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噛み合わせが悪いと顔の形が変わってしまうというのは本当ですか?
2018年11月15日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。
今回のテーマは「噛み合わせの悪さと全身への影響について」です。
噛み合わせの悪さを自覚している人は、その現状に危機感を持っているでしょうか。
確かに、噛み合わせの悪さというのは虫歯や歯周病と違って病気ではありません。しかし、噛み合わせの悪さが原因となって病気になる可能性がありますし、さらに審美面…つまり見た目においてもマイナスの影響を与えます。
最も、噛み合わせが悪いことで影響のある見た目は歯並びと考える人が多いでしょうし、確かにそれは事実です。しかしそれだけでなく、顔の形そのものにも影響を与えてしまい、ここでは噛み合わせの悪さが全身に与える悪影響について説明していきます。
目次
顔の形への影響
噛み合わせが悪いと顔の輪郭…すなわち顔の形まで変わってしまいます。
エラが張った顔になるケース
エラが張った顔になる原因は二つあり、一つは先天的なケースです。これは生まれつきの骨格が関係しているため、簡単な改善は難しいでしょう。もう一つのケースは噛み合わせの悪さが原因のケースです。
食事で食べ物を噛む時、咬筋と呼ばれる筋肉を使用しますが、この筋肉はエラの付近にあります。噛み合わせが悪い場合、うまく噛めないことから咬筋に余分な力が掛かってしまいます。このため咬筋の筋肉が通常以上に発達してしまい、エラが張った状態になってしまうのです。
エラが張ると顔が大きく見えてしまいますから、そのせいで目や鼻や口のパーツの位置が一見バランス悪くも見えてしまいます。つまりこの場合、顔の形だけでなく顔全体の見た目に悪い影響を与えます。
顔の輪郭が歪むケース
筋肉というのは使えば使うほど発達するものであり、身体は何らかの動作をすることで必ずそれに関係する筋肉を使用します。ですから、食べ物を噛む動作においても顔や顎の筋肉を使用しています。
噛み合わせが悪いと均等な噛み方ができないため、どうしても噛みやすい部分を使って噛もうとします。極端な話、右側でうまく噛めない場合は左側を使って噛もうとするのが一般的ですからね。さて、こうしたスタイルで噛んでいると、どうしても噛み方が偏ってしまいます。
偏りによって噛むのによく使う箇所、ほとんど使わない箇所と差が出てしまい、よく使う箇所だけ筋肉が厚くなって骨にも変化が出てきます。そうなると顎の形が歪んでしまい、顎の形が歪むことで顔の輪郭そのものが歪んでしまうのです。
…顔の形というのは審美面の問題ですから、健康とは無関係に思えるかもしれません。しかし噛み合わせの悪さで顔の形が変化する場合、何より噛み合わせが悪いこと自体が健康とは言えないため、決して無視できる問題ではありません。
全身の健康への影響
噛み合わせが悪いと全身の健康に悪い影響を与えます。
虫歯や歯周病
本来、歯に付着したプラークは噛んだ時の衝撃で剥がれることがありますが、噛み合わせが悪いとそれが起こらなくなるため、プラークが付着している時間が長くなります。さらに噛み合わせの悪さによって歯並びも悪ければ、歯磨きがしづらく虫歯や歯周病になりやすくなります。
顎関節症
顎関節症は噛み合わせが良い人でも発症する可能性がありますが、噛み合わせが悪い人の方が発症のリスクが高く、さらに重症化しやすい傾向があります。これは、噛み合わせが悪いことによって常に顎関節に負担を掛けているのが原因です。
肩こりや頭痛
肩こりや頭痛の原因は様々ですが、噛み合わせの悪さによって起こることもあります。これは、噛み合わせの悪さによって噛む筋肉に悪影響を与えるためで、広頸筋に影響を与えることで肩こり、側頭筋に影響を与えることで頭痛が起こります。
腰痛
噛み合わせが悪いと頭のバランスが悪くなり、それを補うために他の部位がカバーしようとします。そうなると他の部位のバランスも悪くなり、歪みが生じて姿勢が悪くなります。その姿勢の悪さが背骨に負担を掛け、脊髄神経を刺激して腰痛を起こしてしまいます。
…特に肩こり、頭痛、腰痛は疲労によって起こるイメージがあります。しかし、噛み合わせの悪さによって起こることもあるのです。慢性的に肩こりや頭痛が起こるのであれば、その原因は噛み合わせの悪さにあるのかもしれません。
噛み合わせの悪さを改善するには
噛み合わせの悪さに対する治療方法は一定ではありません。と言うのも、噛み合わせが悪くなる原因は様々ですし、その原因に合った治療が必要だからです。そこで、一例として一般的な三つの原因を挙げてそれぞれの治療方法を説明します。
歯並びの悪さが原因の場合
噛み合わせが悪い原因として、最も可能性が高いのが歯並びの悪さです。歯並びが悪く凸凹していれば、均等に噛み合わせることができないため、噛み合わせも悪くなります。この場合は歯並びを改善しなければならないため、治療方法としては矯正治療を行うことです。
不適切な歯科治療が原因の場合
詰め物や被せ物で処置した時、これらの高さが合っていないと噛み合わせが悪くなります。また、インプラント治療も同様、上部構造の高さが合っていないと噛み合わせが悪くなります。この場合は詰め物や被せ物の高さを調整すれば良いのですが、低すぎる場合は再製作が必要です。
日常生活での癖が原因の場合
人間は誰しも何らかの癖を持ちますが、中には噛み合わせを悪くさせる癖があります。例えば舌で歯を押し出す癖があると、少しずつ歯が動いて噛み合わせが悪くなります。この場合は癖をなおせば改善できますが、既に歯並びに影響している場合は矯正治療も必要です。
正常な噛み合わせとは
噛み合わせの状態が正常か知りたい場合、自分でそれを判断するのは難しいでしょう。例え鏡で確認してもハッキリと見えるのは前歯くらいですから、正確に知りたいのであれば歯科医院で診てもらうのが確実です。ただし、簡単な自己診断は可能なので次の箇所に注目してみてください。
左右の歯
上下の前歯の中心に注目して、それぞれが一致しているか確認してください。これが一致していないと上下の顎骨、もしくは上下の歯の噛み合わせが左右にズレています。成長期にこの状態になっていると、正面から見た時に顎が曲がって成長してしまいます。
前後のバランス
見て明らかにバランスが悪いのは、受け口や出っ歯の状態です。前歯と奥歯の噛み合わせに注目した時、上の歯が下の歯より2ミリほど外側に並んでいれば正常で、このバランスが悪いと発音のしづらさを感じますし、口内炎もできやすくなります。
上下の前歯の噛み合わせの深さ
上下の前歯を噛み合わせた時、その深さが2ミリほどなら正常です。それより浅いと食べ物を噛もうとしても噛み切れないですし、逆に深いと上の前歯に下の前歯が噛み込む状態になるため、出っ歯になってしまいます。
唇の距離と高さ
注目する部分は、左右の目から唇の両端までの距離と、微笑んだ時の唇の両端の高さです。この時、距離や高さがズレていると左右の噛み合わせが悪い可能性があります。噛み合わせの自己診断の中で最も分かりやすいため、これは簡単に確認が可能です。
歯並び
凸凹した歯並びなら当然噛み合わせが悪くなりますが、細かい点を挙げるなら歯と歯の間の隙間の有無に注目してください。この時、永久歯の場合は隙間があいていると歯並びが悪いとされており、噛み合わせも悪くなります。
横顔の口元
正常なのは自然に状態になった時に口が閉じており、なおかつ鼻呼吸ができている状態です。ここで口元が出ている、もしくは口元が出ていると噛み合わせが悪く、この場合は前歯が前に出ていて歯並びも悪くなっている可能性が高いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、噛み合わせの悪さと全身への影響についてまとめます。
1. 顔の形への影響 :噛み合わせが悪いと、顔の形において以下のような状態をもたらす
・エラが張った顔になるケース :咬筋に余分な力が掛かり、通常以上に筋肉が発達してエラ顔になる
・顔の輪郭が歪むケース :噛む時に使う筋肉が偏ることで顎の形が歪み、顔の輪郭も歪んで見える
2. 全身の健康への影響 :噛み合わせが悪いと、全身の健康に以下のような悪い影響を与える
・虫歯や歯周病 :歯並びも悪いと歯磨きがしづらく、磨き残しが増えて虫歯や歯周病になりやすい
・顎関節症 :噛み合わせの悪さによって常に顎関節に負担を掛けているので発症のリスクが高まる
・肩こりや頭痛 :噛む筋肉である広頸筋と側頭筋に悪い影響を与えることで慢性的に起こる
・腰痛 :噛み合わせの悪さで頭のバランスが悪くなることで姿勢が悪くなり、姿勢の悪さが腰痛を招く
3. 噛み合わせの悪さを改善するには :噛み合わせが悪くなった原因によって治療方法は異なる
・歯並びの悪さが原因の場合 :歯並びを改善する必要があるため、矯正治療が改善策になる
・不適切な歯科治療が原因の場合 :詰め物や被せ物の高さを調整することが改善策になる
・日常生活での癖が原因の場合 :癖をなおすことが改善策だが、状態次第で他の治療も必要になる
4. 正常な噛み合わせとは :簡単な自己診断を以下で紹介。正確に知るには歯科医院で診察してもらう
・左右の歯 :上下の前歯の中心に注目、それぞれが一致していれば正常
・前後のバランス :前歯と奥歯の噛み合わせで、上の歯が下の歯より2ミリほど外側に並んでいると正常
・上下の前歯の噛み合わせの深さ :上下の前歯を噛み合わせた時、深さが2ミリほどだと正常
・唇の距離と高さ :左右の目から唇の両端までの距離、微笑んだ時の唇の両端の高さが均等だと正常
・歯並び :永久歯の場合は歯と歯の間に隙間があいていないのが正常
・横顔の口元 :自然な状態で口が閉じられ、なおかつ鼻呼吸になっていると正常
これらのことから、噛み合わせの悪さと全身の影響について分かります。噛み合わせの悪さは審美面と健康面の両方において悪い影響を与えるため、病気ではないとは言え、決して無視できない問題です。
肩こりや頭痛に悩む人は多いですが、充分や睡眠や休息をとっても改善されないのであれば、その原因はもしかすると噛み合わせの悪さにあるのかもしれません。また、噛み合わせが悪いだけで口元だけでなく、顔全体の見た目が悪くなってしまう問題もあります。