水分の摂取量が足りない
水分の摂取量が充分でなければ、身体の水分の量が不足してしまいます。
そうすると身体は水分の量を維持しようとするため、唾液の分泌量を抑制してしまいます。
対処としては水分をマメに補給することです。
3-2. 交感神経が優位になっている
交感神経が優位になると唾液の質が変化して水分量が少なくなります。
さらに唾液に粘り気が出てくるため、口の中が乾燥状態になってしまいます。
緊張時に口が渇くのはこのためで、リラックスした気分で副交感神経を高めるようにしましょう。
3-3. アルコールの過剰な摂取
アルコールは適度な量なら摂取しても問題ありません。しかしアルコールには利尿効果があるため、
過剰に摂取すると身体の水分がどんどん失われて脱水症状になってしまいます。
このため過剰な摂取は禁物ですし、ちなみにこれはカフェインにも言えることです。
3-4. 口呼吸をしている
口呼吸をすると乾燥した空気が直接口の中に取り込まれるため、口の中の唾液が蒸発してしまいます。
さらに鼻呼吸にように粘膜で細菌を除去することもできなければ、噛み合わせを悪くする原因にもなります。
このため呼吸は口呼吸ではなく鼻呼吸を意識するようにしましょう。
3-5. 加齢
加齢が原因でも唾液の分泌量は低下します。加齢自体を防ぐことはできないので対処は難しいですが、
年齢が高くなると人間は健康を人一倍意識するようになります。
その意識を唾液の分泌量を高めることにも向ける必要があるということです。
唾液の分泌量を高める食べ物
唾液の分泌量を高める基本は噛むことです。食事の時に唾液が出るのはこのためで、
人間は噛めば噛むほど唾液が分泌されるようになっています。
また、食べ物によってはさらに唾液の分泌を促す効果があるものもあります。
4-1. ガム
噛めば噛むほど唾液の分泌量が高まる点で、最も効果的なのはガムです。
理由は簡単で、ガムは他の食べ物に比べて噛む回数が圧倒的に多くなるからです。
また一時的な効果でしかないものの、ガムの香りが口臭をカバーしてくれます。
4-2. スルメ
これもガムと同じで、スルメは他の食べ物に比べて噛む回数が多くなります。
このため、唾液の分泌量を高めることができるのです。スルメ自体が口臭になると思われがちですが、
それは単にスルメの臭いがするだけですから歯磨きすれば解決できる問題です。
4-3. おしゃぶり昆布
身体のメカニズムを利用できる食べ物で、おしゃぶり昆布を口に入れると身体はそれを「異物」と判断します。
そして、身体は口に入った異物を洗い流そうとして唾液の分泌量を高めてくれるのです。
また、昆布に含まれるアルギン酸にも唾液の分泌量を高める効果があります。
4-4. ヨーグルト
唾液の分泌量が高まるわけではないですが、腸内環境の悪化による口臭を予防できます。
腸内環境を整えるための基本は腸内の善玉菌を増やすことです。
そして、善玉菌を増やすために効果的なのがヨーグルトに含まれている乳酸菌なのです。
4-5. 水
身体の水分が不足すると唾液の分泌量が低下するため、その対処としてマメな水分補給が必要です。
水分の補給が目的なので、実際にはお茶でもジュースでも構いません。
しかしジュースは虫歯の原因になるため、ここでは敢えて水を紹介しておきます。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、口臭の原因についてまとめます。
1. 病的口臭について :病気が原因の口臭。病気を治療しない限り口臭は解消されない
・虫歯や歯周病 :細菌が繁殖することで口臭になり、特に歯周病は膿みも混ざってキツめの口臭になる
・胃炎 :胃の中で食べ物が発酵し、その時の発酵臭が肺に取り込まれて呼吸時に口臭になる
・胃がん :がんの懐死によって発生する臭い成分が肺のガス交換時に排出されて口臭になる
・逆流性食道炎 :逆流した胃液の酸っぱい臭いと胃の臭いが混ざって呼吸時に口臭になる
・十二指腸潰瘍 :胃炎同様、胃の中で食べ物が発酵するため発酵臭が肺に取り込まれて口臭になる
・便秘 :溜まった排泄物が腐敗して有害物質が発生し、肺に運ばれて呼吸時に便臭に似た臭いがする
2. 一時的口臭について :唾液の分泌量が低下して嫌気性菌の働きが活発になると起こる口臭
3. 唾液の分泌量が低下する原因 :以下のことが原因で唾液の分泌量が低下する
・水分の摂取量が少ない :身体が水分の量を維持しようとするため、唾液の分泌が抑制されてしまう
・交感神経が優位になっている :水分量の少ないネバついた唾液の質に変化し、口の中が乾燥状態になる
・アルコールの過剰な摂取 :利尿効果があるため身体の水分が失われてしまう(カフェインも同様)
・口呼吸をしている :乾燥した空気が口の中に取り込まれて唾液が蒸発してしまう
・加齢 :予防は難しいが、年齢が高まるごとに唾液の分泌量を高める意識を持つべき
4. 唾液の分泌量を高める食べ物 :以下の食べ物を摂取することで唾液の分泌量が高まる
・ガム :唾液は噛めば噛むほど分泌量が高まるため、噛む回数の多いガムは効果的
・スルメ :ガム同様、噛む回数が多いので唾液の分泌量が高まる
・おしゃぶり昆布 :身体がおしゃぶり昆布を異物と判断し、洗い流すために唾液の分泌量を高めてくれる
・ヨーグルト :唾液の分泌量を高める効果はないが、腸内環境を整えて病的口臭を予防できる
・水 :水分補給によって唾液の分泌の抑制を防ぐ。ジュースでも効果はあるが虫歯のリスクが発生する
これらのことから、口臭の原因について分かります。
病的口臭にしても一時的口臭にしても、歯磨きで解消することはできません。
と言うのも、これらの口臭は「何らかの病気」や「唾液の分泌量の低下」が原因で起こっていることであり、
その原因を解決しない限り口臭は続くからです。
逆に言えば、口臭がするということは身体や口の中に何らかの異常が起こっているということになるのです。