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口臭外来とは何をするところ?
2018年04月27日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「口臭外来について」です。
現代では、身体に何らかの病気や異常があった場合は専門の医療機関で治療できます。
では口臭はどうでしょうか?…口の中の臭いという点では、
口の中を治療する歯科医院で治療できるイメージが強いと思います。
確かに口臭は歯科医院で対応できますが、問題は口臭の原因にはいくつかの可能性があるということです。
そして原因次第では歯科医院でも対応できないですし、何より重要なのはまず原因を特定することです。
こうした口臭の原因の特定や治療…それを専門的に行っているのが口臭外来です。
そこで、ここでは口臭と口臭外来をテーマにした説明をしていきます。
目次
口臭外来の説明
口臭外来については、治療内容どころか口臭外来という言葉自体初めて聞いたという人も多いと思うので、
まず口臭外来とはどんなところなのかを細かく説明していきます。
1-1. 口臭外来とは
口臭外来とは口臭の専門外来で、主に口臭の原因を調べるための検査や治療を行います。
歯科医院での口臭治療と違うのは、口臭外来は口臭に特化した診療体制が整っていることで、
歯科医院に限らず総合病院の中に設置されていることもあります。
1-2. 費用はどのくらい掛かるのか
口臭外来では健康保険が適用されず、特殊な機器も使用するので検査で3万円以上掛かることもあります。
さらに診療費も2万円ほど掛かることが多く、トータル5万円以上の費用を想定しておいた方が良いでしょう。
ちなみに口臭の原因は様々ですから、
例えば虫歯が原因の場合は虫歯治療の費用においては従来どおり健康保険が適用されます。
1-3. 口臭外来で口臭は100%治るのか
これは原因にもよります。と言うのも、口臭の原因が口の中ではなく身体の病気であるケースもあるからです。
例えば胃がんで口臭が起こるのですが、この場合は専門の医療機関で胃がんを治療しなければなりません。
ただし各分野の専門医との連携は充実していますし、原因をしっかり特定することは可能です。
治療の流れ
口臭外来での治療の流れは一般的に以下のようになります。
STEP1. カウンセリング
口臭外来に来院すると、まずカウンセリングを行います。
ここで口臭の悩みや思うことを医師に打ち明け、問診を行っていきます。
ちなみに、生活習慣などを記録しておくと後の治療がスムーズに行われやすいでしょう。
STEP2. 検査
口臭の原因を特定するための検査を行います。割合で言えば口臭の原因は口の中の問題であることが多く、
虫歯や歯周病を、舌苔の付着や唾液の分泌量の低下、詰め物や被せ物の不適合などが考えられます。
このためまずは口腔内を診察し、レントゲンを用いて口腔内の健康状態を確認します。
STEP3. 精密検査
ここでの検査は、口臭の原因をさらに詳しく知ることが目的です。
CTや位相差顕微鏡などの専用の機器を使用し、唾液や尿の検査なども行います。
さらに舌診や歯周精密検査など、口臭外来ならではの専門的な検査を行います。
STEP4. 診断
検査の結果を元に、口臭の原因を説明します。
ここで治療方針が決定し、食生活や生活習慣についても指導を行います。
また、原因次第ではその分野の専門医と連携をした上で口臭治療していくことになります。
<検査結果で異常がなかった場合>
ちなみに検査の結果で特に異常がないこともあります。
この場合は心理的口臭…つまり心の問題が原因であることが考えられるため、
心のケアを中心とした治療を行っていきますし、その際も専門医を交えてのカウンセリングを行います。
STEP5. 治療
検査結果で特定した口臭の原因を治療していきます。
治療方法は口臭の原因によって異なり、原因次第では漢方の処方やマッサージなども行います。
健康保険が適用される治療においては、口臭外来でもきちんと健康保険が適用されます。
<再診について>
口臭治療は1度の通院では終わりません。その口臭外来の治療計画にもよりますが、
一般的には1週間に1回、もしくは2週間に1回のペースで診察を行っていき、
約3ヶ月での完治を目標とするパターンが多いです。
口臭の原因について
口臭の原因を大まかに分けると「病気」と「生活習慣」です。
前者の場合は病気の箇所によって治療方法が異なり、例えば歯周病なら口臭外来で治療できますが、
内臓や胃の病気なら内科で治療が必要になるケースもあるでしょう。
また後者の場合は生活習慣を改善して唾液の分泌量を高めることが口臭治療のポイントになります。
ではどんな病気や生活習慣があると口臭が起こるのでしょうか。
3-1. 口臭の原因・病的口臭
文字どおり病気が原因で起こる口臭で、以下のような病気で口臭が起こります。
・胃炎
胃炎になると胃酸が出にくくなるため、食べた物が正常に消化されにくくなります。
このため未消化で胃の中に停滞してしまい、やがて胃の中で発酵が起こってしまいます。
この時発酵臭が発生し、肺に入り込むと呼吸した時にその発酵臭が口臭となってしまうのです。
・十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍になると食べた物が消化されにくくなります。
このため胃炎と同じで食べた物が胃の中で発酵してしまい、その時に発酵臭が発生します。
この発酵臭が肺に入り込むことで呼吸時に口臭がするようになります。
・胃がん
がんが壊死すると臭い成分が発生しますが、その成分は血液中に吸収されます。
そして肺のガス交換時に排出されることで口臭となります。
また現状解明されていませんが、胃がんになると特有の口臭が起こるとも言われています。
・逆流性食道炎
逆流性食道炎になると胃液が食道に逆流します。
嘔吐時に胃液の酸っぱい臭いがするように、胃液が逆流することで呼吸時に胃液の臭いがするのです。
さらにその時には胃の臭いも混ざるため、胃液と胃の臭いの混ざった口臭が起こります。
・便秘
腸内環境の悪化で口臭がするようになる代表的な例です。
排泄物が溜まって腐敗を起こし、その時発生した有害物質が腸壁から吸収されます。
腸壁から吸収された有害物質は血液に入り込み、血管を通じて肺に回ることで呼吸時に口臭が起こります。
3-2. 口臭の原因・一時的口臭
一時的口臭は唾液の分泌量が低下することで起こります。
口の中には嫌気性菌と呼ばれる細菌があり、この嫌気性菌はプラークを分解する働きを持っています。
プラークは細菌の塊ですから、分解されることで嫌な臭いが発生します。
さて、嫌気性菌は「嫌気」という文字から連想できるとおり空気を嫌う一方で酸欠状態を好みます。
唾液は酸素を含んでいますから、
唾液の分泌量が低下すれば口の中は酸欠状態となり、嫌気性菌の好む環境になるのです。
そうすると、嫌気性菌は理想の環境になることで働きが活発になります。
つまりより多くのプラークを分解するようになり、それだけ嫌な臭いも多く発生して口臭になるのです。
この問題を防ぐには、以下の方法で唾液の分泌量を高めなければなりません。
・マメに水分を補給する
身体のメカニズム上、水分量の不足した身体は水分を確保するため唾液の分泌を抑制します。
このため、唾液が分泌されにくくなってしまうのです。対処としてはマメな水分補給をすることですが、
ジュースなどは虫歯のリスクを高めるため、水で水分補給をするのが理想です。
・ガムを噛む
唾液は噛めば噛むほど分泌量が高まるもので、食事の時に多くの唾液が出るのはそのためです。
そこで、長く噛んでいられる点でガムを噛むのがおすすめです。
この場合も虫歯のリスクを考えるとシュガーレスタイプのガムがおすすめです。
・スルメを噛む
スルメは口臭を招くイメージがありますが、それは違います。
ガム同様に噛む回数が多くなるため、唾液の分泌量を高めて一時的口臭を予防できるのです。
確かにスルメを食べればその臭いが口からしますが、それは歯磨きすれば解消できる問題です。
・リラックスする
目的は副交感神経を高めることです。緊張した状態が続くと交感神経が高まってしまい、
唾液の分泌量が低下します。ちなみに緊張時に口が渇いた感じがするのはこのためです。
入浴でも趣味でも良いので、1日の中で心から落ち着ける時間を作りましょう。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、口臭外来についてまとめます。
1. 口臭外来の説明 :口臭外来についての詳細は以下のとおり
・口臭外来とは :口臭の専門外来で、口臭に特化した医療体制が整っている
・費用はどのくらい掛かるのか :健康保険が適用されないため、トータル5万円以上を想定しておくべき
・口臭外来で口臭は100%治るのか :原因によっては内科などの専門の医療機関での治療が必要
2. 治療の流れ :カウンセリング→検査→精密検査→診断→治療(約3ヶ月での完治を目標にする)
3. 口臭の原因について :病的口臭と一時的口臭がある
3-1. 口臭の原因・病的口臭 :病的口臭の原因となる病気は以下のとおり
・胃炎 :食べた物が胃の中で発酵し、その時の発酵臭が肺に入り込んで口臭になる
・十二指腸潰瘍 :胃炎と同じ。食べた物が胃の中で発酵し、その時の発酵臭が肺に入り込んで口臭になる
・胃がん :がんの壊死によって発生する臭い成分が原因。胃がん特有の口臭があるとも一説されている
・逆流性食道炎 :胃液が逆流するため、呼吸時に胃液の臭いと胃の臭いが混ざった口臭がする
・便秘 :腸内環境の悪化が原因。排泄物の腐敗で発生した有害物質が肺に回って口臭になる
3-2. 口臭の原因・一時的口臭 :唾液の分泌量の低下が原因。以下の方法で唾液の分泌量を高められる
・マメに水分補給をする :身体の水分量を一定以上に保つことで、唾液の分泌の抑制を防ぐ
・ガムを噛む :ガムは噛む回数が多くなるため、必然的に唾液の分泌量も高まる
・スルメを噛む :ガム同様に噛む回数が多いため、必然的に唾液の分泌量も高まる
・リラックスする :リラックスして副交感神経を高めるのが目的。交感神経が高まると口の中が渇く
これらのことから、口臭外来について分かります。
今回の説明から分かるとおり、口臭の問題に対してはまず原因究明が大切です。
しかし原因として考えられるものは多く、その特定がしづらいのが口臭の問題の厄介なところです。
その点、口臭外来は専門的な検査を行うため原因究明も難しくありません。
原因が究明されれば治療方法も決定できるため、
後は口臭外来の治療を続けることで口臭の問題も解消されるのです。