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歯を食いしばるクセがあるのですが、何か歯に悪影響がありますか?
2018年09月01日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「噛み合わせが悪くなってしまう日常生活でのクセ」です。
人はそれぞれ何らかのクセを持っているものです。
貧乏ゆすり、舌を出す、頭をかく、女性の場合は髪をかきあげるクセを持っている人も多いですね。
さてこうしたクセですが、実は内容によっては噛み合わせに大きく影響するものがあり、
日常生活でのクセが原因で噛み合わせが悪くなるケースがあるのです。
今回のタイトルにある「歯を食いしばるクセ」もその1つであり、
継続的に歯を食いしばるクセのある人はそれが原因で噛み合わせが悪くなってしまいます。
そこで、ここでは噛み合わせに影響する日常生活のクセについてのお話をしていきます。
目次
食いしばりについて
ではまず、今回タイトルにある「歯の食いしばり」について考えてみましょう。
食いしばりとは、上の歯と下の歯で強く噛み合わせる行為であり、クレンチング症候群とも呼ばれます。
意外に思うかもしれませんが、こうして上の歯と下の歯が接する機会は、本来なら食事の時くらいです。
考えてみてください。確かに会話する時には口元があらゆる動きを見せますが、
会話の中で上の歯と下の歯がカチンと当たることはないですよね。
このため上の歯と下の歯が接するのは食事の時くらいであり、時間にすればおよそ20分程度なのです。
しかし食いしばりのクセがある人は例外で、クセで頻繁に歯を食いしばることから、
1日の中で上の歯と下の歯が接する時間はおよそ2時間…それも強い力で噛み合わせます。
そして、この食いしばりによって噛み合わせが悪くなるのです。
食いしばりで噛み合わせが悪くなる理由
では食いしばりによってなぜ噛み合わせが悪くなるのでしょうか。それには次のような理由が挙げられます。
・歯がダメージを受けるため
食いしばりによって歯がダメージを受けると、場合によっては歯が欠けたり割れたりすることがあります。
これは被せ物も同様で、例え頑丈なセラミックでも強い力で食いしばると割れてしまいます。
こうした歯の欠けや割れによって歯の形状が変化し、歯並びが悪くなって噛み合わせも悪くなるのです。
・歯が擦り減るため
食いしばりを繰り返せば、歯は摩擦によって少しずつ擦り減っていきます。
そして、歯が擦り減ることで本来の高さよりも低くなってしまい、噛み合わせが悪くなるのです。
ちなみに、擦り減るという意味では歯ぎしりのクセにも同じことが言えます。
・顎関節症になるため
顎関節症の原因は様々で、例えば噛み合わせの悪い人だと発症のリスクは高まります。
しかし噛み合わせが良い人でも発症しますし、食いしばりのクセもまた発症の原因の1つです。
そして、顎関節症になることで噛み合わせが悪くなってしまうのです。
・歯が動くため
歯に強い力が継続的にかかると、稀に歯が動いてしまうことがあります。
食いしばりの場合は縦方向に力がかかるため、この場合は歯が歯肉に押し込まれる状態になります。
そうなると歯の高さが変わるため、噛み合わせが悪くなってしまうのです。
…食いしばりのクセは「歯へのダメージ」、「歯の擦り減り」、「顎関節症」、
「歯の移動」などの症状をもたらし、これらの症状が原因によって噛み合わせが悪くなります。
食いしばりのクセを直すには
食いしばりのクセを直すには、まずはそれが本当にクセかどうかによって方法が異なります。
と言うのも、一般的に食いしばりはストレスが原因によって起こると言われているため、
その点に心当たりがあるならストレスの解消によって食いしばりをしなくなるケースもあります。
また、ストレスの場合は緊張状態になるのを防ぐため、
身体の力を抜いて筋肉をほぐすことが効果的ともされています。
一方、本当にクセになってしまっているなら、それを直すために最も必要なのは自分の意志です。
頻繁に鏡で確認するなどして、無意識に行ってしまう食いしばりを防ぎましょう。
ちなみに、歯科医院では食いしばりへの対処としてマウスピースを製作して渡すこともあります。
ただし既に噛み合わせが悪くなっている場合は、食いしばりのクセだけでなく噛み合わせの改善も必要です。
噛み合わせが悪くなる原因
食いしばりのクセがあると噛み合わせが悪くなります。
と言うことは、食いしばりのクセがなければ噛み合わせは悪くならないのでしょうか。
…それは違います。なぜなら、噛み合わせが悪くなる原因は他にもいくつかあるからです。
歯並びが悪い
歯並びが悪くて凸凹していれば、上手く噛み合わせることができません。
このため、歯並びが悪い人は噛み合わせも悪くなります。
歯を失ったままにしている
本来、歯を失った場合は入れ歯やインプラントなどの人工の歯で補います。
それをせず歯を失ったままにしておくと、隣接する歯が動いて噛み合わせが悪くなってしまいます。
被せ物の高さが合わない
被せ物で処置した時、高さが合わないと噛み合わせが悪くなります。
高すぎる場合は削って調整できますが、低すぎる場合は被せ物の再製作が必要なこともあります。
インプラントや入れ歯のメンテナンスを受けない
インプラントや入れ歯は、治療後も定期的なメンテナンスの通院が必要です。
メンテナンスではその都度噛み合わせの調整を行うため、これを無視すると噛み合わせが悪くなります。
虫歯や歯周病になる
虫歯になると歯が溶かされ、歯周病になると歯がグラつきます。
いずれも歯の形状が変化するため、歯並びが崩れて噛み合わせが悪くなります。
顎関節症になる
顎関節症は噛み合わせが悪い人に起こりやすい病気ですが、噛み合わせが良い人でも起こります。
噛み合わせが良い人が顎関節症になると、それがきっかけで噛み合わせが悪くなることがあります。
クセ
今回のテーマでも食いしばりもクセの1つですが、それ以外にも噛み合わせが悪くなるクセがあります。
頬杖をつく、うつ伏せで寝る、歯ぎしり、舌で歯を押し出す、いずれのクセも噛み合わせが悪くなる原因です。
…ザっと挙げただけでも、噛み合わせが悪くなる原因はこれほどあります。
ですから、食いしばりのクセは噛み合わせが悪く原因の1つでしかなく、
食いしばりのクセがない人でもこれらが原因で噛み合わせが悪くなることがあるのです。
噛み合わせの悪さが起こす問題
最後に、噛み合わせが悪いとどんな問題が起こるのかをお伝えします。
噛み合わせの悪さは病気ではなく、その点では虫歯や歯周病のように治療の早急性はありません。
しかし、噛み合わせが悪いことで様々な問題を引き起こします。
虫歯や歯周病になりやすい
歯並びの悪さが原因で噛み合わせが悪い場合、虫歯や歯周病になるリスクが常に高まります。
これは歯並びが悪いことで歯磨きがしづらく、噛み合わせが良い人に比べて磨き残しが多いからです。
磨き残しが多ければそれだけプラークが蓄積され、虫歯や歯周病になるリスクが高くなるのです。
肩こりや頭痛が起こる
噛む時には筋肉を使用しますが、噛み合わせが悪いと噛む筋肉に悪い影響をもたらします。
広頸筋は首から肩にかけてつながっているため、噛み合わせが悪い影響で肩こりを引き起こし、
側頭筋は顎から頭の横にかけてつながっているため、噛み合わせが悪い影響で頭痛を引き起こします。
腰痛が起こる
噛み合わせが悪い人は、そのせいで頭蓋骨…つまり頭の重心のバランスが崩れています。
そこで身体は崩れたバランスを取り戻そうと、至るところに力をかけてバランスの崩れを補います。
この時かかる力が腰への負担となり、それが原因で腰痛を引き起こすことがあります。
顔の見た目が悪くなる
噛み合わせが悪いと顎が変形し、顎が変形することで顔の輪郭が歪みます。
また、歯並びの悪さが原因で噛み合わせが悪い場合、歯並びの悪さも口元の見た目を悪くさせます。
顔の輪郭の歪みも歯並びの悪さも、いずれも顔の見た目を悪くさせる原因になります。
…このように、噛み合わせの悪さは口の中だけでなく全身の健康状態に異常をもたらします。
肩こり、頭痛、腰痛、これらは一見噛み合わせの悪さと無関係に思えますが、実はそうではなく、
慢性的な肩こりや頭痛や腰痛に悩まされている人は、その原因が噛み合わせの悪さにあるかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、噛み合わせが悪くなってしまう日常生活でのクセについてまとめます。
1. 食いしばりについて :食いしばりのクセがあると噛み合わせが悪くなる
2. 食いしばりで噛み合わせが悪くなる理由 :以下の理由が挙げられる
・歯がダメージを受けるため :食いしばりによって歯が欠けたり割れたりして歯の形状が変化する
・歯が擦り減るため :摩擦によって歯が擦り減り、歯の高さが低くなって噛み合わせが悪くなる
・顎関節症になるため :顎関節症になると噛み合わせが悪くなることがある
・歯が動くため :強い力がかかることで、歯が動いて噛み合わせが悪くなる
3. 食いしばりのクセを直すには :ストレスが原因の場合はその解消や筋肉をほぐすなど
4. 噛み合わせが悪くなる原因 :以下の原因が挙げられる
・歯並びが悪い :歯並びが凸凹していることで噛み合わせが悪くなる
・歯を失ったままにしている :隣接する歯が動いて噛み合わせが悪くなる
・被せ物の高さが合わない :被せ物が高すぎる、もしくは低すぎて噛み合わせが悪くなる
・インプラントや入れ歯のメンテナンスを受けない :噛み合わせの調整ができないため
・虫歯や歯周病になる :歯が溶かされる、もしくは歯がグラつくことで噛み合わせが悪くなる
・顎関節症になる :顎関節症になったのがきっかけで噛み合わせが悪くなることがある
・クセ :食いしばり以外にも、頬杖、うつ伏せ寝などのクセは噛み合わせが悪くなる
5. 噛み合わせの悪さが起こす問題 :以下の問題が挙げられる
・虫歯や歯周病になりやすい :歯並びの悪さが原因で噛み合わせが悪い場合に言えること
・肩こりや頭痛が起こる :噛む筋肉である広頸筋と側頭筋が悪い影響を受けるため
・腰痛が起こる :頭の重心のバランスが崩れることで、身体が腰に負担をかけてしまうため
・顔の見た目が悪くなる :顔の輪郭の歪み、歯並びの悪さなどが理由
これらのことから、噛み合わせが悪くなってしまう日常生活でのクセについて分かります。
食いしばりを単なるクセと捉えてはならず、これは噛み合わせが悪くなる原因の1つです。
また、噛み合わせが悪くなる原因となるクセは他にもありますし、
クセ以外のことが原因で噛み合わせが悪くなることもあるのです。