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ガムで口臭は予防できる?
2018年08月15日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「ガムによる口臭予防の効果」です。
自分の口臭が気になった時、あなたならまずどんな対処をするでしょうか。
起床時の口臭ならすぐに歯磨きをすると思いますが、
それ以外のタイミングならひとまずガムを噛んで対処するのではないでしょうか。
事実、コンビニなどでは口臭予防の効果を謳ったガムが数多く販売されていますからね。
また、日頃から口臭予防を考えてガムを噛む習慣のいる方もいるでしょう。
さて、このようなガムによる口臭予防は既に一般化していますが、
実際のところ口臭に関しては歯科医院で診察と治療を受けるのが身体の健康のためなのです。
目次
ガムによる口臭予防の問題点
ミントのガムを噛めば、息を吐いた時にスッとした感覚と香りがします。
このため、確かにガムは口臭予防になりそうな感じがするかもしれません。
しかし、ガムで口臭予防をすることにはいくつかの問題点があります。
口臭の原因が解決されない
これが最大の問題点です。例えば、口臭の原因が食材である場合はガムで口臭予防しても構いません。
しかし、日頃から口臭が気になるのであれば原因は他にありますし、
ガムを噛んだところで原因の解決にはなりません。しかも、その原因が病気である可能性もあるのです。
虫歯になる
口臭を予防しようとガムばかり噛んでいると、虫歯になるリスクを高めます。
と言うのもガムには糖が含まれているため、ガムを頻繁に噛むことは糖の過剰な摂取につながるからです。
つまり、口臭予防でガムを噛むことは口の中を不健康にさせてしまうのです。
ミント系のガムは逆効果
口臭予防が目的でガムを噛むなら、ほとんどの方がミント系のガムを噛むと思います。
しかしミントは唾液の分泌量を低下させるため、唾液の潤いがなくなって口の中を乾燥させてしまいます。
これによって細菌が繁殖して口臭が起こるため、口臭を予防するどころか逆に口臭の原因になるのです。
口臭は身体が発するSOSのサイン
例えば急に身体に痛みを感じた時、痛み止めを飲めばその痛みは一時的に解消されるでしょう。
しかしそれで安心する方はおらず、なぜなら痛みの原因が気になるからです。
仮にその原因が病気なら、治療しなければならないですからね。
さて、口臭予防にガムを噛むことはこの例と同じことが言えます。
ガムを噛めば一時的に口臭が解消されますが、口臭の原因の解消には至りません。
そうなると時間の経過で再び口臭が起こるでしょうし、何より口臭の原因が病気であった場合に問題です。
では病気が原因で口臭が起こるのか?…その答えはイエスであり、例えば以下のような病気が考えられます。
このため口臭は身体が発するSOSのサインと認識し、
ガムによる一時的な解消ではなく、歯科医院に行って診察を受け、原因の究明と治療を大切に考えましょう。
歯周病の可能性
口臭の原因で最も可能性が高いのは歯周病です。歯周病になると口の中で細菌が繁殖し、
さらに歯周ポケットが深くなるためそこにプラークや歯石が溜まります。
また、歯肉からの出血や膿みが出ることがあり、これらによってキツイ口臭が起こります。
虫歯の可能性
虫歯になると歯に穴があくため、いわゆる空洞が発生した状態になります。
そうなるとその空洞に食べカスが詰まってしまいますし、詰まった食べカスは歯磨きで除去できません。
つまり食べカスが残ったままになるため、時間の経過で壊死して口の中から腐った臭いがするようになります。
…口臭は口の中で起こる問題ですから、その原因も口の中にあると考える方が多いでしょう。
事実、口臭の原因として高いのは歯周病や虫歯です。
しかし、それ以外にも胃や腸や肝臓など…つまり内臓の不調や病気で口臭が起こることもあります。
胃炎の可能性
胃炎になると、食べた物が消化されずに胃で停滞するため、本来腸で起こる発酵が胃で起こります。
そして食べた物が胃の中で発酵すると、その時発生した発酵臭が肺に入り込んできます。
このため、呼吸した時に発酵臭が吐き出される形となって口臭が起こります。
胃がんの可能性
胃がんになると、がんの壊死が起きた時に臭い成分が発生します。
この成分が血液中に吸収されることで、肺のガス交換時に口臭となって口から吐き出されます。
また、一説の段階ですが胃がんになるとそれ特有の口臭が起こるとも言われています。
逆流性食道炎の可能性
逆流性食道炎とは胃液が食道に逆流する病気です。
胃液が食道まで逆流することで胃液特有の酸っぱい臭いが口臭となりますし、
さらに胃の臭いも混ざるため、逆流性食道炎による口臭は相当きつい臭いがします。
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍によって口臭が起こるメカニズムは胃炎の場合とほとんど同じです。
十二指腸潰瘍で消化不良になることで、食べた物が消化されずに胃の中で停滞します。
そうすると胃の中で食べた物が発酵してしまい、その発酵臭が原因で口臭が起こってしまうのです。
肝臓の不調の可能性
肝臓の働きの1つに、「有毒なアンモニアを解毒する」というものがあります。
しかし肝臓が不調だとこの働きが低下するため、有毒なアンモニアが解毒されずに血液中に溶け出します。
そして血管を通じて肺に入り込むことで、呼吸した時にアンモンア臭…つまり口臭が起こるのです。
便秘の可能性
便秘によって排泄物が腸の中に留まると、腸内環境が悪化して悪玉菌が増加します。
そして悪玉菌の増加によって排泄物は腐敗を起こし、有害物質を発生させます。
この有害物質が腸壁から血液中に溶け出すと、血管を通じて肺に入り込んで呼吸時に口臭が起こるのです。
唾液の分泌量が低下している可能性
唾液の分泌量が低下すると口の中が常に渇いた状態になります。
本来なら唾液が細菌を洗浄してくれますが、それが行われなくなるため細菌が繁殖して口臭が起こります。
また唾液の分泌量の低下は、口臭が起こるだけでなく虫歯や歯周病になるリスクも高めます。
口臭外来のすすめ
口臭がする場合はその原因が病気である可能性があるため、歯科医院に行って診察を受けましょう。
また、口臭の検査や治療を専門とする口臭外来の受診がなおおすすめです。
口臭外来とは口臭の専門外来で、検査による口臭の原因の特定と治療を行っています。
基本的には歯科医院に設置されていますが、総合病院の診療科目に設置されていることもあります。
口臭外来では歯科治療を行えるため、原因が口の中にあった場合はその場で治療ができますし、
胃や腸などに原因があった場合も専門の医療機関との連携がスムーズに行えます。
口臭外来での流れ
口臭外来を受診した場合、流れは次のようになっています。
STEP1. 相談 :口臭について医師に相談します
STEP2. 検査 :口臭の測定、口腔内の検査、唾液の検査、舌診、尿検査などを行います
STEP3. 口臭の原因の特定 :検査結果と口臭の原因について説明します
STEP4. 治療 :口臭の原因に応じた治療を行います
…口臭の原因は様々で、何らかの病気であるケースもあれば、
精神面の問題によって口臭を錯覚する、喫煙によって口臭が起こっているなどのケースもあります。
口臭外来では、こうした口臭における様々な可能性の中から実際の原因を特定できます。
口臭外来の欠点を挙げるとすれば、検査費用などにおいて健康保険が適用されないことですが、
例えばその原因が虫歯や歯周病であった場合、虫歯や歯周病の治療費は従来どおり健康保険が適用されます。
このため、費用の高さが気になる方はまずは歯科医院で相談してみると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、ガムによる口臭予防の効果についてまとめます。
1. ガムによる口臭予防の問題点 :ガムで口臭予防しようとすると、以下の問題が起こる
・口臭の原因は解決されない :一時的に口臭は解消されるものの、口臭の原因の解決には全くならない
・虫歯になる :糖を含んだガムを頻繁に噛んでいれば、糖の過剰な摂取となり虫歯になるリスクを高める
・ミント系のガムは逆効果 :ミントは唾液の分泌量を低下させるため、口の中が乾燥して逆に口臭が起こる
2. 口臭は身体が発するSOSのサイン :口臭は病気の自覚症状である可能性がある
・歯周病の可能性 :口臭の原因で最も可能性が高い。細菌の繁殖や歯肉から出た膿みなどで口臭が起こる
・虫歯の可能性 :歯に穴があき、そこに詰まった食べカスが壊死することで口臭が起こる
・胃炎の可能性 :未消化の食べ物が胃の中で発酵するため、その時発生した発酵臭が口臭となる
・胃がんの可能性 :がんの壊死時に発生した臭い成分が血液中に吸収されて口臭が起こる
・逆流性食道炎の可能性 :胃液の逆流により胃液の酸っぱい臭い、さらに胃の臭いも混ざった口臭が起きる
・十二指腸潰瘍 :胃炎と同じで、未消化の食べ物が胃の中で発酵した時の発酵臭で口臭が起こる
・肝臓の不調の可能性 :有毒なアンモニアが解毒されないことで呼吸時にアンモニア臭の口臭が起こる
・便秘の可能性 :腸内で腐敗した排泄物から発生した有害物質が血管を通じて肺に入って口臭が起こる
・唾液の分泌量が低下している可能性 :口の中が渇くことで細菌が繁殖して口臭が起こる
3. 口臭外来のすすめ :口臭の検査や治療と専門としており、他の医療機関との連携も充実している
・口臭外来での流れ :「相談」→「検査」→「口臭の原因の特定」→「治療」
これらのことから、ガムによる口臭予防の効果についてまとめます。
身体の何らかの症状が起こったとして、それが原因不明なら誰もが不安に感じるでしょう。
実は、口臭が起こっているのはこれと同じ状態です。
このため、まず必要なのはガムによる口臭の一時的な解消などではなく原因の特定です。
それには歯科医院で診察を受ける、もしくは口臭外来を受診することが大切です。
口臭は身体の異常を示すSOSのサインと受け取り、原因…つまり根本からの治療を考えてください。