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噛み合わせを悪くさせてしまう可能性がある子供の癖って何ですか?
2018年10月01日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「噛み合わせが悪くなる子供の癖」です。
ほとんどの子供は何らかの癖を持っており、親はそれを改善させるために頭を悩ませます。
さて、そんな子供の癖をなぜ改善させたいのかと考えると、
その答えとして挙げるのは「みっともない」や「行儀が悪い」などの理由でしょう。
確かに、癖によってはマナーにも関係してくるため深刻な問題ですよね。
しかしもっと問題なのは、子供の癖の中には口腔内の健康にとって害となる癖もあるということです。
そこで、ここでは噛み合わせが悪くなる原因となる子供の癖について説明します。
もちろん、同じ癖を持つ大人がいた場合、その大人もまた噛み合わせが悪くなるので要注意です。
目次
噛み合わせについて
そもそも「正常な噛み合わせ」とはそんなに大切なことなのでしょうか。
実際、噛み合わせを意識する人はそこまで多くなく、それよりも歯並びや歯の色を気にする人が多いですね。
最も、歯並びが悪ければ噛み合わせも悪くなるので、正常な噛み合わせは審美面においても重要です。
また、それだけでなく健康面においても重要であり、噛み合わせの悪さは身体に様々な問題を引き起こします。
肩こりや頭痛
肩こりや頭痛の要因は疲労とは一概に言い切れず、噛み合わせの悪さが要因のケースもあります。
人間は動作するたびに必ず筋肉を使いますが、噛む動作においてもそれは例外ではありません。
そして、噛み合わせが悪いと噛む筋肉が影響を受け、それによって肩こりや頭痛が起こります。
首から肩にかけてつながる広頸筋が影響を受けて肩こりが、
顎関節から頭の横にかけてつながる側頭筋が影響を受けて頭痛が引き起こされるのです。
慢性的な肩こりや頭痛で悩まされている人の場合、その要因は噛み合わせの悪さにあるのもかもしれません。
顎関節症
顎関節症は噛み合わせが良くてもなりますし、
噛み合わせが良い人が顎関節症になったのがきっかけで噛み合わせが悪くなるケースもあります。
しかし、噛み合わせが悪いと顎関節症になるリスクが高く、さらに重症化しやすい傾向があります。
顎関節症は、軽度なら顎を動かすたびに音が発生するくらいの症状ですが、
それでも音が聞こえるのはストレスになりますし、重症化すれば痛みを感じることもあります。
さらに口も開けにくくなるため、決して軽く見てはいけない病気です。
顔の見た目が悪くなる
噛み合わせの悪さは審美面に影響しますが、それは単に噛み合わせた時の歯の見た目だけではありません。
と言うのも、噛み合わせが悪いと顎の形が悪くなりますし、顎の形が悪くなれば顔の輪郭が歪みます。
そして顔の輪郭が歪むということは、顔の見た目も悪くなることになるのです。
また、噛み合わせが悪いと発音がしづらいなどの問題も起こるため、
顔の見た目とあわせて人との交流、会話に引け目を感じるようになってしまいます。
虫歯や歯周病になる
いくら予防しても虫歯や歯周病になる人は、その要因が噛み合わせの悪さにあるのかもしれません。
なぜなら、噛み合わせが悪いと虫歯や歯周病になるリスクが高まるからです。
まず噛み合わせが悪く歯並びが悪ければ、歯磨きがしづらいために磨き残しが多くなります。
さらに、噛み合わせが悪いと噛んだ時に歯と歯が当たらない箇所が出てくるため、
その衝撃によるプラークの剥がれが起こらなくなり、プラークが付着したままになります。
また、噛み合わせの悪さによって特定の歯に負担がかかれば、歯周病が起こるリスクが高まります。
…このように噛み合わせの悪さは見た目の悪さに影響してしまいますし、
虫歯、歯周病、顎関節症、肩こり、頭痛などの要因にもなります。
口腔内に限らず健康な身体を維持するには、噛み合わせの悪さは決して無視できない問題です。
噛み合わせが悪くなる子供の癖
噛み合わせの悪さは身体に様々な問題を引き起こしますが、
そもそも噛み合わせはどうやって悪くなるのでしょうか。これは遺伝的な要素もありますが、
実は子供の時に行う何気ない癖が関係しているケースが多くあります。
一見子供ならではの何でもない癖ですが、その中のいくつかには噛み合わせが悪くなる要素が潜んでいます。
指しゃぶり
無邪気に見える指しゃぶりの癖は、実は噛み合わせが悪くなる要因です。
毎日指しゃぶりをすれば1日トータルで数十分以上、
さらに睡眠時も含めれば相当な時間になり、長時間大きな力をかけることになります。
しかも指しゃぶりによってかかる力は強いため、持続的に行えば歯並びが悪くなり、顎も変形してしまいます。
また、指しゃぶりによって口の形が変形した場合、
噛み合わせだけでなく呼吸や発音、飲み込む動作においても正常にできなくなってしまうのです。
<指しゃぶりによって起こる噛み合わせの異常>
・出っ歯…指しゃぶりの時に上の前歯を持続的に押す状態になるために起こる
・上下の奥歯のずれ…指しゃぶりで上の歯列の幅が狭くなり、下の歯列とのバランスが崩れて起こる
口呼吸
「口呼吸ではなく鼻呼吸をしなければならない」と聞いたことがある人も多いと思いますが、
その理由まではよく分からないという人もいるのではないでしょうか。
口呼吸は文字どおり口で呼吸しますから、鼻呼吸の時のように上顎が成長できなくなります。
上顎が成長できなければ幅が狭くなり、さらに口呼吸によって舌の位置が下がるため、
上顎が広げられなくなって出っ歯や歯並びの悪さにつながってしまうのです。
また、口呼吸は乾燥した空気を直接口の中に取り込むため、口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすくなります。
<口呼吸によって起こる噛み合わせの異常>
・出っ歯…口呼吸によって上顎が広がらないため出っ歯になる
・歯並びの悪さ…口呼吸で上顎が広がらないため、歯のスペースが狭くなって歯並びが悪くなる
下唇を噛む
子供は悔しい時や叱られた時に下唇を噛む時がありますが、それが癖になると出っ歯になります。
まず下唇を噛むと、その時点で下の歯が中…つまり内側に倒されます。
そうすると、上の歯が外側に押された状態になるため出っ歯になってしまうのです。
この場合、下唇に上から強い力をかけることに問題があるため、
下唇を噛む以外にも舌で下唇を押すなど癖があると全く同じ問題が起こります。
他にも、下唇のかさつきなどが気になって舌で強く舐めるなどの癖もこれに該当します。
<下唇を噛むことによって起こる噛み合わせの異常>
・出っ歯…下唇を噛むと下の歯が内側に倒され、上の歯が外側に押された状態になるため
・歯並びの悪さ…下唇を噛んで舌の歯が内側に倒されると、スペースが狭くなって下の歯並びが悪くなる
頬杖をつく
頬杖をつく癖は大人にもありますが、この癖は噛み合わせにおいて様々な問題が起こります。
まず頬杖をつくと、体勢的に頭を顎で支える状態になります。
頭は身体の中でも重たい部分になるため、それを顎で支え続けると特に奥歯に負担がかかります。
また、同じような癖としてはうつ伏せで寝ることが挙げられます。
ひと昔前は、頭の形が整うという点で子供のうつ伏せ寝がすすめられていましたが、
うつ伏せで寝ることは噛み合わせが悪くなるどころか乳児突然死症候群の原因の一つとされています。
<頬杖をつくことによって起こる噛み合わせの異常>
・奥歯の噛み合わせが悪くなる…頭の重さを支える負担が奥歯にかかるため
・顎が横にずれて噛み合わせが悪くなる…頭の力が顎を横や奥に動かし、強い負担をかけるため
爪を噛む
「爪を噛む」とは前歯で爪を噛むことですが、硬い爪を前歯だけで噛むことは前歯にとって負担となり、
その影響で前歯の歯の根が浅くなる、前歯の先が変形するなどの問題が起こります。
さらに成長期において爪を噛む癖は歯肉にも負担をかけ、歯並びが悪くなる原因になります。
他にも爪を噛む癖があると受け口になりやすくなりますし、爪を噛むこと自体が衛生的によくありません。
爪の残る細菌が口に入ってしまい、それが原因で何らかの病気になる危険性があるからです。
ちなみに爪を噛むのは単に癖だけでなく、不安やストレスが原因で起こっていることがあります。
<爪を噛むことによって起こる噛み合わせの異常>
・歯並びが悪くなる…硬い爪を前歯だけで噛むことで歯肉に負担をかけてしまうため
・受け口…爪を噛むと下顎が前に出た状態で固定されるため
まとめ
いかがでしたか?
最後に、噛み合わせが悪くなる子供の癖についてまとめます。
1. 噛み合わせについて :審美面、健康面において様々な問題を引き起こす原因となる
・肩こりや頭痛 :噛み合わせが悪いと広頸筋と側頭筋が影響を受け、肩こりや頭痛を引き起こす
・顎関節症 :噛み合わせが悪い人はそうでない人に比べて顎関節症になりやすく、重症化もしやすい
・顔の見た目が悪くなる :噛み合わせが悪いと顎の形が悪くなり、顔の輪郭が歪んで見えるため
・虫歯や歯周病になりやすい :歯並びの悪さで噛み合わせが悪い場合、歯並びが凸凹で歯磨きがしづらい
2. 噛み合わせが悪くなる子供の癖 :何気ない癖の中には噛み合わせを悪くさせる原因となるものもある
・指しゃぶり :指を吸う力は強いため、その力が持続的にかかると歯並びが悪くなって顎も変形する
・口呼吸 :口呼吸だと上顎が成長できなくなるため、幅が狭くなって歯並びが悪くなる
・下唇を噛む :上の歯が外側に押される状態になることで出っ歯になる
・頬杖をつく :頭は重いため、それを顎で支えることで負担となって奥歯の噛み合わせが悪くなる
・爪を噛む :硬い爪を前歯だけで噛むのは前歯にとって負担となり、前歯の先が変形する
これらのことから、噛み合わせが悪くなる子供の癖について分かります。
噛み合わせの悪さを改善方法は様々で、矯正治療で対応できるケースもあります。
ただし癖が原因で噛み合わせが悪くなった場合、癖を改善しなければまた同じ問題が起こります。
癖は一度身につくと改善が難しくなるため、噛み合わせを悪くさせる子供の癖には早めに対処しましょう。