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舌が白いのと口臭は関係がある?
2019年02月14日
江東区門前仲町の歯医者さん、原澤歯科です。今回のテーマは「口臭の原因について」です。口臭がするからには必ず原因があり、最も分かりやすいのは食材によって起こる口臭ですね。
例えば、ニンニクを使用した料理を食べれば、いくら歯が健康な人でも口臭がするでしょう。最も、このような口臭は一時的なものですから歯磨きで解消できますし、それほど深刻な問題ではありません。問題となるのは原因の分からない口臭の場合です。
さて、口臭を自覚する人は口の中を鏡で確認すると思いますが、その時に舌が白くなっている人がいます。この舌の白さと口臭、これらは関係あるのでしょうか。この説明を含め、今回は口臭の原因について説明していきます。
目次
舌苔
舌が白くなっている部分を舌苔(ぜったい)と呼びます。舌の表面には角質がありますが、この角質が伸びて硬くなるとその隙間に細菌が溜まります。この状態になると白い苔が生えているような状態になり、それが舌の苔…つまり舌苔の名前の由来です。
つまり、舌苔があることはそこに細菌が溜まっていることを意味しますが、舌苔そのものは治療する必要はありません。ただし舌苔が原因で口臭がすることがあり、その場合は口臭を解消するための対処をしなければなりません。
舌苔の原因
舌苔ができる原因は様々で、中には原因不明なケースもあります。考えられる原因としては、次のことが挙げられます。
・細菌
口の中には常に細菌が存在しているため、その細菌が舌の溝に溜まることで舌苔ができます。「舌苔=白い」のイメージですが、蓄積した細菌によっては黄や黒などの色になることもあります。
・食べカス
食事の時の食べカスが舌の細胞の間に残ったままになると、それが原因で舌苔ができることがあります。舌が低い位置にある人や舌の動きが悪い人だと、舌に食べカスが残りやすく舌苔ができやすくなります。
・口呼吸
口呼吸をすると乾燥した空気を口の中に取り込むため、口の中の環境が乾燥状態になります。乾燥した環境では細菌が流れにくく、そのため細菌が溜まって舌苔ができやすくなります。
・唾液の分泌量の低下
唾液は細菌を流す役割を担っているため、その唾液の分泌量が低下すれば細菌が残ってしまいます。唾液の分泌量の低下は舌苔ができやすくなるだけでなく、虫歯や歯周病になるリスクまで高めます。
・舌の運動機能が悪い
舌に細菌が付着しても、舌の運動機能が充分なら付着した細菌が溜まることはありません。しかし、舌の運動機能が悪ければ細菌がどんどん溜まっていき、その汚れによってやがて舌苔ができます。
…他にも舌の位置や抗生物質が原因で舌苔ができることもあり、その原因は様々です。
舌苔を除去する方法
舌苔を除去するには舌磨きをすることです。歯に付着した汚れを歯磨きで除去するのと同じで、舌に付着した汚れは舌磨きで除去できます。ただし、舌磨きをする時には次の注意点を守って正しい舌磨きの仕方を実践してください。
注意点1. 磨く時には舌ブラシを使用する
舌を磨く時には専用の舌ブラシを使用しましょう。歯ブラシで磨く方法もありますが、ブラシの部分が固いタイプだと舌を傷つけてしまいます。
注意点2. 頻度は1日1回
何度も舌を磨くと摩擦で舌を傷つけてしまうため、舌磨きの頻度は1日1回で充分です。タイミングとしては、最も舌苔ができやすい起床時…つまり朝の歯磨き時がおすすめです。
注意点3. 磨き方は「奥から手前へ」
往復させる磨き方は舌を傷つけてしまいますし、手前から奥へ磨くと舌苔の原因となっている細菌が喉に送り込まれてしまいます。
注意点4. 舌を出して磨く
ただ口を開いただけの状態で舌磨きをすると、嘔吐反射が起こってしまいます。このため、舌磨きをする時にはしっかりと舌を前に出した状態で磨いてください。
注意点5. 一度の舌磨きで綺麗にしようと考えない
例えば今回の説明を聞いて、早速今日から舌磨きをする人もいると思いますが、長い期間できている舌苔は一度の舌磨きでは綺麗にならず、磨きすぎると舌を傷つけてしまいます。
注意点6. 舌が傷ついている時は舌磨きをしない
舌磨きで最もやってはいけないのは、舌を傷つけてしまうことです。ですから舌が傷ついて状態であれば、舌磨きは傷が完全に癒えてからにしてください。
…口臭の解消、もしくは予防のために舌苔は除去したくなりますが、無理やり除去すると舌を傷つけてしまいますし、嫌気性菌が活発になって逆効果になることもあります。確かに舌磨きは大切ですが、舌苔を取るだけを考えて磨きすぎないように注意してください。
舌苔の除去以外の口臭の予防方法
舌苔を除去する以外にも口臭の予防方法はあります。言い換えれば、舌苔を除去したからと言って口臭を予防できるとは限らず、次の方法も口臭予防に効果的です。
唾液の分泌量を高める
唾液の分泌量を高めれば細菌を流す効果が高まり、口臭を予防しやすくなります。また、唾液の分泌量の低下が原因による舌苔の発生も防げます。この場合の問題となるのはその方法…つまり唾液の分泌量を高める方法で、具体的には次の方法があります。
・食事の時によく噛む
唾液は噛めば噛むほど多く出るため、食事の時はよく噛むようにしましょう。
・適度に水分を補給する
水分補給を意識することで、身体の水分の不足による唾液の分泌量の低下を防げます。
・リラックスする
リラックスして副交感神経が優位になれば、緊張状態が解消されて口の中が乾燥しづらくなります。
・カフェインの過剰な摂取を控える
カフェインには利尿作用があり、過剰な摂取によって身体の水分が不足して唾液の分泌が抑制されます。
虫歯や歯周病を予防する
虫歯も歯周病も口臭の原因であり、特に歯周病による口臭は臭いもきつくなります。このため、虫歯や歯周病を予防して歯を健康に保つことでも口臭は予防できます。虫歯や歯周病を予防するには、次の3つの方法を実践してください。
・歯磨きの精度を高める
ブラッシングだけの歯磨きだと、約4割のプラークを磨き残してしまいます。デンタルフロスや歯間ブラシを使用して、プラークの除去率の高い歯磨きをしましょう。
・生活習慣を改善する
糖の摂取は虫歯になるリスクを高め、身体の免疫力低下は歯周病に感染するリスクを高めます。食生活を含めた生活習慣を改善し、虫歯や歯周病になりにくい身体作りをしましょう。
・定期検診を受ける
定期検診では、歯のクリーニングなど虫歯や歯周病を予防するための治療を受けられます。また、虫歯や歯周病になっても早期発見できるため、これらの重症化も防げます。
身体の健康を意識する
口臭は口の中だけの問題ではなく、身体の健康にも関わる問題です。腸内環境の悪化が原因で口臭がするケースもありますし、胃や内臓の不調が原因で口臭がするケースもあります。
このため、口の中だけでなく身体そのものの健康を意識することが大切で、全身を健康にすることで口臭の原因も必然的に解消されていきます。逆に言えば、口臭がすることは何らかの病気のサインである可能性もあります。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、口臭の原因についてまとめます。
1. 舌苔 :舌が白くなっている部分で、細菌が溜まっている状態。舌苔が原因で口臭することがある
2. 舌苔の原因 :舌苔ができる原因は様々。原因不明のケースもあるが、次ことが原因として考えられる
・細菌 :口の中の細菌が舌の溝に溜まり、蓄積することで舌苔になる
・食べカス :食べカスが舌の細胞の間に残り、それが溜まると舌苔になる(舌の動きが悪いとできやすい)
・口呼吸 :乾燥した空気を口の中に取り込むため口の中が乾燥状態になり、細菌が溜まって舌苔ができる
・唾液の分泌量の低下 :細菌が流れにくくなるため、口の中に細菌が溜まって舌苔ができる
・舌の運動機能が悪い :舌に付着した細菌が溜まり、その汚れが原因で舌苔ができる
3. 舌苔を除去する方法 :舌磨きで除去できるが、舌磨きをする時には次の注意点を守ること
・磨く時は舌ブラシを使用する :歯ブラシだと、ブラシの固さによっては舌を傷つけてしまう
・頻度は1日1回 :何度も磨くと舌を傷つけてしまう。舌苔が最も溜まりやすい朝の歯磨き時がおすすめ
・磨き方は「奥から手前へ」 :手前から奥に磨くと、舌苔の原因となっていた細菌を喉に送り込んでしまう
・舌を出して磨く :口を開けただけの状態で磨くと嘔吐反射が起こり、舌磨きが苦しくなってしまう
・一度の舌磨きで綺麗にしようと考えない :溜まった舌苔は一度の舌磨きだけでは除去できない
・舌が傷ついている時は舌磨きをしない :舌が傷ついている時の舌磨きは控え、傷が癒えてから磨く
4. 舌苔の除去以外の口臭の予防方法 :舌苔の除去で口臭が完全に予防できるわけではない
・唾液の分泌量を高める :細菌を流す効果が高まって口臭を予防しやすくなり、舌苔も発生も防げる
(唾液の分泌量を高めるには、よく噛む、適度に水分を補給する、リラックスするなどが効果的)
・虫歯や歯周病を予防する :虫歯や歯周病が原因による口臭を予防できる
(虫歯や歯周病を予防するには、精度の高い歯磨き、生活習慣の改善、定期検診の受診が効果的)
・身体の健康を意識する
(腸内環境の悪化、胃や内臓の不調が原因による口臭もあり、身体を健康にすることは口臭予防にもなる)
これらのことから、口臭の原因について分かります。確かに舌苔は口臭の原因になりますが、除去を意識しすぎるのも禁物です。舌磨きでゴシゴシと磨けば、その頻度や磨く強さによっては逆に舌を傷ついてしまう行為になるからです。
溜まった舌苔は一度の舌磨きでは綺麗に除去できないため、まずは正しい舌磨きの仕方を覚えることと、それを継続することを大切に考えましょう。また唾液の分泌量を高めるなど、舌苔の除去以外の口臭の予防方法も知っておくと良いでしょう。